キャンプ道具の中でも特に選択が難しいマット選び
テントやシュラフに並ぶくらい重要なキャンプの必須アイテムといえばマット。キャンプで安眠できるかどうかってのはものすごく大事なポイントだけに、どんなマットを買うかはすごく大事。
選択の基準としては、断熱性やクッション性、さらにバイクに積載するうえで収納性も大きな要素。
これまで、マットの選択肢といえばメジャーなところで、EVAマット、エアーマット、インフレーターマットという3種類が定番。さらにその中にも高機能タイプなどもあるので、選択肢が膨大で非常に悩ましいのよね。
まずは、これら3種について説明していくよ。
EVAマットはかさばるけど、慣れるとやみつき
EVA(エチレン酢酸ビニル)製のマット。使い勝手としては、いわゆる銀マットと同じような感じだけど、表面の凸凹形状や、蛇腹の折りたたみ構造が特長。
自分が西野編集長にオススメされて愛用してるキャプテンスタッグのフォームマットは、重量は約270gと非常に軽量。軽さは最強クラスだけど、収納サイズのでかさも最強。
長所
設営がものすごく楽。広げるだけ。パンクの心配もないし、マットの中ではダントツに軽量。
短所
構造上どうしてもかさばる。収納サイズは130*125*560mm。かさばるけど軽いので、シートバッグの外側につけることが多い。
寝心地
感覚的には薄い布団で寝てる感じ。個人的には安定感があって好み。素材の厚さで寝心地はかなり変わる。
キャプテンスタッグのEVAマットは、安くて軽くてすごく良いんだけど、性能を追求するならサーマレストのZソルが非常に評判が良い。ただし値段はキャプテンスタッグよりもだいぶお高め。
コンパクトさと価格面に優れるエアーマット
空気でふくらむエアーマット。コンパクトさでは最強。テントやコットがでっかいのは許せても、エアーマットはできるだけ小さい方が良い。というわけで、何個も買って色々使ってみたけど、今使用してるのはコレ。安くてそこそこ軽い。
軽いとは言っても重量約520g。
極限まで軽量コンパクトを狙うならシュラフに入れるタイプもあるよ。258g。たぶん山岳用なので、キャンプで使い勝手が良いかはわかんない。
長所
最大の長所はコンパクトさ。収納サイズ100*100*200mm。価格面でもそこまで高くはない。
短所
空気を入れるのがちょっと大変。エアーポンプを内蔵したモデルも。
パンクしたら終了。大抵の商品には、パンク修理パッチがついてるけど、夜中に修理はあんまり現実的じゃないのよね。
寝心地
空気で膨らんでるだけなので、エアーマットの寝心地が好みかどうかで評価が変わりそう。
あくまで自分の場合だけど、エアーの気室が縦縞とか横縞みたいになってるやつは、寝返りうってマットから落ちたことがあるので、ブロックパターンがオスススメ。地面のデコボコが全く気にならないので、ふわっとしてるけど場所を選ばず快適に寝られる。
設営簡単、寝心地が快適なインフレータブルマット
寝心地最強で、設営も簡単。パンクに対してもある程度の耐性をもつのがインフレータブルマット。
エアーマットに発泡素材を組み込んだ複合構造。
自分が車中泊とかで愛用してるアストロプロダクツのインフレータブルが約1200g。ただこれはバイクでの積載を考慮してないので、存分に重いし収納サイズもテント並。
デイトナのneGla JUKUSUIマットなら約1000g。収納サイズも170*170*300mmとだいぶ現実的に。
長所
バルブをあけてほっとくだけで膨らんでくれる簡単設営。仮にパンクしても中の発泡素材のおかげで地べたに直接寝るよりはだいぶまし。
短所
重い。マットの中でも重さはピカイチ。
収納性については、130*130*540mm。ただ、アストロプロダクツのインフレーターマットはバイク向けじゃないので、バイク向けのジュクスイマットとかなら、170*170*300mm。エアーマットとEVAマットの中間くらい。
寝心地
