イベントにいったらカブF型に出会ったよ
春に開催されたKOSAI CUB MEETING Vol.1。その会場で、動態保存されたカブF型が展示されていたので、オーナーさんにお願いして取材させてもらったよ。
イベントの模様はコチラ。
というわけで今回はカブF型。撮りまくってきたよ。
ホンダ カブF型
まずは全体。当時の実用自転車にカブF型を装着した、動態保存車両。
反対側。
カブF型の登場は1952年。当時、200以上あったといわれるモーターサイクルメーカーの中で、ホンダの存在感を全国に知らしめた記念碑的モデル。
自転車に装着する補助エンジン。エンジン、燃料タンク、操作系とヘッドライトが商品構成。
白いガソリンタンクに赤い燃料タンクはデザイン的にも非常に魅力的。のみならずエンジンを低くマウントすることで、搭乗者の火傷対策や低重心化を実現してる。
カットモデルもあるよ
カブF型のオーナーさんが、なんとカットモデルも持参してくれた。しかも2機も。
どうやら当時、教材として作られたものらしい。
こちらは1機目。
こちらは2機目。
車体は能澤製作所の実用車
カブF型を詳しく見る前に、まずは車体、つまり自転車部分から。今はなき熊澤製作所による、いわゆる実用車。
実用車の世界は非常に深いので、あまり掘り下げれないけど実用車の系譜ともいえるブリヂストン ジュピターやパナソニック レギュラーなんかは数年前まで販売されてた。
補助フォークや、ロッドブレーキは実用車の特長的なポイント。
砲弾型のヘッドライトは、カブF型キットに付属のもの。ウィンカーは現代での道路事情に合わせてオーナーさんが新設。
フェンダーマスコットにウイングマーク
前後バネのついたレザーサドル。シートポスト形状やポスト接続部の作りこみも美しい。
レトロ自転車向けのスピードメーターギア。ハブにとりつけた歯車と樹脂製ギアで回転を計測。ネジ部分にメーターケーブルを装着するという、ちょっと前のバイクと同じ構造。
カブF型のタンクについて
さて、カブF型本体。まずは白くて丸いかわいらしいガソリンタンク。
もちろん混合給油。
コックは壊れやすい部分なので、オリジナルから雰囲気のあう古いものに交換済み。
タンクキャップは鍵のないシンプルな形状。
ガソリンフィルターは給油口に装備されている。
外すとこんな感じ。
カブF型のエンジンについて
いよいよエンジンの細部。とはいえ、エンジン自体はカットモデルで見るのがわかりやすいので、それ以外の細かい部分。
よくみたらエンジン下部にサイドスタンドが装着されてるのね。サイドスタンドで停車してる写真見たことなかったけど、実際あんまり使い勝手は良くないらしい。
ペダル始動なので、両足スタンドの方がエンジンをかけやすいんですよ。
サイドスタンドを出すとこんな感じ。実用車には立派な大型両足スタンドがついてるので、そちらの方が安心ね。
キャブレターはアマル製。てっぺんのボタンはティクラーかな。
チャンバーのエンド部分には管が接続されてた。
上記カットモデルでの、チャンバー断面図。こちらは管が接続されていない。
車体への取り付け部分
エンジン部分の固定は、シリンダーヘッドを車体をステーで固定。結構大胆ね。
エンジン部分マウントはもう一か所。キャブの手前から出ているステーで固定。
ホイールへの動力伝達については、スポークにスプロケを装着する方式。
カブF型のキットにスポークとハブのセンターで固定するスプロケが付属していて、自転車のホイールを加工しなくても、そのまま装着することができる。
スプロケのベース部分にはスポークを挟み込むパーツがあり、さらに4本のボルトでハブの中心を抑えて固定。
この動力伝達部を正確な位置に装着するのが非常に難しいんです。
ハブのセンター部分はともかく、スポークは斜めなので、締めこんでいくと逃げてしまいます。
スプロケ同士の距離も非常に近いので、チェーンラインが非常に重要ということもあり、装着難易度を高めています。
確かにスプロケ間の距離が物凄く近いですね。
操作系について
ハンドル右手側。金色のレバーは、上側がチョークで下側がアクセル。その手前の丸い部分はウィンカースイッチ。
左手側。レバーはデコンプ。グリップはスロットルのように回すことが出来て、クラッチ操作を担ってる。押しボタンはホーン。
クラッチグリップはHONDAのロゴ入り純正品。
左グリップを回すと、こんな感じでワイヤーを引っ張ってクラッチ操作を行ってくれる。
カブF型のエンジン始動方法
カブF型について色々調べてみたけど、正直どうやって動かすのかよくわからなかったのよね。
せっかくの動態保存車両なので、実際にやってもらったよ。
まとめ
元祖カブというべきカブF型。70年くらい昔の車両なのに、未だ定期的に実走してるというのは、尊敬のひとこと。
こうした素晴らしい車両やオーナーさんとの出会い。やはりイベントは素晴らしいですね。
レポート:若林浩志