文:宮崎敬一郎/写真:南 孝幸
ハーレーダビッドソン「ブレイクアウト117」インプレ(宮崎敬一郎)
意外なほどの優しさも魅力のゴージャスな1台
このブレイクアウトはソフテイル系フレームで作られたハイパワークルーザー。かつて存在したモデルだが、今回史上最大排気量の1923ccエンジンを搭載して大きくグレードアップされている。
このエンジンは大型Vツインにしてはノイズが少なく非常に滑らかで、かつ猛烈にパワフル。高級ツーリングモデルCVOロードグライドも搭載するが、スペックを見ると、こちらはさらに低中域のトルクを強化しているようだ。
800回転ほどのアイドリングの倍も回っていれば、何速であろうと強烈なダッシュをする。310kgの車体を上質な鼓動感を伴って猛烈な勢いで加速させる様は圧巻のひとこと!
100km/hは6速で2250回転。120km/hでも2700回転ほどだから、クルーズで多用するこの領域だと、実に心地良い鼓動感と猛烈なトルクを滑らかに楽しめる。3000回転からはノイジーにはなるが、振動は少なめ。全回転域でスロットルに素直だし、よくできたエンジンだと思う。
強烈なのは240/40-18という極太のリアタイヤ。迫力満点でいやがおうにも目が行くが、対して細身の21インチフロントタイヤを組み合わせ、凝ったデザインの前後ホイールが足元の美しさを際立たせている。
シルエットだけ見るとドラッグマシンのテイストがプンプンしているが、このホイールや各部の上質なメッキパーツなど、煌びやかな装飾には高級感が漂う。ワイルドというより、かなり豪華な雰囲気が魅力だ。綺麗なバイクだと思う。
のろのろ走る極低速域では極太リアタイヤの影響で路面の傾きにハンドルが取られやすいものの、常用域、高速ではカッチリとした手応えで安定性も非常にいい。この時のハンドリングタッチも大型クルーザーとしては魅力的なポイント。ラバーマウントでグニャグニャしたタッチではないのだ。
ライディングアシスト機構などはなく、パワーモード切り換えもないが、不満は全くない。街中から峠道まで心地よく自在に使える。ただリアのサスストロークが少なめなので、プリロードをスタンダード設定より締め込むと突き上げが少なくなって快適だ。また、重心が低いので、取り回しもこの車重を遥かに軽く感じさせる扱いやすさがある。
綺麗で個性的な姿も魅力だし、パワフルで使い勝手もいい。新型ブレイクアウトは魅力あふれるクルーザーだ。