※本企画はHeritage&Legends 2023年2月号に掲載されたものです。
新社屋では営業時間内ならいつでも、一般向けの工場見学を可能としたのも新しい取り組み。「製品とサービスに自信がありますから」とは、取材対応してくれたナイトロンジャパンの羽柴さん。サスがバラされている様子を初めて見る来訪者も多く、その部品点数とすべてが丁寧にハンドメイドされていることに驚くのだとか。
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目的は製品納期の圧縮と顧客に寄り添うサービス
英国・ナイトロンレーシングシステムズの国内輸入発売元として、ナイトロンジャパンが設立されたのは2007年。以来、15年超に渡り国内4メーカーの新旧モデル向けリヤショックを軸に販売。対応車種の多さやきめ細やかなサービスで、日本の市場でも著名サスペンションブランドに成長した。そんな同社は母体企業のテクニクスとともに、約300坪という広大な敷地の新社屋へと移転した。
「移転はもちろん業務拡張のため。国内向け製品の生産力(上記の通り、同社は日本向け製品の組み立てを国内で行っている)向上による納期短縮、4輪車向け製品の拡充と市場のさらなる開拓。そして販売を担当する東南アジアのマーケットへの営業力強化など、挑戦したい課題は山積しています。また、そうした強化のために新規スタッフも獲得しました」と、ナイトロンジャパンの羽柴秀人さん。
一方で、読者が気になるのは製品納期だろう。これはコロナ禍以降、多くのパーツメーカーが直面する課題。人気アイテムほどバックオーダーがかさんでいるのが現状だ。ナイトロンは国内生産力を上げ(前社屋比で最大2倍近くの生産が可能となった)、年明けからは納期短縮につなげる。
「最近は直接当社に愛車を持ち込んで、お預けになる例が増えていますね。人気のZ900RSなど、前後を一度に交換する作業を数多く受けています。当社にリヤショックの設定しかない車両も、交換に合わせてフロントフォークはテクニクスでオーバーホール……というお客さまも多いですよ」(同)
ナイトロンならライダーに合わせたセミオーダーも受け付けてくれる。ただし、持ち込み交換の場合は事前に電話やメールでの打ち合わせ後に持ち込むのが作業効率もよく、預ける期間も最短で済む。この冬、愛車のサスを……という向きは、ナイトロンのチョイスも検討してみるといいかもしれない。
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日本でのナイトロンの一番人気はZ900RS向け製品群
ナイトロンで一番の人気製品は? と聞けば羽柴さんは「Z900RSです」と即答。最上段写真はZ900RSデビューから時を経ずして製作されたデモバイク。リヤショック(中断)は最上級のR3(21万7800円)でフルアルミボディ、圧側低速18段:高速16段、伸び側24段の3wayダンピングアジャスター、無段階プリロードアジャスター、車高調整機能を装備。下段はNTR TVTフォークカートリッジ。その内の上はカットモデルで、中は上級モデルのNTR TVT PRO(21万7800円)、下はスタンダードモデル・NTR TVT(19万5800円)。サス・カートリッジとも消耗部品交換やオーバーホール対応品だから長く使える。
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足まわりのプロショップ、テクニクスではサスに関わるあらゆる作業に対応する
同敷地内にあるテクニクスでの作業風景。サスペンション・プロショップとして、あらゆサスのメンテナンスやオーバーホール、チューニングに対応している。MX/EDを筆頭とするオフ車向けオリジナルスポーク仕様のTGRレーシングホイールやスウェーデン製各種シール類メーカーのSKF、イタリア・TNKフォークインナーなどの日本国内発売元でもある。テクニクスで行うサス・オーバーホールなど、こちらもその作業は冒頭の工場見学で、誰もが目にすることができるのだ。
上はスタンドに乗り、ナイトロンやテクニクスでの作業を待つ預かり車両のごく一部。新旧・ジャンルや排気量を問わず、様々な車両が両社を頼ることが分かるカット。右は工場棟の通路にズラリと並ぶ、テクニクスの作業待ちフロントフォーク群だ。
東南アジアでの販売も担うナイトロンジャパン。写真はタイ・ホンダの純正アクセサリーメーカー・H2Cの創立10周年を記念したナイトロンサス装着車〝フォルツァ350 Nitron Neon〟仕様の展示会場で。今後は東南アジア圏での販路開拓も積極拡大していくという。