中村龍之介vs石井千優の王者争いに強敵出現!

画像: 36台が出走した大盛況JP250最終戦でした

36台が出走した大盛況JP250最終戦でした

この週末は鈴鹿サーキットで全日本ロードレース最終戦「第54回MFJグランプリ」が行なわれています。前戦・岡山大会で中須賀克行がチャンピオンを決めたJSB1000クラス以外は、この最終戦でチャンピオンが決まります。そして、きょう土曜日は、チャンピオン決定戦のひとつJP250クラスの決勝レースがおこなわれました。

JP250は、もう説明不要(だといいんだけど)のWebオートバイ熱烈応援中のクラスで、前戦・岡山大会で、山根昇馬(キジマKISSレーシング)が、すでにナショナル(=国内ライセンス)クラスのチャンピオンを決めていて、残るはインター(=国際ライセンス)チャンピオンのみ。
このクラスは、ここまでの5戦で中村龍之介(ENDLESSチームシャンティ)が81Pでランキングトップ、ランキング2番手に石井千優(SDG N-PLANレーシング)が9P差の72Pで続いていて、このふたりにチャンピオンの可能性が残されていました。
石井がチャンピオンになるには、たとえば石井が優勝して中村が4位以下、という条件で、2人はここまで優勝回数が同じなので、同ポイントだと2位の回数が多い中村がチャンピオンとなりますから、石井優勝、中村3位、では中村が同ポイントでチャンピオンとなるのです。

画像: 開幕戦では転倒車に巻き込まれてのノーポイントから、続く4戦は連続表彰台の中村龍之介

開幕戦では転倒車に巻き込まれてのノーポイントから、続く4戦は連続表彰台の中村龍之介

画像: 筑波大会で初優勝! ここまでランキング2位の石井は中村まで9ポイント差で最終戦へ

筑波大会で初優勝! ここまでランキング2位の石井は中村まで9ポイント差で最終戦へ

しかしこのレース、なんとエントリー台数が38台と大盛況で、ここまでスポット参戦で2レースに出場し、優勝と2位をかっさらって行った横江竜司(TEAM TEC2&MOTOTEC-R4&YSS)はいるわ、さらには現在世界選手権MotoEクラスにレギュラー参戦している大久保光までスポット参戦でいるわの大盛況。この辺のキャリアあるベテランとは別世界でチャンピオン決定戦が進んでいったのです。

と、土曜朝の公式予選から大波乱。なんと、チャンピオンに王手をかけている中村が、アウトラップの次、計測1周目に転倒し、なんとなんとのノータイム! 当然予選も通らなかったんですが、こういう場合はチームから主催者に「嘆願書」が出され、最後尾スタートが認められるのです。
「ちょっとトラブルがあって、やっちゃいました。いまチーム総出でマシンを直してくれているので、まずはチャンピオンなんてより、決勝のグリッドにつけるだけでもうれしい」と中村。

公式予選では、スポット参戦の大久保がコースレコードを更新してのポールポジション、2番手に横江、3番手には羽根 巧(TEAM AGRAS with NOJMA)がつけ、石井が4番手、中村は嘆願書が認められ、最後尾12列目36番手スタートです。ちょっとこれは、石井と中村に9P差がつくのカンタンなんじゃないの……石井が逆転チャンピオンじゃないか!ってスタートだったんです。たとえば石井が3位=16Pを獲ると、中村は7P=9位以上じゃなきゃいけない。36番手から9位まで上がるの、厳しいなぁ、と思われました。

決勝レースは日も暮れかかった15時半すぎ。レースは横江のホールショットではじまり、すぐに大久保がトップに上がるという、TEC2の1-2フォーメーション。ちなみに横江はYZF-R3で、大久保がCBR250RR。同じビルダーが作ったR3vsCBRっていう観点でも面白いバトルですねぇ。

石井はスタートでちょっと下がって7-8番手あたり、そして最後尾スタートの中村がなんと1-2コーナーをクリアして15人近く(!)をパスしての20番手あたりでレースをスタートします。
「レース前に、まず1コーナーで10人抜いて来い、ってチームに言われたんですが、1-2コーナーでマシンをアウトに振り出したのがよかった!うまく前に出られました」(中村)

画像: 6-7番手を走る27石井に迫る73中村 このあとこの集団の先頭に立て5位フィニッシュです!

