文・写真:稲垣 正倫
限界がわかれば公道も安定する
今回のスクールで教わったことは、大きく2つ。ブレーキと、スラロームです。教習所では4本の指でブレーキレバーを握りますが、ここではまずその既成概念を取っ払います。「4本でもいいのですが、1本や2本でもブレーキを調整できるようになると、アクセルと並行して操作ができるので手数が増えるのです」と教官。
このひと言が、実はその後のスラロームに繋がっているのでした。スラロームの初歩はメリハリをつけてしっかり加速・減速をすること。その時、ブレーキ操作を4本指でおこなうと、アクセルオンの時にスロットルグリップを握りなおさなくてはならず、タイミングを合わせにくくなってしまうのです。
ブレーキを何度か練習したあとは、スラロームを集中的にレッスンしました。強くブレーキをかけると転倒してしまうのではないか…という先入観を持っていた大冨。ある程度おもいきり操作を試せるスクールのおかげで、徐々に深くブレーキを握っていくことができるように。
「メリハリがある運転ができるようになると、バイクの楽しさをより感じました。ブレーキで転倒してしまう恐怖も払拭できて、今日だけでかなりアクセルを開けられるようになったのがとても大きな収穫です。バイクのアクセルを開けた時、ブレーキをかけた時にどんな状態になるのか、体重をかける位置を変えるとどんな姿勢になるのかなど、知らないことを体験できて、だいぶバイクと仲良くなれたと思います」とのこと。
漫然とバイクに乗っているだけでは発見できなかったことが、HMSで見つかったようです。
ブレーキは1本がけもアリ
最初に習うのはブレーキ。急制動ではなく、様々なブレーキの応用を学びます。教習所では4本と習いますが、ここではグリップをしっかり握れる1〜3本のブレーキを試してみましょうと。「最初はブレーキのかけ方に違いがあるのか? と思っていましたが、色々なパターンを試すことができたため、様々なブレーキの感覚と自分にベストなブレーキポジションを確認することができました」と大冨もブレーキテクニックを底上げできた様子。
メリハリをつけようオフセットスラローム
今回、初心者を対象に設定されたコースはブレーキ練習から、オフセットスラロームへ流れるループ。オフセットよりも難しいナロースラロームも試せるようになっています。単純ですが、とてもタメになります!
スラロームはオートバイの運転に重要なメリハリを習得するためにとても有効なトレーニングなのです。徐々に進入時にブレーキをかけ、脱出時にしっかりアクセルを開けることを学んでいきます。大冨曰く「成長のきっかけは、指導員の悪い例と良い例を比較して見て、走行ライン確認したこと、アクセルの音を聞いたことで、このくらいアクセルを回してもしっかりブレーキをかければパイロンを回れるんだと理解できた時です」とのこと。
狭いスラロームでさらにスキルを磨く!
オフセットスラロームと原理は同じですが、テンポ・リズムよく操作することが求められる狭いスラローム。大冨は教習所の頃から苦手でよくパイロンを倒していたようですが、アクセルを開けたら自然にアクセルが戻るのを待たずに自分で素早く戻すこと、パイロンの横でハンドルの進行方向を変えた直後の直線でアクセルを開けることをアドバイスされ、ぐんぐん上達。「ラストの2回は、全てのパイロンの間でアクセルを使ってクリアできました!」
文・写真:稲垣 正倫