チームサンパチのZX-25R登場!

前戦オートポリス大会から約半月、この週末は岡山県・岡山国際サーキットで全日本ロードレース第7戦が行なわれています。ちょうど台風が接近、この台風がまぁまぁデカい、なんて情報に左右されながら、16時前に雨がザッときましたが、土曜日のスケジュール、なんとか無事に終わりました。

サテ、毎度おなじみWebオートバイが全力応援しているJP250のお時間です。
今大会はエントリーが28台と大盛況で、しかも最近のWebオートバイでも申し上げている通り、JP250新時代、つまり最強CBR250RRの牙城が崩され始めている――そんなタイミング。
そして、その28台のエントリーには注目のライダーが! それが#16高谷純平(Team38 JP)。チーム名でもわかるように、チームサンパチ、つまりカワサキの社内チームですね。マシンはもちろん4気筒マシンNinjaZX-25Rです。

画像: Team38のNinjaZX-25Rです さすが社内チームの車両だけあって速いだけじゃない、きれい!

Team38のNinjaZX-25Rです さすが社内チームの車両だけあって速いだけじゃない、きれい!

画像: JP250のトップチューナーであるTEC2が手掛けたYZF-R3。排気量は320ccです

JP250のトップチューナーであるTEC2が手掛けたYZF-R3。排気量は320ccです

画像: 4戦を終わってランキングトップにいるTEAMシャンティのCBR これラッピングで仕上げてあるカラーです

4戦を終わってランキングトップにいるTEAMシャンティのCBR これラッピングで仕上げてあるカラーです

高谷は9月の岡山ロードレースにも参戦、なんと優勝を飾っていて、戦前から「どうも岡山で勝った4気筒が出てくるらしい」って話題になってたんです。
「ここまでニーゴーアールは、いろんなレースでまだまだ結果が出せていなくて、僕も21年の全日本・岡山大会に出たんですが結果を出せなかった(注:予選27位/決勝22位)。それで、おれたちのニーゴーアールはこんなもんじゃないんだぞ、ってずっとテストしていて、9月の岡山でやっと勝てたんです。主に車体のセットを詰めて、前後サスとかシート高とか、250にしては安定志向のハンドリングをどんどん切り返しやすく、の方向に仕上げてきたんです」と高谷。

高谷のZX-25Rは、金曜の事前テストと土曜朝の公式予選でも2番手タイムをマーク。岡山選手権の再現、ついに4気筒がJPで勝つのか――って期待されていた一戦でした。
その高谷を抑えたのは、22年第2戦・菅生大会でポールtoウィンを飾った全日本2timesチャンピオン・横江竜司(TEAM TEC2 & MOTOTEC-R4 & YSS)。横江は菅生に引き続きヤマハYZF-R3で、これが今のところの打倒CBR一番手、と見られているマシンですね。
それでも、R3の戦闘力はまだまだ、菅生のレースは横江が速かったんだ――、っていう意見が大半。それでも横江+YZF-R3の組み合わせで、長いストレートを持つ岡山国際も速かろう、とみんなフルマークです。
菅生や筑波で見た感じでは、ストレートではまだまだCBRが速く、それでも+70ccの排気量差を生かしてR3はコーナー脱出や加速が速い、って印象。そこに、後半の伸びは4気筒のZX-25Rだね、っていうのが今のJP250相関図なのです。

「きのうのテストで一緒に走ったんですが、R3やっぱ速いです。特にこのコースは、裏の直線の始まりと、ダブルヘアピンの始まりがちょっと登り勾配で、そこでR3のトルクがグンと前に出る感じ。あと横江さんチョーうまい」とは、前戦オートポリス大会のウィナー、中村龍之介(ENDLESS チームシャンティJP)。中村は公式予選でCBR勢の最上位、フロントロー3番手につけました。
決勝レースは15時スタート。その前の時間帯でパラッときて、心配された雨もなくドライコンディションでのスタートとなりました。

画像: レース序盤はこんなオーダー #16高谷が#62横江の背後にピタリとつけて周回が進みます

レース序盤はこんなオーダー #16高谷が#62横江の背後にピタリとつけて周回が進みます

スタートで飛び出したのは横江。スタートダッシュは320ccの2気筒が強い! あと横江の1コーナーが上手いんです。失速せずに、みんなのベストラインより1台分イン側をきれいに立ち上がっていくんですよね。
横江に続くのは高谷、野村唯人(SHINライディングサービス)、そして国内ライセンスの山根昇馬(キジマKISSレーシングチーム)、中村といったメンバーで、この5人がレースをリードしていきます。山根は今シーズン、ここまで4レース全勝を決めていて、このレースの結果次第では国内ライセンスクラスのチャンピオンが決まります。