寝心地は各種マットの中でも最強クラス。EVAマットより奥行きのある体の受け止め方をしてくれるし、エアーマットみたいにふわふわした感触が気になることもない。柔らかさだけじゃなくコシもあって、万人にオススメできる。
ウルトラライト系マットというのもあるよ
種類としてはEVAの仲間なんだけど、徹底的に軽量化にこだわった山岳向けのアイテムもあるよ。
重量わずか75g。自分の知る限りもっとも軽量なマット。まさにUL(ウルトラライト)の申し子。
ただし、展開時の全長は100cm。つまり軽量化のために全身をサポートすることをあきらめて、胴体を守ることが出来ればよいという割り切った設計。
長所
吹けば飛ぶほどに軽い。
短所
軽すぎて油断すると飛んでく。足が出るので、裸足や靴下だとかかとが痛い。
収納はそこまでコンパクトではない。ザックにぶら下げるように運ぶ山歩きなら軽さとサイズのバランスが良いけど、バイクだとサイズがちょっと気になるかな。
寝心地
地面に直接寝るよりは、ずいぶんマシ。ただ快適というといいすぎかな。山岳向けだし。
これはバイク用としてはよほどULにこだわる人にしか向いてないと思うけど、わざわざ紹介したのは、胴体だけマットという割り切りが、今回の主役であるところのホシゾラハイブリッドに通ずるものがあるのよね。
既存マットの良いとこどりなneGla ホシゾラハイブリッドマット
さて、本題。ホシゾラハイブリッドマット。
インフレーターマットとエアーマットを組み合わせることで、収納性と寝心地を両立させた、まさにバイクツーリングに最適なマットなのよ。
oneティピー(一辺約2500mm)に入れるとこんな感じ。わかりやすくするために、インナーを使わず地べたにそのまま置いてる。
ハイブリッドという名前の通り、複合構造。
胴体部分がインフレーター構造、足元はエアーマット構造になってるのよ。
収納サイズは145*145*270mmで、重量は680g。エアーマットより圧倒的に設営が楽。
寝心地だけど、胴体部分についてはインフレータブルならではのコシのある快適なもの。地面が石マジリでも気にならない。足元のエアー部分だけど、ゆうて足はそこまで繊細じゃないので、エアーで全然快適。今年何度も使ってるけど、ものすごく快適に安眠できる。
EVAよりも分厚く守ってくれるし、エアーみたいにふわふわしないし、寝心地最高。
収納状態はこんな感じ。
ハイブリッド構造のおかげで、通常のインフレータブルマットより相当にコンパクト。
収納最強のエアーマットと比較してみよう。比較対象は、FIELDOORウルトラライトエアーマット。
比較すると見た目はハイブリッドマットのが、ややでかいんだけど、実際に触ってみると意外と気になるほどの差はない感じ。と、いうのもハイブリッドマットはかなりしっかりと収納されてるのよ。それに対してエアーマットはどうしても空気を含んでふわっとした収納になってる。
なので、パッキング時にハイブリッドマットのが収まりが良いのよね。
寝心地を加味するとハイブリッドマット一択かな。自分もハイブリッドマット入手してからは、これしか使ってないし。
中身はこんな感じ。どっちも枕を一緒に収納させてる。こうしておかないと枕を忘れるのよね。
エアーマット部を切り離して座布団やチェアのマットにも
インフレータブルマット部とエアーマット部は面ファスナーでつながってる。
つまり脱着簡単。
面ファスナー部分はかなり細いけど、力がかかるとこではないのでこれで十分でしょ。むしろ軽量化への執念を感じる。
エアーマット部を外して、アルパインスタイルにもできるよ。
エアーマット部分を切り離して、チェアにのせることでチェアクッションとしても活用できるよ。寝る時だけじゃないのね。
使った椅子はデイトナの最新チェアであるところのアウトドアMIL。サイド部分に細身のパルステープが設けられてて、いろんなものをぶら下げることができるよ。
生地はこだわりの20Dナイロン
何と素材は20D(デニール)リップストップナイロン。簡単に言うと超軽量で裂けにくい高級生地。マットでこういう生地を使うのは、山岳用くらいじゃないのかな。
