注意
本記事は、家族を救うためやむを得ず雨中走行し、結果として浸水したカブのその後の対応を追ったものです。豪雨での走行や、浸水する危険のある走行を推奨するものではありません。また、浸水したカブが同様の対応でも直らないケースもあり得ます。くれぐれも、ご参考までによろしくお願いいたします。
記録的大雨の中、カブが活躍するも代償として水没
6月初旬の台風2号、全国的に凄い雨でしたよね。そんな中、自分にとって林道メンターともいうべきNOBさんことハムノヒトが、カブを水没させたとのこと。
豪雨でしたけど、いったい何があったんですか?
先日の台風で、市内各所で冠水が起こりまして、クルマで出かけていた嫁が水没寸前になってしまったんですよ。
頼りになるのはやっぱりカブということで、プレスカブで救出に出ました。
冠水で膝まで水に浸かる無限スプラッシュで、エアクリまで水没しましたが、おかげさまで嫁は救出できました。カブは素晴らしいですね。
豪雨でのお出かけは危険ですが、無事で何よりです。結果として救出できたから良いですけど、気をつけて下さいね。
そうですね。
これくらいの位置まで冠水してたので、救出に行くときも相当大変でした。
キックでエンジンは始動するしアイドリングはするものの、アクセルを開けるとエンジンストール。
仕方ないので、アイドルスクリュー全開にして、アクセルを使わずに帰宅しました。
アクセル効かなくなるんですか。アイドルスクリューで回転数上げること思いつかなかったら危なかったですね。
というわけで、実際に水没してしまったカブをいかに復帰させたか。今回はそんな話です。ハムノヒトさん、よろしくお願いいたします。
注意
今回は実際に水没したエンジンに対しての対策を紹介していますが、水没によるダメージは車体の仕様や、水没の状況などにより大きく異なります。実際に水没した際は最寄のショップ、ディーラーにご相談ください。あくまでも参考までによろしくお願いいたします。
水没にカブの状況チェック
さて、水没から復旧させるまえに、まずは状況確認ですね。
翌日も、大雨の中での状況と同様「エンジンはかかるものの、アクセルを開けるとエンジンストール」という状態でした。
そこで、翌々日に名古屋市の四ツ葉モーターサイクルさんに持ち込みました。
四ツ葉モーターサイクルさんですね、わかりますよ。自分もまとまるバーやびじばいオイルでお世話になってます。
四ツ葉モーターサイクルさんでチェックした項目が以下になります。
・プラグに火花が飛んでいるか
・バッテリーの浸水確認
・エアクリーナーの浸水確認
・キャブレターの浸水確認
・ガソリンタンク内の浸水確認
じゃあ各項目がどうだったのか、ひとつひとつ見ていきましょう。
浸水確認と対応
プラグに火花が飛んでいるか
これは問題なく火が飛んでいました。とはいえ念のためプラグは交換しました。
バッテリーの浸水確認
右サイドカバーを開けて確認したところ、浸水の形跡はあったものの、すでに乾いていたのでいったんそのままでいくことにしました。
エアクリーナーの浸水確認
エアクリーナーボックスを外して、内部に浸水があったかを確認しましたが、浸水の形跡なしでした。
念のため、エアフィルターは新品に交換しました。
キャブレターの浸水確認
キャブレター内部にも浸水の形跡なしでした。浸水があると砂の痕跡が残るんですが、そういったものは見つからなかったということです。
せっかくなので、メインジェットとスロージェット、キャブレター内部をエアー洗浄してもらいました。
ガソリンタンクの浸水確認
キャブレターへの浸水がなかったことにより、ガソリンタンクへの浸水は無いと判断できました。
エアクリーナーボックスついててよかったですね。自分のはパワーフィルターなので浸水したらと思うとぞっとします。
純正エアクリーナーボックスは最強ですよ。
エンジン内部の水を抜こう
さてここまでチェックしたら残るはエンジン内部。なんかフラペチーノだったらしいですね。
キャブとエアクリを組つけ、オイルを抜いたんですが、飲食業界でいうところの油中水滴型の乳化でした。
美しく混ざるものですね。これはなにペチーノですか?
そういえばエンジンオイルってドレンあけるだけじゃ全部は出てこないんですよね。
そうなんですよ。
車体を左右に傾けたり、ブローバイホースからエアーを注入するなどしたあとに、クラッチ側のケースを開けたらドバッとペチーノが出てきました。
普通にオイル交換しても、50mlだか残留するらしいですもんね。
その後フラッシングオイルを入れて、洗浄したのがこちらです。
あんまり変わってないようにもみえますが、よく見るとさっきよりは乳化してないですね。
さらにもう一回、フラッシングしたのがこちらです。
お、だいぶ変わってきましたね。これフラッシングオイルの色なんですか?
そうですね、写真だとペチーノっぽく見えるかもしれませんが、この段階でほぼ普通にフラッシングオイルという感じでした。
これで新しいエンジンオイル入れて復活ですね。
そうですね、なんとか元通りっぽくなりました。内燃機関の底力を目の当たりにしました。カブのエンジンは100年後でも動いてると思いますよ。
とはいえ、今後はエンジンオイルの交換頻度を高めるた方が良いとアドバイスをいただきました。
とりあえず復旧。水没エンジンでさらに交換しておくべき項目は?
というわけでお次はカブ専門店のカビィさん。エンジンも無事始動して、復旧となりました。ただ、せっかくエンジン復旧して落ち着いたので、今後の為にもさらに交換しておいた方が良いパーツってありますか?
無事に復帰してよかったですね。
今後のことを考えるなら、左クランクケースカバーを開けて、フライホイールとステーターコイル部分をエアブローしておきたいですね。
ここって一見カバーされてるように見えますが、防水性ゼロな上に防錆もされてないんですよ。あっという間に錆びます。中古車にも錆びてる個体、多いですよ。
なるほど。密閉されてるようでいて、そうでもないんですね。
では、「念のためさらに交換しておきたいパーツ」ってどのあたりになりますか?
ざっくりとこのあたりですかね。
クラッチカバーガスケットは必ず新品を用意にしておきたいです。
ノックピンも古いカブの場合、錆びて固着している事が多いのでΦ8✕12mmを2個用意しておくと安心ですね。
あと、もちろんオイルフィルタースクリーンも。
これが詰まったり破れたりしていると、オイルポンプがロックして焼きつきのリスクが激上がりになります。
以前オイル交換の時にも話しましたが、キックスピンドルのオイルシールも交換しておいてください。
ここ、オイル漏れの定番ポイントなので、水没でなくともマメに交換しておきたいです。
なるほどなるほど。水没した場合、ブレーキシューって大丈夫なもんなんですか?
実装して特に問題なければ大丈夫ですが、異音やタッチが気になる用ならハブを分解清掃した方が良いですね。
どうせハブをあけるならブレーキシューも交換しておくと、気持ち的にも良いですよ。
まとめ冠水対策として
一番の対策は、水害の時は外にでないなのはもちろんですが、今回のように救出などでやむを得ず出かけなきゃいけない場合、カブの仕様的にどうだったらよかったと思います?
そうですね、アップマフラーだったらよかったなとは思いました。
あと、さっきも言いましたが純正エアクリーナーボックスは最強だな、と。
なるほど。いずれにせよ、無事に帰宅出来て良かったですね。