2023年10月1日、2023 MotoGP世界選手権第14戦日本GPがモビリティリゾートもてぎで行われた。日本人ライダーが5名参戦しているMoto3クラスは、佐々木歩夢(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)がチャンピオン争いを繰り広げている。母国戦で優勝を目指す佐々木は、ランキング上位勢と優勝争いを演じ、優勝を逃すも2022年に続き表彰台を獲得して見せた。

連勝中のマシアがポールポジション獲得! 日本勢は佐々木の8番手が最上位に

画像: サンマリノから3戦連続でポールポジションを獲得したマシア。

サンマリノから3戦連続でポールポジションを獲得したマシア。

日本人ライダーにとって特別な一戦となる今大会。予選では4名が直接Q2に進出を決め、古里太陽(Honda Team Asia)はQ1から上位進出を狙う。

シーズンを追うごとに成長し、本人やチームのハードワークが成績にも反映してきた古里。Q1前半では1分57秒564までタイムを更新し、暫定トップに浮上する。

Q1終盤ではジョエル・ケルソ(CFMOTO Racing PruestelGP)、リカルド・ロッシ(SIC58 Squadra Corse)の2名が古里のタイムを上回るも、古里は3位でQ1を終えQ2進出。これで日本人ライダー全員がQ2進出を果たすこととなった。

予選Q2の序盤は佐々木がやはり速く、2番手につける。しかし、ラストアタックでは佐々木を含め日本勢のタイムが上がらず後退。ライバル勢のタイム更新もあり、佐々木の8番グリッドが日本勢の最上位となった。

ポールポジションはマシアが獲得し、3戦連続で予選を制して見せた。2位はデニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)、3番手はマッテオ・ベルテッレ(Rivacold Snipers Team)が入った。

上述のとおり佐々木は8番手、鳥羽海渡(SIC58 Squadra Corse)が12番手、山中琉聖(GASGAS Aspar Team)が13番手、古里が14番手、そして鈴木竜生(Leopard Racing)が17番手。決勝レースでの巻き返しを狙う。

画像: 現在最も勢いに乗るマシアが3連続でポールポジションを獲得。もてぎでも速さを見せつけた。

現在最も勢いに乗るマシアが3連続でポールポジションを獲得。もてぎでも速さを見せつけた。

マシアが連勝でランキング首位に浮上! 佐々木は粘りの走りで2位表彰台を獲得

画像: 優勝したマシアがランキングトップに浮上。佐々木も2位に入り、マシアとのポイント差は「6」となった。

優勝したマシアがランキングトップに浮上。佐々木も2位に入り、マシアとのポイント差は「6」となった。

昨年以上にファンが押し寄せた今年の日本GP。参戦する日本人が最も多いMoto3クラスは、佐々木がチャンピオン争いを繰り広げていることからも注目が集まっている。駆けつけた多くのファンが佐々木の今季初優勝を期待していた。

ポールポジションはジャウマ・マシア(Leopard Racing)で、彼と同点でポイントリーダーとなっているダニエル・オルガド(Red Bull KTM Ajo)は6番手からのスタートだ。

朝に雨が降ったモビリティリゾートもてぎ。決勝時は雨は降らずドライコンディションとなったが、ところどころウェットパッチが点在する難しい路面状況であった。

17周の決勝はオンジュがホールショット。好スタートを切った6番グリッドスタートのダニエル・オルガド(Red Bull KTM Ajo)も好スタートで2番手に続き、佐々木は5番手でレースをスタートさせた。

オープニングラップが終わり、早くもオンジュ、オルガド、マシア、佐々木の4台が向け出す形に。チャンピオンを争う4名で構成されたトップ4のバトルは、4周目に佐々木が仕掛けマシアを攻略。表彰台圏内に浮上する。

佐々木は勢いを止めることなく2位に浮上。しかし、マシアもペースを上げ、7周目にはトップに躍り出る。ペースの良いマシアが先頭に出た瞬間、独走体制を阻止すべく佐々木が反応。オンジュを交わし、トップを追う。

しかし、オンジュも諦めておらず果敢に佐々木に仕掛けていく。オンジュとのバトルを強いられた佐々木はマシアを追うことができず、中盤には1秒の差をつけられてしまった。

積極的な走りを見せるオンジュだったが、11周目のヘアピンでスリップダウン。これで佐々木が2位、オルガドが3位となる。

佐々木は徐々にマシアとの差を詰めるも、マシアもペースを上げ佐々木の急接近を許さない。安全マージンを確保したマシアがインドに続き連勝、善戦同様、ポールトゥウィンでランキングトップに浮上した。

画像: マシアが連勝でランキング首位に浮上! 佐々木は粘りの走りで2位表彰台を獲得

佐々木はファイナルラップの90度コーナーでオルガドのオーバーテイクされるも、最終コーナーで距離を詰めた佐々木がスリップストリームを利用し2位でチェッカーを受けた。オルガドは最終コーナーの縁石でバランスを崩したこともあり、ホームストレートで車速を伸ばすことができなかった。

優勝を逃し、悔しい2位となった佐々木だが、昨年の3位に続き、日本GPでは2年続けての表彰台獲得となった。

混戦のチャンピオンシップはオルガドに代わりマシアがポイントリーダーに浮上。佐々木はランキング2番手でその差は6ポイントとなった。

その他日本勢も鳥羽が8位、山中が9位、古里が12位でポイントを獲得。鈴木は14周目のターン1で転倒し、無念のリタイアに終わっている。

画像: 表彰台に上がった3名のポイント差はわずか「9」。今年のMoto3クラスは最終戦まで戦いが続くことだろう。

表彰台に上がった3名のポイント差はわずか「9」。今年のMoto3クラスは最終戦まで戦いが続くことだろう。

日本GPのレースウィークでは嬉しい発表があった。現在ランキング2位でチャンピオン争いをしている佐々木が、来年Moto2クラスへ昇格することが発表された。

所属チームはYamaha VR46 Master Camp Team。2017年に設立された同チームは、ヴァレンティーノ・ロッシが主宰するVR46ジュニアチームとの協力関係にあり、これまでにFIM CEV Moto3をはじめ、FIM CEV Moto2に参戦。

2022年から世界選手権Moto2クラスへ参戦を開始し、今年は日本人ライダーの野左根航汰がこのチームからMoto2クラスに参戦している。

連勝し勢いに乗るランキングトップのマシアは、来季のMoto2クラスへの昇格を機に調子を上げている。おそらく、来年以降の契約が決定し、レースに集中する環境ができたからであろう。

念願だったMoto2クラスへの昇格が決まった佐々木。来季に向けての心配事がなくなった今、残りのレースでの活躍に期待したい。Moto3クラスチャンピオンの称号を手土産にステップアップしたいところだ。

2023 Moto3 第14戦 決勝結果

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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