現行モデルは2017年のモデルチェンジで登場、初代から受け継がれるSV系の水冷Vツインなどの定評のある基本メカニズムと、独特なクチバシ状ノーズが目立つフロントマスク、そしてツアラーとして使いやすく快適な各部の作りを受け継ぎながら、トラクションコントロールの採用などでより快適で安全な走りを可能とした。
また、アクセサリーへの電源供給用の12Vソケットも用意。兄貴分の1050と同じく、ワイヤースポークホイール採用の上級版・XTもラインナップ。2022年の春に排ガス規制対応のためエンジンが小改良された。
文:濱矢文夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行
スズキ「Vストローム650 ABS」各部装備・ディテール解説
エンジン
熟成を重ねてきた排気量645ccでDOHC4バルブ、ツインプラグヘッドの水冷Vツイン。低回転からトルクフルで、扱いやすく環境性能や燃費も良好。2022年4月に登場した最新モデルは、平成32年(令和2年)国内排出ガス規制へ対応するために改良を受けたが、69PSという最高出力は変わっていない。
マフラー・リアブレーキ
リアブレーキはΦ260mmローターのディスクブレーキ。低重心化とマスの集中化にも配慮したデザインのダウンマフラーには、排気ガスを浄化するキャタライザーを内蔵。
フロント 足まわり
フロントホイール径は19インチで安定性を重視。インナーチューブ径Φ43mmの正立フォークは、快適な長距離走行からワインディングのスポーティな走りにも対応するセッティングだ。フロントブレーキはΦ310mmローターとピンスライド式2ピストンキャリパーをダブルで装着。
リア 足まわり
スタンダードなVストローム650は、前後とも10本スポークの軽量キャストホイールを装着。リヤサスペンションは路面追従性の高いリンク式モノショックでスムーズに動作。無段階調整の伸側減衰アジャスターを装備していて、さらにタンデム時や大きな荷物の積載時のために油圧式プリロードアジャスターも装備。
ヘッドライト・スクリーン
ウインドスクリーンは上下3段階の調整が可能で、ライダーに当たる風をコントロールでき、快適性を向上させている。上下2灯配置のヘッドライトは通常のバルブを使用している。軽量・コンパクトでクチバシ状ノーズにマッチしたデザインで、スタイリングのスリム化に貢献。ハイビーム点灯時にはロービームも同時点灯し、幅広い配光特性を実現。
メーター
12000rpmスケールのアナログ回転計に、スピードメーターやギアポジション、燃料計や水温計、時計、平均燃費計や航続可能距離計まで、さまざまな機能を備える液晶パネルを組み合わせた実用的なデザインのメーターパネル。
燃料タンク
容量20Lを確保した燃料タンクだが、その大きさを感じさせないスリムな形状となっていて、サイドカバーの形状と合わせて足着き性も良好。燃費性能に優れているエンジンと合わせて、長大な航続距離を実現している。
シート
アドベンチャーツアラーらしく快適性の高いシート。パッセンジャー側も含め余裕のあるサイズでたっぷりとした着座面積を確保。停車時に足を降ろす部分はスリムな造りで、サイドカバー形状の工夫とともに良好な足着き性を実現。タンデムグリップと一体化されたスマートなデザインのキャリアはトップケースの装着にも対応。
テールランプ
テールランプはコンパクトなサイズでスマートな印象だが、光源はLEDで十分な被視認性を備えている。
スズキ「Vストローム650 ABS」主なスペック・価格
※《 》内はXT
全長×全幅×全高 | 2275×835《910》×1405mm |
ホイールベース | 1560mm |
最低地上高 | 170mm |
シート高 | 835mm |
車両重量 | 212《215》kg |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 |
総排気量 | 645cc |
ボア×ストローク | 81.0×62.6mm |
圧縮比 | 11.2 |
最高出力 | 51kW(69PS)/8800rpm |
最大トルク | 61N・m(6.2kgf・m)/6300rpm |
燃料タンク容量 | 20L |
変速機形式 | 6速リターン |
キャスター角 | 26゜ |
トレール量 | 110mm |
タイヤサイズ(前・後) | 110/80R19 59V・150/70R17 69V |
ブレーキ形式(前・後) | ダブルディスク・シングルディスク |
メーカー希望小売価格 | 95万7000円《100万1000円》(消費税10%込) |
文:濱矢文夫、アドベンチャーズ編集部/写真:柴田直行