「耕うん機ハンドル」、この意味がわかる人は間違いなくオッサンだ。そんな私も漏れなく、この世代にあてはまるお年頃。愛車のスズキ「GSX750S」に伝説の純正ハンドルをつけてみた!
文:黒田健一/写真:関野 温

ハンドルを交換した違反の取り締まり「刀狩り」とは?

ついに手に入れたぜ! GSX750S純正ハンドル

画像1: ハンドルを交換した違反の取り締まり「刀狩り」とは?

探し続けてついに入手した、伝説の「耕うん機ハンドル」

このGSX750Sを手に入れたのは2019年、カタナと言えばGSX1100Sだが、当時でも相場は高くて予算オーバー。その反面、GSX750Sの相場は1100の半額以下。正直カタナのスタイリングに惚れただけなので750でもかまわなかった。幸運なことに前オーナーが完璧に整備していた車両を譲っていただいた。しかもカスタムしているのは、1100用純正ハンドルとザックスのリアショックのみで、ぱっと見は完全ノーマルのGSX1100S。

しかし、時が経つにつれ1100用ハンドルのライポジがツラくなり、いつの日か乗らなくなり車検が切れ今に至る。それはもったいないので、GSX750Sの純正ハンドル「伝説の耕うん機ハンドル」を装着することにした。当時は不人気だったこのハンドルもいまでは貴重な一品となり、ネットではとんでもない価格で取引されている。それでも諦めずに探し続けていると相場の半額以下で購入することができた。

しかし、それが本物なのかは装着するまでわからない。だって写真でしか見たことがないから。はたしてホントに装着できるのだろうか?

今やとんでもない値段で取引されている幻のハンドル

画像: これがGSX750Sの純正ハンドル、通称「耕うん機ハンドル」だ。噂どおり鋳物で製作されている高級品だ。

これがGSX750Sの純正ハンドル、通称「耕うん機ハンドル」だ。噂どおり鋳物で製作されている高級品だ。

オークションで入手したのでホントに装着できるのか不安

画像: 正直、写真でしか見たことがないので、これが本物なのかどうかさえもわからない。装着できれば本物だろう。

正直、写真でしか見たことがないので、これが本物なのかどうかさえもわからない。装着できれば本物だろう。

ハンドルとスクリーン、その違いは一目瞭然!

下は輸出仕様のGSX1100S、さらに下が国内仕様のGSX750S。両者のデザインの違いはハンドル形状をはじめ、カウル下のフィンとスクリーンの有無。これは日本の法規に適応したものだが、750を購入した多くのオーナーは違反と知りながらも1100のハンドルとスクリーンを装着した。これを重く見た警察は取り締まりを実施。これを「刀狩り」と呼んだ。

SUZUKI GSX1100S KATANA(1981年式・輸出車)

画像2: ハンドルを交換した違反の取り締まり「刀狩り」とは?

SUZUKI GSX750S(1982年式・国内仕様)

画像3: ハンドルを交換した違反の取り締まり「刀狩り」とは?

並べて比較

SUZUKI GSX750S(1982年式)

画像1: スズキ「GSX750S」伝説の“耕うん機ハンドル”をゲット、装着してみたぞ!〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉

SUZUKI GSX1100S KATANA(1981年式)

画像2: スズキ「GSX750S」伝説の“耕うん機ハンドル”をゲット、装着してみたぞ!〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉

カタナシリーズ、純正ハンドル比較

2023年で100周年を迎えた月刊『オートバイ』でも、GSX750Sの右側に純正ハンドル、左に1100純正ハンドルを装着した写真なんて撮影していないはず。これは貴重な写真だぜ。

画像: 右のGSX750S純正は立ちゴケしてハンドルがひん曲がったのかと誤解しそうなくらいグリップの高さやハンドルの絞り角が左のGSX1100Sと大きく異なる。まさにカッコを取るか、快適性を取るか! 俺は快適性を重視した。

右のGSX750S純正は立ちゴケしてハンドルがひん曲がったのかと誤解しそうなくらいグリップの高さやハンドルの絞り角が左のGSX1100Sと大きく異なる。まさにカッコを取るか、快適性を取るか! 俺は快適性を重視した。

画像1: カタナシリーズ、純正ハンドル比較
画像2: カタナシリーズ、純正ハンドル比較
画像3: カタナシリーズ、純正ハンドル比較
画像4: カタナシリーズ、純正ハンドル比較

カタナのハンドル交換は、ちょっと面倒くさかった……

トップブリッジとメーターがくっ付いてる

画像: カタナのハンドル交換は、ちょっと面倒くさかった……

GSX750Sを購入してから自分でカスタムしたのは、グリップヒーターとUSB電源、LEDヘッドライトバルブくらいで、それ以外は何も整備をしなくてもいいほど良好だった。ハンドル交換はこれまで多くの車両で行っているので、たいしたことはないだろうと思っていたら、なんとトップブリッジを外さないとハンドルが外れない構造になっていた。

ボルト3つとステムヘッドナットを外せば簡単に外すことができたのだが、メーターユニットも一緒に付いてきたのには驚いた。そういえばバッテリー交換もエアクリーナボックスを外す必要があるなど、手のかかる子だぜ。

画像: ステムヘッドナットのサイズは22mm。このサイズはバイクいじりが好きな人じゃないと持ってないだろね。このナットは必ず指定のトルク値で締め付けよう。

ステムヘッドナットのサイズは22mm。このサイズはバイクいじりが好きな人じゃないと持ってないだろね。このナットは必ず指定のトルク値で締め付けよう。

画像: 高価な鋳物で製作されたハンドル裏に謎の金物が! 悩んだ末に出した答えはケーブルホルダー。肉抜きされているのでケーブルを見事に隠すことができる。

高価な鋳物で製作されたハンドル裏に謎の金物が! 悩んだ末に出した答えはケーブルホルダー。肉抜きされているのでケーブルを見事に隠すことができる。

画像: 最後に問題発生! ブレーキのマスターシリンダーに繋がる1本のブレーキホールの長さが、アップハンドルにしたことで足りないのだ。長めの市販品で対応した。

最後に問題発生! ブレーキのマスターシリンダーに繋がる1本のブレーキホールの長さが、アップハンドルにしたことで足りないのだ。長めの市販品で対応した。

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