文:太田安治、オートバイ編集部/写真:柴田直行
ロイヤル・アロイ「GP125」インプレ(太田安治)
乗り手のセンスが問われる優雅なスタイリングと走り
125クラスのスクーター市場は世界的で、日本ブランドのほかに台湾、中国、インドなど、各国のメーカーが多種多彩な車種を展開している。とはいえ、スクーター発祥の地として文化を紡ぎ続けているのはヨーロッパ。このロイヤル・アロイは1970年代までベスパと並んでスクーター界に君臨していたランブレッタの「シリーズ3」をオマージュし、現代の技術と融合させたモデルだ。
特徴は往時のシリーズ3を忠実に再現したボディデザイン。現在のスクーターが外装に樹脂製パーツを多用しているのに対し、ロイヤル・アロイはボディ全体がプレス成形のスチール製。レトロな造形もさることながら、塗装仕上げも丁寧で、樹脂では出せない艶やかで深みのある発色に見入ってしまう。
今回試乗したGP125のエンジンは強制空冷SOHC2バルブ。日本ブランドの同クラスモデルに比べると少しだけ高回転/高出力型だ。ヨーロッパ製スクーターは高回転キープによる小気味いい走りと引き換えに騒々しさを感じてしまう車種が多いが、このモデルの加速感はフラットで、振動も騒音も押さえ込まれている。車重が130kgもあるので機敏さは薄いが、キャラクター的に不満を感じることはない。
外観上の特徴ともなっているフロントのリンク式サスペンションだが、ブレーキング時の動きに違和感はなく、ストローク量も充分。ハンドリングは前後12インチ径のホイール、1390mmという長いホイールベースからも想像できるように安定性重視。フロントブレーキを掛けながら寝かし込むような荒っぽい乗り方をするとフレームのアンダーボーン(ステップフロア部分)が捻れる感触があるが、この僅かな捻れが穏やかな乗り心地と操縦性に寄与しているし、これもまたレトロな乗り味として魅力的に思える。
はっきり言って、日常的な実用の足、というキャラクターではない。重量と変速設定、ハンドリング特性とも市街地をキビキビ駆け回るタイプではないし、シート下の収納スペースもない。しかし「鉄スクーター」と呼ばれる構造に魅力を感じるエンスージアスト、レトロなデザインに惹かれるファッショナブルなライダーなら、落ち着いた運動性能がロイヤル・アロイのスタイルに合っていることを喜ぶはず。ライディングスキルや用途ではなく、センスが問われるというのも他車にない独自の魅力だと思う。
ロイヤル・アロイ「GP125」カラーバリエーション
単色合計17色
フレイム・レッド、ミッドナイト・グレー、オーシャン・ブルー、マット・ブロンズ、シャー ウッド・グリーン(マット/シャイニー)、パール・ホワイト、アイボリー・ホワイト、マット・ブラック、ピューター・グレー、 メタル・ブルー、ジェット・ブラック、マット・シルバー、サンダー・グレー、カリビアン・ブルー、モダン・オレンジ、エクストリ ーム・グレー
2トーン合計5色
ウルトラ・ブルー&アイボリー、オデッセイ・レッド&アイボリー、ミント・グリーン&アイボリー、レモン・イエロー&アイボリー、フレイム・レッド&アイボリー