6-7番手を走る27石井に迫る73中村 このあとこの集団の先頭に立て5位フィニッシュです!

画像: 石井のいる集団の後方につけたあたりから冷静に走っていたという中村

石井のいる集団の後方につけたあたりから冷静に走っていたという中村

2周目に入ったあたりでは、石井が7番手、中村が15番手。レースは2周目にトップに立った大久保と横江がトップ争い、少し離れて羽根が続く展開。石井が7-8番手をキープしているうちに、中村はがんがん順位を上げ、いつしか石井のいる集団に追いつくと、そこからも1台1台パスして石井の背後に。そのまま石井を抜き去って、中村5位、石井6位でチェッカーを受けました。
中村は落ち着いてましたね。石井もうまく走れてたし、決して調子が悪かったわけでもなさそうでしたが、中村の気持ちが勝っていたのかもしれませんね。

画像: トップを走る51大久保CBRと、その後方でジリジリと離される62横江YZF-R3

トップを走る51大久保CBRと、その後方でジリジリと離される62横江YZF-R3

レースは中盤から大久保が2番手以下を引き離し、貫録の独走優勝! 2位には終盤で横江をかわした羽根が入り、横江は3位フィニッシュ。これで横江は3レースに出場して全戦表彰台を獲得、優勝/2位/3位とすべてのスポットに立ったことになります。

画像: 15歳山根昇馬 来シーズンは「ヨーロッパのレース走る話が……」ん?? 決まったらお知らせします

15歳山根昇馬 来シーズンは「ヨーロッパのレース走る話が……」ん?? 決まったらお知らせします

ちなみに前戦・岡山大会でナショナルクラスチャンピオンを決めた山根は、このレースでマシンをCBRからYZF-R25にスイッチ。すでに320ccも出場していいレースに250ccで出場するという苦行(笑)をこなし、それでもナショナルクラス5位でチェカーを受けました。

画像: インターチャンピオンの中村龍之介、右はチームシャンティ代表の風晴大翼さん

インターチャンピオンの中村龍之介、右はチームシャンティ代表の風晴大翼さん

これで22年のJP250は終了しました。CBR250RRの一強時代から公認車両が増えて、2気筒320ccのYZF-R3、単気筒390ccのKTM RC390、そして4気筒Ninja ZX-25Rが本格参戦をはじめたシーズンとなって、ちょっとこの先また面白くなってくるかな、ってシーズンでした。

画像: レース後、ふたりのJPチャンピオンを連行しWebオートバイのナマ配信に出てもらいました その模様はコチラ→https://www.youtube.com/watch?v=fIS31DE8qds 平嶋なっちゃんにデレデレの15歳と22歳が見られます

レース後、ふたりのJPチャンピオンを連行しWebオートバイのナマ配信に出てもらいました その模様はコチラ→https://www.youtube.com/watch?v=fIS31DE8qds 平嶋なっちゃんにデレデレの15歳と22歳が見られます

チャンピオンは、若手ライダーを起用してずっとこのクラスに参戦してくれているKIJIMAの15歳・山根と、地方選手権からビルドアップしてモータースポーツを盛り上げてくれているTEAMシャンティの22歳・中村龍之介。ショップチームが、市販車をモディファイして若いライダーを起用、そこで成績を出していくという、JP250の理念にすごく沿ったシーズンになったような気がしました。 
自他ともに「JP最強チーム」と認めるTEC2は笠井→篠崎とチャンピオンを輩出し、今シーズンはYZF-R3の開発を進め、横江や井手を参戦させるなど、このクラスに欠かせないチーム、ビルダーになって、そこにショップチームやプライベートチームがどんどん挑んでいく、ってシーズンでした。

画像: 中村龍之介vs石井千優の王者争いに強敵出現!

さぁ明日はJ-GP3、ST600、ST1000のチャンピオンが決まりますよー!

写真・文責/中村浩史

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