ドゥカティ新型「パニガーレV4 R」の特徴
限りなくレーシングマシンに近い市販スーパースポーツへと進化
ドゥカティがこの秋に開催している「ドゥカティワールドプレミア2023」。10月14日に開催されたそのエピソード4では、ドゥカティ製スーパースポーツの最高峰「パニガーレV4R」の最新バージョンが公開された。
ドゥカティが今回発表した2023年モデルの新型「パニガーレV4R」には、ドゥカティが参戦中のMotoGPやスーパーバイク世界選手権で勝利のために開発を進めてきた、最先端のレーシングテクノロジーが色濃く受け継がれている。その結果「パニガーレV4R」は、限りなくレーシングマシンに近い市販スーパースポーツというべき、極限のパフォーマンスを実現することになった。
新型「パニガーレV4R」には2タイプのモデルが用意される。ひとつはミラーとライセンスプレート脱着キットを標準装備した「スタンダードコンフィグレーション」。
もうひとつは、チタン製のレーシングフルエキゾーストとカーボンファイバー製のオープンクラッチカバーを標準装備する「レーシングコンフィグレーション」だ。
新型「パニガーレV4R」に搭載される、排気量998cc水冷V4のデスモセディチ・ストラダーレRエンジンの2023年スペック。新しいインテークカム、軽量化と共にDLCコーティングもされたピストン、ガンドリル加工が施されたチタンコンロッドなど各部を改良。ミッションはスーパーバイクレーサー仕様に習ったレシオを採用して1速・2速・6速のレシオを変更、重量を約800グラム削減した乾式クラッチも装着。
「スタンダードコンフィグレーション」で最高出力218PS、レブリミットは6速16500rpmというスペックを実現。電子制御デバイスも精度を高めた最新スペックとなり、新しいエンジン・ブレーキ・コントロールEVO 2ソフトウェアなど、サーキットに合わせたセッティングも可能に。
現行のスタンダードな「パニガーレV4/S」同様にパワーモードも新しくなったが、V4Rに合わせたセッティングが施されている。
実は最新の排出ガス規制であるユーロ5をクリアするため、220PSを発揮していた従来モデルと比較するとパフォーマンスは若干低下している。しかしサーキットで「レーシングコンフィグレーション」のレース用エグゾーストを装着すれば、最高出力は同条件の従来モデルを3PS上回る237PSという強力なパワーを発揮。
さらにシェルと共同開発した、フリクションが10%低減するという専用パフォーマンス・オイルを使用すると、最高出力が3.5PSプラスされて240.5PSとなる。
車体のディメンションも見直しを受けた。オーリンズ製NPX25/30倒立フォークは、従来の「R」よりストロークを5mm延長、スイングアームの標準ピボット位置も1mm高くなった。その結果、オーリンズ製TTX36ショックアブソーバーを装着するリアの車高が20mm高くなり、重心位置が上がってコーナー進入時や切り返しの俊敏さが得られた。 アルミ製燃料タンクはライダーとの一体感を増す形状となり、容量も17Lにアップ。
最新のスーパースポーツには欠かせない空力パッケージも見直しを受けている。新しいデザインのフロントウイングは従来モデルと変わらない大きなダウンフォースを生み出しながらも、よりコンパクトで薄くなったことで空気抵抗を減らしている。アンダーカウルはエンジン冷却性を改善するため、スーパーバイク世界選手権のレギュレーションに準拠したものが採用された。
新型「パニガーレV4R」は、今のところ日本では「スタンダードコンフィグレーション」のみが販売される予定。税込価格は499万9000円と設定されていて、ボディカラーは1タイプのみ。「レーシングコンフィグレーション」の日本向け販売については未定。
ドゥカティ新型「パニガーレV4 R」の走行映像
ドゥカティ新型「パニガーレV4 R」の主なスペック
ホイールベース | 1471mm |
シート高 | 850mm |
キャスター角 | 24.5° |
トレール | 100mm |
車両重量 | 193.5kg(188.5kg) |
エンジン形式 | 水冷4ストDOHC4バルブV型4気筒 |
総排気量 | 998cc |
ボア×ストローク | 81×48.4mm |
圧縮比 | 14.0 |
最高出力 | 218ps/15500rpm(237ps/15500rpm) |
最大トルク | 11.4kg・m/12000rpm(12.1kg・m/12000rpm) |
変速機形式 | 6速リターン |
燃料タンク容量 | 17L |
タイヤサイズ(前・後) | 120/70ZR17・200/60ZR17 |
ブレーキ形式(前・後) | φ330mmダブルディスク・φ245mmディスク |
※()内はフルレーシング・エキゾースト装着車 |
まとめ:小松信夫