関東で開催されているジムカーナ大会「関東事務茶屋杯」は、ダンロップ・オートバイ杯やJAGE杯といったJAGE公認の「本気の」ジムカーナ大会とは異なり、初心者にもジムカーナ競技を十分楽しんでもらおう、ジムカーナを走るきっかけを作ろうと2005年から開催されてきた「草ジムカーナ大会」。
そのため、何度足をついてもペナルティにならない「足つき可」レギュレーションをはじめ、走りごたえを感じさせながら難易度が高すぎないコース設定、参加者の目標となる茶屋独自のシードシステム、騒音などの規制をクリアしていれば市販レーサーでも走れるなど、基本的にJAGEベースだが参加へのハードルを下げる独自の規定で、年3〜4戦を茨城県かすみがうら市のトミンモーターランドで開催。今では初心者だけでなく、シード選手も含めて多くの参加者を集める大会となった。
そんな事務茶屋杯の2022年最終戦が11月20日に開催されたが、この大会、1台ずつタイムアタックする通常の大会とは異なる、「ツインコースでの勝ち抜きトーナメント戦」というちょっとユニークなイベント。2018年、2019年にツインコースでのトーナメントで行われ、一味違った盛り上がりを見せた「NAPS MOTOGYM」のスタイルを復活させることを狙ったもので、この日は朝からノービスからA級までの約100台が参加した。
上図のコースを、パイロンの間隔などの位置関係をしっかり揃えた上で2つ並べて設営。2台が同時にスタートして先にゴールした方が勝ち上がりという、タイムを競いあう通常の大会とは異なるシンプルで分かりやすい形式で競技は進行。シード区分を基準にしたレベル分けによる、A・B・Cの3つのトーナメントが競われた。
NSRやVTR250、スーパースポーツ、ネイキッドスポーツ、モタードといったジムカーナ向けな車種ばかりでないユニークなモデルが目立つのも事務茶屋杯らしいところ。W650やSRといったレトロモデルで走る選手がいるかと思えば。
排気量1700ccという巨大な空冷ビッグツインを積むMT-01や、30Lというビッグタンクの巨大な車体のR1250GSアドベンチャーなんて大きなバイクで走る選手も。排気量の小さい方では80ccのKSR2がいたりと、大小さまざまなマシンがツインコースを走り回っていた。
隣を走る相手の姿が見えるツインコースでのトーナメントなだけに、いつもとはちょっと違う盛り上がりを見せたこの日。単純に速さを競うだけでなく、フライング、転倒、ペナルティといったドラマが勝負を分けたこともあった。そんな1対1の対決を勝ち上がった、各トーナメントの上位3台を紹介しよう。
Cトーナメント(ノービス中心・参加36台)
◆Cトーナメント1位:TATSUNOUE選手 RGV250Γ
◆Cトーナメント2位:キタノ選手 Z750
◆Cトーナメント3位:まーしゃる選手 VTR250
右からCトーナメント1位・TATSUNOUE選手、2位・キタノ選手、3位・まーしゃる選手
Bトーナメント(D〜C1までのシード選手・参加32台)
◆Bトーナメント1位:zuma選手 KSR2
◆Bトーナメント2位: 鈴太郎選手 WR250X
◆Bトーナメント3位: もっちー選手 グロム
右からBトーナメント1位・zuma選手、2位・鈴太郎選手、3位・もっちー選手
Aトーナメント(C1以上のシード選手・参加36台)
◆Aトーナメント1位:はるぴん選手 GSX-R1000
◆Aトーナメント2位:ケンター選手 NSR250改
◆Aトーナメント3位:ray選手 YZ250X
右からAトーナメント1位・はるぴん選手、2位・ケンター選手、3位・ray選手
この事務茶屋杯の最終戦は、ダンロップ・オートバイ杯のライブ配信を行っているRamkhanaチャンネルによって配信されていた。ツインコースならではの熱いバトルを、そのアーカイブで全て見ることも可能だ。
レポート:小松信夫