F.バニャイアがラストアタックでポールポジション獲得! M.マルケスは驚異の2番グリッドをゲット
Q1では母国のヒーローであるファビオ・クアルタラロ(Monster Energy Yamaha MotoGP)、そしてが中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU)らが登場。
Q2進出を目指すクアルタラロは序盤、暫定のトップタイムを記録し上々の出だしをみせる。セッション後半になり、驚きの走りを見せたがルーキーのアウグスト・フェルナンデス(GASGAS Factory Racing Tech3)。1分31秒343をマークし、暫定のトップに浮上する。
ラストアタックでは各車タイムを更新する中、ルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)がトップタイムを更新。そして好タイムを出したフェルナンデスがトップ2に食い込みQ2進出を決めた。
クアルタラロはQ1を3位で終了。母国フランスで好成績を期待していたが、まさかのQ1敗退となってしまった。ヘレス同様、中低速コーナーが多いブガッティ・サーキットはヤマハとクアルタラロにとって相性の良いサーキットと言える。しかし、ライバルに遅れをとっている直線スピードを改善を試みた結果、持ち味の旋回性の良さも失われ、ヘレスでも苦戦を強いられた。
本人も頭を抱えるほど苦しい状況が続くクアルタラロは、地元の大歓声の後押しを受け決勝での巻き返しを誓う。中上もクアルタラロに次ぐ4番手でQ2進出とはならなかった。
ポールポジションを決めるQ2では、マーベリック・ビニャーレス(Aprilia Racing)とホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)が互いにトップタイムを更新し合うアタック合戦に。そんな2人にわって入ったのは今回が復帰戦のマルク・マルケス。ポールポジションも狙えるポテンシャルがあることを示しラストアタックでは皆の視線を集めることとなる。
Q2後半にはこれまで好調だったビニャーレスに、マシントラブルが発生。ピット出口でバイクを止め、ピットに戻ったがなんとかコースに復帰。しかしタイムを更新することはできなかった。
そんな中、マルケスがトップタイムを更新。驚愕の復帰戦ポールポジションかと思われたが、バニャイアがラストアタックでマルケスを上回り、ポールポジションを獲得。ディフェンディングチャンピオンの意地をみせた。
とはいえ、3レースを欠場し、テストも不参加という状況の中いきなり2番グリッドを獲得したマルケス。決勝では新旧チャンピオンによるバトルが予想された。3位には好調のマリーニが入っている。
J.マルティンがスプリントを制覇し2年ぶりのトップチェッカーを受ける
予選後に行われたスプリントレースでは、2列目スタートのマルティンがレースをリードした。レース序盤でマルケスとマリーニをパスしたマルティンは、バニャイアも捕らえトップに浮上。そこから一気にペースアップしたマルティンは、2番手以下に1秒以上ものギャップを作り逃げていく。
2位争いはマルティンと同じく2列目スタートのブラッド・ビンダー( Red Bull KTM Factory Racing)がバトルを繰り広げるバニャイアとマルケスをまとめてオーバーテイクし2位に浮上。トップのマルティンを追う。
しかしビンダーの追い上げに対し、ギャップを詰めさせなかったマルティンが独走でスプリント初制覇。マルティンにとって2年ぶりのトップチェッカーとなった。好調ビンダーが2位でフィニッシュしている。
3位に入ったのはポールポジションスタートのバニャイア。終盤トップ2との距離を縮めるも、スプリントレースで周回数が足りず3位でのゴールとなった。4位にマリーニ、復帰戦となったマルケスがホンダ最上位の5位でフィニッシュとなった。
母国戦となったクアルタラロは、10周目のターン9で無念の転倒。決勝での巻き返しを狙う。中上は10位でフィニッシュ。ポイント圏内まであと一歩足りなかったが、粘り強い走りで完走を果たし、決勝レースではポイント獲得を目指す。
M.ベッツェッキが独走で今季2勝! ランキングでもトップとわずか1ポイント差
27周の決勝レースはマルケスが好スタートを決めトップでレースを引っ張る展開に。2位にジャック・ミラー(Red Bull KTM Factory Racing)、マリーニ、バニャイヤと続く。
マルケスとミラーは順位を入れ替えながら周回を重ねていくが、3周目にミラーがトップに浮上。そんな中、レースは波乱の展開となっていく。5周目にはビニャーレスとバニャイヤが、6周目にはマリーニとアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)が接触しクラッシュ。一気に4台が戦線離脱となった。
先頭争いでは8周目のターン8でベッツェッキがマルケスを押し出しながらオーバーテイク。しかしこの追い抜きがシング対象となり、ベッツェッキには1ポジションダウンのペナルティが下った。3番手に後退したベッツェッキだったが、すぐさまマルティンをパスし、トップのミラーを追う。ペースの良いベッツェッキは11周目にミラーを捕えトップに浮上した。ペースが落ちてきたミラーは徐々にポジションを下げていってしまう。
2位以下とのギャップを築いていくベッツェッキに対し、その後方ではマルケスとマルティンによる2位争いが勃発。ペースが上がらないマルケスはコースオフする場面もあったが、マルティンを抑え込んでいく。しかし残り2周のターン7でマルケスが痛恨の転倒を喫してしまい勝負あり。マルティンが2位の座を手に入れた。
トップ独走となったベッツェッキは2位以下に大差をつけて優勝。第2戦アルゼンチンでの初優勝に続き、最高峰クラス2勝目を挙げた。また、ランキングトップのバニャイアが転倒リタイアしたこともあり、ポイントランキングでベッツェッキはバニャイアにわずか1ポイント差に迫ることとなった。
2位にはマルケスとのバトルを制したマルティン、3位には見事な追い上げを見せたヨハン・ザルコ(Prima Pramac Racing)が入り、母国戦で嬉しい表彰台獲得となった。
クアルタラロは苦しみながらも7位でフィニッシュ、中上は9位に入りポイントを獲得している。
2023 MotoGP 第5戦 決勝結果
第6戦の舞台は熱気渦巻くムジェロ・サーキット
第6戦のイタリアGPは、トスカーナの山中にあるムジェロ・サーキット。正式名称はアウトドローモ・インテルナツィオナーレ・デル・ムジェッロだ。
1キロ越えのロングストレートが特徴的で、短い直線で中速コーナーを繋げたストップ・アンド・ゴーのレイアウトであるムジェロは、高低差もありタイヤに厳しいサーキットでもある。
イタリアGPということもあり、MotoGPのレジェンドであるヴァレンティーノ・ロッシが現役で走っていた頃には、他のサーキットでは味わえないような熱気があり、ロッシのパーソナルカラーである蛍光イエローの発煙筒が焚かれ、異様な盛り上がりを見せていた。
そして、ドゥカティとアプリリアのホームイベントでもあるイタリアGP。特に最高速を武器としているドゥカティにとって、ロングストレートのあるムジェロは得意なサーキットであり、2022年にはバニャイアが母国優勝を果たしている。
前述のとおり、タイヤに厳しいサーキットであるため、タイヤ選択とタイヤマネジメントが勝負の鍵となる。今大会で優勝したベッツェッキやバニャイアなど地元勢に注目が集まるところだが、今回復帰を果たしたマルケスにも注目だ。
マルケスはムジェロで3勝を挙げており、今大会でも怪我明けとは思えないポテンシャルを発揮した。ホンダがカレックス製のシャシーを採用し、状態は上がってきている。もしかすると早々にマルケスの逆襲が見られるかもしれない。
レポート:河村大志