2023年2月12日、3日間で行われたMotoGPセパン公式テストが無事に終了した。これで開幕の地ポルトガルで開催される公式テストを残すのみとなった。今回のテストでは22年シーズンの好調に引き続き、イタリアンメーカーが幸先の良いスタートを切っている。

ウェットコンディションで行われた2日目はJ.マルティンがトップタイム

初日の夜に降った雨の影響でウェットコンディションでスタートした2日目。昼過ぎにドライ路面になり各チームタイム測定を行っていたが、再び雨に見舞われ、各チーム用意していたテスト項目を消化できなかった印象だ。

限られたドライコンディションでトップタイムを記録したのはホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)。しかし、このマルティンを含め、初日トップタイムを記録したマルコ・ベッツェッキ(Mooney VR46 Racing Team)などウェットコンディションの影響で転倒するライダーも見受けられた。

テスト、しかもウェット路面ということもあり、タイムを注視すべきではないかもしれないが、2日目に注目を集めたのが3位に食い込んだポル・エスパルガロ(GASGAS Factory Racing Tech3)だ。

ホンダのワークスチームであるRepsol HONDAからKTM陣営に復帰したポル・エスパルガロ。やはりGASGAS陣営にとっても、2日目の雨は予定を狂わせるものだったようだが、新しいフェアリングを試し、空力分野のテストに注力していたようだ。

ポルが過去にKTMに所属していた時に比べエンジニアも変わっており、今回用意された空力パーツには大変驚いているという。

画像: 20位から一躍3位に浮上したP.エスパルガロ。 twitter.com

20位から一躍3位に浮上したP.エスパルガロ。

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ウェット路面ということもあり、空力を重視したフェアリングの真価が発揮されたかはわからないが、上位に食い込んでいる事実はチームが順調にマシンを進化させている証明と言っても過言ではない。

チームとして1番力を入れている分野だけに、今後のテストでドライでのタイムの上がり幅が気になるところだ。また、チームメイトでルーキーのアウグスト・フェルナンデス(GASGAS Factory Racing Tech3)は昨年型でパーツのテストをこなしたようだ。

また、この日2位に入ったのは、今年からKTMからアプリリアにスイッチしたミゲル・オリベイラ(RNF MotoGP Team)だ。周回数もこの日最多の52周を走り込み、テスト2日目にもかかわらず、アプリリアに合わせ込めている印象だ。

チームメイトのラウル・フェルナンデス(RNF MotoGP Team)も6番手につけ、ワークスを含めてアプリリア勢は昨年同様戦闘力のあるマシンを用意できているようだ。ワークスのAprilia Racingには2023年型RS-GPが供給され、習熟に務める1日となった。

画像: 早くもアプリリアのマシンに適応しつつあるM.オリベイラ。 www.motogp.com

早くもアプリリアのマシンに適応しつつあるM.オリベイラ。

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MotoGPセパン公式テスト 2日目結果

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最終日はL.マリーニがトップタイムでテストを締めくくる

画像: セパン公式テストを総合トップで終えたL.マリーニ。 twitter.com

セパン公式テストを総合トップで終えたL.マリーニ。

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2日目とは違い、最終日はドライコンディションで行われた。テスト終了1時間前に雨が降ってきたタイミングでテストが終了となったが、各チームプログラムをこなし次の公式テストに備えることとなる。

最終日にトップタイムを叩き出したのはやはりドゥカティだった。ドゥカティのサテライトであるMooney VR46 Racing Teamのルカ・マリーニは、47周目にトップタイムを記録。初日にはチームメイトのベッツェッキもトップタイムを記録しており、ドゥカティは昨年型でも十分な戦闘力を誇るマシンと言えるだろう。

2台のマシンの比較作業を行ったドゥカティワークスのフランセスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)が2番手に入り、ドゥカティ陣営はヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)を除く7台が全てトップ10に入っている。

昨年の序盤はかなり苦しんだドゥカティ勢。特にチャンピオンを獲得したバニャイアは序盤で躓き、マシンの扱いに苦労していた。

しかしドゥカティ陣営は今年にかけてしっかり対策し、シーズンインの段階でマシンを仕上げてきた。しかも昨年より加速性能が向上しているにもかかわらず、今までの悩みでもあったハンドリングが犠牲になっていないというのだから驚きである。

画像: セパン公式テストでは常に上位でセッションを終えたF.バニャイア。 www.motogp.com

セパン公式テストでは常に上位でセッションを終えたF.バニャイア。

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今回のテストで感じたことは、ディフェンディングチャンピオンであるドゥカティ陣営が、さらに進化しタイトル防衛に向けて着実な歩みを進めているということだ。

そして忘れてはならないのが、ドゥカティ同様、進化を遂げているアプリリア勢だ。ワークスチームの2台が上位に食い込み、今年からアプリリアにスイッチしたRNF MotoGP Teamも印象的な走りを見せている。

絶好調なイタリアンメーカーを相手に一矢報いたい日本勢。タイム上では明暗別れた印象だが、ホンダもヤマハもプログラムを順調に消化し、ポジティブな面も明らかになってきている。

開幕直前に行われるポルトガル・アルガルベサーキットでの公式テストで、ドゥカティ、アプリリアに対し、ホンダ、ヤマハ、KTM、GASGASがどれほど差を詰めてくるかに注目したい。

MotoGPセパン公式テスト 最終日結果

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MotoGPセパン公式テスト コンバインドタイム

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レポート:河村大志

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