菱形の模様みたいなのは、内部の発泡ウレタンに対する肉抜き。
表面のデイトナアウトドアロゴは滑り止めになってる。
エアーマット部にも滑り止めがプリントされてるよ。
ウレタン厚は35mm。エアー部の高さ調節で癒しが生まれる
インフレータブルマット部はウレタン厚み35mm。
個人的に凄く気に入ってるポイントが、エアーマット部の方がインフレータ部より厚みがあること。
一日走り回ったり遊んでたりすると、足がむくむので、少し足を上げて横になると楽なのよ。なので、疲れて休みたいときには、エアー部の空気をぱんぱんにするとすごく癒される。
もちろんエアーマットなので、空気の量でどうにでも調整できる。
専用ピローで完全体になるぞ
快適な睡眠のためにはやっぱり枕も必要。昔は着替えを枕にしてたんだけど、ベストポジションを探すのが大変だし、そもそもエアピローならコンパクトなのでパッキングにも特に負担がないときづいてしまったのよ。
というわけでエアピローがオススメなんだけど、neGlaのエアピロー+なら同ブランドだけあって相性抜群。
エアピロー+とハイブリッドマットのてっぺんにスナップボタンが付いてる。
で、つながる。
ひっくり返せばほらこの通り。
まさに完全体の風格。もう寝るしかない。
展開はあっという間
展開については、インフレータブルマットとエアーマットの工程を組み合わせた感じ。
収納袋から取り出すとこんな弱弱しい姿。
インフレーター部とエアーマット部には同じタイプのエアバルブがついてる。
こいつを全開にしてほっとけばインフレーター部はじきに膨らんでくる。
膨らむのを待ってる間にエアーマットに空気を入れるのが吉。エアーマットに空気を入れるのって結構大変なんだけど、なんせ足元部分しかないからすぐ膨らむ。簡単。
ちなみに、インフレータブル部が自然に膨らむのを待ちきれなければ、息を吹き込めばこちらもすぐ膨らむよ。
収納が破格の簡単さ
キャンプ撤収時にマットの収納するのってちょっとめんどくさいのよね。空気をきっちり抜かなきゃだし、収納袋に納まるようにきれいに畳まなきゃいけないし。
で、ハイブリッドマットの何気に優れたポイントが収納性。個人的にはこれまで使ってきたマットの中でも抜群に簡単で安定してる。あくまで個人的な意見だけど、この収納の容易さだけでもホシゾラハイブリッドマットにする価値があるよ。
まずはエアーマット部のバルブを開放。
インフレータブル部のバルブも開放。
そしたらインフレータブル部にエアーマット部を折り重ねる。
もういっちょ、今度は横に折る。
あとは空気を抜きつつ丸めてくだけ。
きっちり空気が抜けるように、押さえつつ。説明書によると「膝を使って」とあるので、一応そんな感じで。ダイヤカットの肉抜きが効いてるのか、手だけでもいけるよ。
丸まったら、膨らまないようにインフレータブル部のバルブを閉じておこう。
付属のゴムベルトをかけるよ。このゴムベルトめっちゃ使いやすいので失くさないように。
これでマット本体はまとまった。簡単でしょ。
あとは収納袋にイン。収納袋のサイズにゆとりがあるので、入れるのも簡単。袋がギリギリのサイズだと、何度もやり直すことになるのよね。
収納袋に余裕があるので、エアピロー+も入れちゃおう。
そしたらドローコードを絞る。
念のため、軽く縛っておくよ。
最後に2本のコンプレッションベルトを引いて完成。このコンプレッションベルト、見たことない形だと思ったら、軽量化にこだわって選び抜いた逸品らしい。
完成。
ほんとめっちゃ簡単だし、なんといっても何度やっても同じように収納できるのが本当に素晴らしい。マット収納でめんどくさい思いをした人には、ぜひ体験してほしい。
一応、動画でも。
まとめ
個人的には収納の簡単さと再現性の高さが最大のお気に入り。寝心地も良いし、ぶっちゃけ今年はこれしか使ってない。
もう少しコンパクトでも嬉しいけど、それで寝心地が損なわれるのはイヤだし、やっぱりこれがベストバランスなのかも。キャンプマットとしては完成形と言って良いんじゃないかな。ほんとオススメよ。
レポート:若林浩志