文：宮崎敬一郎、オートバイ編集部／写真：南 孝幸、森 浩輔
ベネリ「TRK502X」インプレ（宮崎敬一郎）
Benelli TRK502X
総排気量：500cc
エンジン形式：水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高：830mm
車両重量：235kg
税込価格：96万8000円（予価）
アドベンチャーの魅力をリーズナブルに楽しめる
TRK502Xはベネリのアドベンチャーモデルで、先に登場していたTRK251に次いでの日本デビュー。イタリアでは、出力制限のあるA2免許枠の中で3年連続で最も売れているバイクらしい。
エンジンは500ccのパラツインで、出力はA2免許に対応した約48馬力。言ってみればライトミドルクラスのアドベンチャーだが、ひとクラスの上のモデルに匹敵する、威風堂々とした外観と車格が特徴だ。そんな大柄な車体を48馬力で自在に機動させられるのか…？ 最初は半信半疑で試乗を開始した。
想像通り、決して力強くはない。しかし、500ccクラスなりのコシのあるトルクを持っている。無理に高回転まで回して唸らせればそれなりの力も絞り出すが、光るのは常用する中回転域。350ccや400ccでは真似のできない、ゆとりあるスロットルワークで走れる。これが気楽な走りを生んでいる。
足回りもストロークが大きく、大きな凸凹に対して高い衝撃吸収力がある。しかも乗り心地のいいしなやかな味付けでありながら、高荷重時には奥でしっかりと踏ん張る。感触としてはなかなかの高級ショックに近い作動フィール。ハンドリング自体も素直で扱いやすく、この足まわりへの加重、抜重を丁寧に操作すればリズミカルにワインディングを走るのも楽しい。しかも結構いいペースで走ることさえできてしまう。
500ccクラスにしては大きめの車格、決して強力ではないが程よいパワー。メーターなど、細部を見ると造りがチープなところもあるが、グリップのスイッチ類が自光式となっていたりと、高級ジャンルのバイクであることのアピールもしっかりされている。
これで日本での予価は税込で100万円、税抜きなら90万円を切っている…。正直、アドベンチャーの魅力を味わいたいライダーには超ディスカウントプライスだと思う。
今回、ちょっと荒れ気味のダートまで走ってみたが、普通に制御も出来るし、何より快適に走る。アドベンチャーにしては軽くて取り回しもしやすいので、多少ややこしそうな道でも行こうという気にさせるのもいい。
疲れず、どこまでものんびり走れて、魅力は山盛り。それに、アッパーミドルのアドベンチャーたちと並べても引けを取らない「押し出し」の強さもある。決して、安物のアドベンチャーではない。リーズナブルで使い勝手のいいモデルだ。
