ディクソンが今季初のポールポジション獲得
土曜日の予選は曇り空の中、気温25度、路面温度33度のドライコンディションで行われた。日本人ライダーは野左根航汰(Correos Prepago Yamaha VR46 MasterCamp)がQ1からの出走、羽田太河(Pertamina Mandalika SAG Team)は療養中のため、今回も欠場となっている。
予選Q1はソムキアット・チャントラ(IDEMITSU Honda Team Asia)がトップでセッションが折り返す。後半では各車タイムを更新していくがチャントラのタイムを更新するまでにはいたらずセッション終了。
チャントラ、セルジオ・ガルシア(Pons Wegow Los40)、フィリップ・サラック(QJMOTOR Gresini Moto2)、バリー・バルタス(Fieten Olie Racing GP)の4名がQ2進出を果たしている。野左根はタイムが上がらずQ1を15番手で終えている。
ポールポジションが決まる予選Q2では、Q1から進出してきた面々が好タイムをマーク。しかし、小椋をはじめとするQ2組がタイム更新し、セッションは後半へ。
終盤にディクソンとカネットが小椋のタイムを更新。ディクソンがトップ、カネット、小椋の並びでラストアタックに突入。最終的にこの順位は変わらずディクソンが今季初のポールポジション獲得となった。
2位には地元で初優勝を狙うカネット、小椋は3位につけた。ポイントリーダーのアコスタは9番手、ランキング2位のトニー・アルボリーノ(ELF Marc VDS Racing Team)はQ2にも進むことができず、決勝は20番グリッドからのスタートとなった。
ディクソンがポールトゥウィンで今季2勝目!アレナスが初の表彰台獲得
決勝は予選と同じく天候は曇り。気温25度、路面温度29度、ドライコンディションの中、全21周で行われた。
ポールポジションスタートのディクソンが順当にホールショットを奪いレースをリード。好スタートを決めたマニュエル・ゴンザレス(Correos Prepago Yamaha VR46 MasterCamp)が2位、小椋がポジションをキープし3位で周回していく。
しかし、ペースが上がらない小椋は2周目にカネット、続いてアロンソ・ロペス(Beta Tools SpeedUp)にも抜かれ、その後も徐々に順位を上げてしまう。
2位につけていたゴンザレスがディクソンをオーバーテイクしトップに浮上。ゴンザレス、ディクソン、カネットの3台でトップ集団が形成されるが、9番グリッドから猛烈な追い上げを見せるアコスタが4位まで浮上。9周目にはトップ集団に追いついた。
10周目にカネットがゴンザレスをパスしトップに出ると、カネットを逃したくないディクソンもゴンザレスを攻略。しかし勢いに乗るアコスタはカネットとディクソンをもオーバーテイクし、ついにトップに躍り出る。
トップにたったアコスタだったが、カネットとのバトル中にポジションを下げてしまう。その後もコースオフを喫してしまうなど優勝戦線から脱落。優勝争いはディクソンとカネットの2人に絞られた。
カネットの前に出たディクソンはトップでファイナルラップに突入。ディクソンの背後にピッタリとつけたカネットは最終コーナーまで攻め立てるも、順位は変わらず。トップを守り切ったディクソンが今季2勝を挙げた。
母国で悲願の優勝とはならなかったが、カネットが2位表彰台を獲得。3位にはアルベルト・アレナス(Red Bull KTM Ajo)が入り、Moto2クラス初の表彰台獲得となった。
小椋はペースが上がらず厳しいレースを強いられたが、粘りを見せ7位でフィニッシュ。野左根は24位で完走を果たしている。
2023 Moto2 第11戦 決勝結果
小椋がホンダを離脱!? ストーブリーグも加熱
シーズンも折り返し、来年に向けて動きが活発になる今日この頃。目下チャンピオンシップをリードしているアコスタのMotoGPクラス昇格や、Marc VDS Racing Teamがサム・ロウズと共に2024年からスーパーバイク世界選手権へ参戦することが発表されている。加えてPons RacingがMoto2クラスから撤退するなど来季に向けてのストーブリーグが活発化してきている状況だ。
そんな中、IDEMITSU Honda Team AsiaからMoto2クラスに参戦している小椋に関する噂が広まっている。それはホンダとの関係が解消されるというもの。
ホンダの育成ライダーとして、アジアタレントカップ、ルーキーズカップを戦い、2019年にはIDEMITSU Honda Team Asiaから世界選手権、Moto3クラスにフル参戦を果たした小椋。
キャリアをホンダと共に戦ってきた小椋は、2022年にチャンピオン争いも繰り広げた。この活躍によりMotoGP昇格の噂もあったが、本人の希望でMoto2クラスに残留となった。しかし今季は開幕前に負った怪我により出遅れてしまい、チャンピオン争いができていない状況だ。
また、来シーズンのMotoGPクラスに関してもLCR Hondaには中上貴晶が継続参戦することがほぼ決まっているため、小椋が昇格する可能性はない。このような状況に加え、チーム側も今季Moto3クラスに参戦しているマリオ・アジを昇格させたいという思惑があるようで、今回の移籍話が浮上している。
あくまで噂レベルだが、小椋は今シーズン限りで撤退するPons Racingを引き継ぎ2024年からMoto2クラスに参戦するMt HelmetsのMoto2チームへの加入が有力視されている。今後さらに騒がしくなってくる移籍話。2024年のグリッドにはどのようなメンツが顔を並べるのだろうか。
レポート:河村大志