文：小松信夫
先進装備が充実、欧州で好評のホンダ「SH350i」
ここんとこ、日本ではすっかりスクーターのメインストリームが125ccクラスや、そこから派生した150ccだの160ccだのになりまして。ちょっと前まで（もうだいぶ前？）主流だったような気がする手軽な50ccとか、逆に250ccやそれ以上の豪華で快適なビッグスクーターたちは、見る影もありません。
Honda SH350i
総排気量：330cc
エンジン形式：水冷4ストSOHC4バルブ単気筒
シート高：805mm
車両重量：172kg
それでも販売されてるフォルツァ250とか、バーグマン400なんかは根強い人気があります。しかし、日本では顧みられることのないけど、海外ではなんだか人気がある…という、不思議なスクーターがございまして。その代表といえるのが、ホンダのこの「SH350i」だと思うんですけど。現行モデルが登場したのは確か2021年でしたっけね。ヨーロッパ各国を中心に販売されてます。
ホンダのSH系モデルは上質なスタイルのハイホイールスクーターで、15インチとか16インチのホイールを装備して走行安定性を重視。街中に石畳とかがあるヨーロッパあたりでは高い評価を得ている、と。最高峰の「SH350i」は前後16インチです。
あと、乗り降りしやすくて荷物なんかも載せられるフラットフロアで使い勝手の良さも追求されてます。そういえば日本でも一時、SHモードという125ccモデルを売ってましたね、いつの間にか消えちゃいましたけど。
「SH350i」のエンジン自体は、日本で売ってるフォルツァ250のベースとなった、フォルツァ350と基本的に同じ330cc水冷単気筒。「eSP+」マークもついてる低抵抗・高効率で環境性能も優秀な最新スペックで、最高出力もおよそ29PSと結構強力です。
ということは、日本では支持を得られなかった高級ハイホイールスクーターな上に、すっかり影の薄くなったオーバー250ccスクーターでもあるということ。うーん、それだけで日本では空気扱いだよなぁ、と。
でもでも、装備だってねぇ、なんかサイバーなデザインだけど、非常に見やすくて機能的なデザインの反転液晶メーターをはじめとして。
2022年モデルでは、裏表なく使えて大変便利な充電用のUSB-Cポートがシート下に装備されたし。
キーレスエントリーだって標準装備されてるし、スクーターに求められる最新の便利装備は大抵備わってるんですよ。
シートも余裕のあるサイズでタンデムなんかも苦にならない感じ。パワーだって余裕があるんだし、高速安定性も優れてるしタンデムツーリングには最適？
しかし、大変私の心に一番刺さったのは、なんというか個性的なスタイリングなんですけど。ウネウネとした曲面で構成されたボディの美しさは、なかなかイイ！ と思っちゃった。特に2022年モデルのニューカラー、パールファルコングレーは、その美しさが際立ってますね。ヘッドライト周りのデザインとか、昔の4輪のフランス車みたい…はっ！ そこんとこも日本では一般性がないということなのか！ 冷静に考えればたいてい「なんだコレ」と思うよなぁ。
まあ、他にも日本のスクーターユーザー的視点で見ると欠点とされそうな部分は色々あるんだけど。致命的なのは、ハイホイールスクーターの構造的宿命として、シート下収納スペースの容量を大きくできないことかと。
あと実際にどうかは別にして、使い勝手重視でフラットフロアになってる分、車体の強度が足りてるのか？ グネグネとヨレるんじゃないか、と思っちゃうよね、なまじパワフルなだけに。日本ってセンタートンネル付きのスクーターが多いし。私、もちろん「SH350i」に乗ったことなんかないわけですが。ヨーロッパで根強く売れてるのを考えれば、多分ガシっと安定してるでしょう。乗って確かめて見たい気もするけど、そもそも日本で見たことないよね。
文：小松信夫