画像: 前4台にちょっと後れを取る#56山根 それでも最大2秒くらいあった差をジリジリと詰めてきます

前4台にちょっと後れを取る#56山根 それでも最大2秒くらいあった差をジリジリと詰めてきます

レースは横江→高谷→中村→野村に、山根が2周目くらいにちょっとタイムロスで、前4人との差がついてしまいます。それでも6番手以降はチョイ後方、やはり5台のトップ争いです。
先頭集団は4台のカタマリのなかでポジションが入れ替わる展開で、一時ヘアピンのオニつっこみを見せた中村がトップに立った瞬間もありましたが、次のコーナーではまた横江→高谷が前へ。こうやって前4台がガチャガチャとバトルすることで、一時2秒近く遅れていた山根も追いつき、また5台の先頭グループになっていきます。

画像: レース中盤あたりから時々トップに立つようになった#16高谷 #62横江もすぐに抜き返します

レース中盤あたりから時々トップに立つようになった#16高谷 #62横江もすぐに抜き返します

12周のレースで、中盤に高谷が前に出ると、すぐに横江が抜き返す、という展開。レースが後半に入ると、横江×高谷の2台が3番手以下を引き離し、3番手争いがCBR勢の中村×山根×野村というオーダー。このへんも、今までのJPにはみられない展開ですね。
レースは最終ラップ、横江→高谷の順で進んでいきますが、最終コーナーまで横江の背後につけた高谷が、メインストレートで並んで、前に出て0秒043差で決着! ついに4気筒マシンNinja ZX-25Rが全日本JP250を制しました!

画像: 最終ラップのコース中盤あたり #16高谷は#62横江の背後についてメインストレートでかわすことに成功!

最終ラップのコース中盤あたり #16高谷は#62横江の背後についてメインストレートでかわすことに成功!

画像: 3番手争いは#56山根→#73中村だったものの、フィニッシュラインで中村が0秒049差で先着しました

3番手争いは#56山根→#73中村だったものの、フィニッシュラインで中村が0秒049差で先着しました

「事前テスト、予選から横江さんのR3が速くて、特に加速区間で追いつけない展開が続いていました。加速区間はやっぱり2気筒勢が速いんで、速めに開けてタイヤ滑らしちゃったり。でもZX-25Rはストレートの後半、伸びで追いつけるので、最終ラップの最終コーナーで背後についておけば、岡山国際はフィニッシュラインまで距離があるので、そこで抜けると思っていました。4気筒なのに速くないじゃん、なんて言われ続けて、1年かけて準備してきてやっと勝てました!」(高谷)

画像: 岡山ロードレースに続いて優勝した高谷 今後は他のZX-25Rユーザーにフィードバックしていてほしいですー

岡山ロードレースに続いて優勝した高谷 今後は他のZX-25Rユーザーにフィードバックしていてほしいですー

「4気筒ってストレート速いねー、って感じです。こっちもR3をチームがいい状態に仕上げてくれたんだけど、ストレートで追いつかれてリズムが狂っちゃうレースでしたね。高谷選手もツッコミがすごい鋭くて、思うように脱出で加速できないことが多かったです。最後、ちょっと伸びがね、追いつかれちゃう。R3もなんとかかんとか、トータルでいい感じになってきましたね」(横江)

画像: 最近の表彰台には珍しくがっつりシャンパンやられる高谷(笑)

最近の表彰台には珍しくがっつりシャンパンやられる高谷(笑)

総合3位は中村、4位に山根が入って、山根は国内ライセンスクラス優勝で開幕5連勝、22年国内ライセンスチャンピオンに輝きました。

画像: 国内ライセンスチャンピオンを獲得したキジマKISSレーシング。キジマKISSはJP250クラスを通じてどんどん若いライダーを育成してますねー!

国内ライセンスチャンピオンを獲得したキジマKISSレーシング。キジマKISSはJP250クラスを通じてどんどん若いライダーを育成してますねー!

画像: チームサンパチのZX-25R登場!

岡山国際は、JP250の決勝が終わったとほぼ同時にザーッと雨が来て、コレはあしたはやばいかも……って雰囲気がぷんぷん充満してきました。メディアセンターでは、帰りの足を確保しようと、飛行機の予約取り直しやレンタカー予約変更の連絡に忙しいプレスのみんながたくさんです(笑)。

写真・文/中村浩史

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