バニャイアがレコードブレイクでポールポジション獲得
予想された雨は降ることなく気温29度、路面温度47度のドライコンディションの中予選が行われた。
今大会では、今シーズンのSBK(スーパーバイク世界選手権)を制したアルバロ・バウティスタ(Aruba.it Racing)がワイルドカード参戦を果たしている。
予選Q1の序盤はエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)が暫定トップに立ちセッションをリード。後半になるとファビオ・ディ・ジャナントニオ(Gresini Racing MotoGP)がトップタイムをマークしQ1トップでQ2に進出を決めた。ディ・ジャナントニオにトップの座を奪われたものの、バスティアニーニはQ1を2位で終えこちらもQ2進出を果たしている。
4台ともQ1出走と苦しい戦いが続くホンダ勢。マルク・マルケス(Repsol Honda Team)はQ2に進出すべく後追いを敢行。フランコ・モルビデリ(Monster Energy Yamaha MotoGP)の背後に執拗につけタイムアップを図ったが、更新ならず。最終ラップには転倒を喫するなど散々な結果となった。
中上貴晶(LCR Honda IDEMITSU )はQ1を11番手タイム、バウティスタはマシントラブルもあり12番手でQ1を終えている。
予選Q2ではアレックス・マルケス(Gresini Racing MotoGP)が好調。さらに各車トップタイムを続々と更新していき、レコードタイムを出したルカ・マリーニ(Mooney VR46 Racing Team)が暫定トップに浮上した。
しかしさらにタイムを更新したのがマルティン。1分57秒549という新たなレコードタイムを叩き出したマルティンが暫定トップに立ちセッションは後半に突入する。
Q2の後半ではQ1を勝ち抜いてきたバスティアニーニが2番手に食い込む中、ディ・ジャナントニオとマリーニが転倒。ポールポジション争いはラストアタックの一発勝負となる。
ポールポジションが決まるラストアタックに突入したマルティンがターン1でまさかの転倒。そんな中ここまで鳴りを潜めていたバニャイアが1分57秒491を叩き出しポールポジションを獲得した。
土壇場でレコードタイムを更新したバニャイア。マルティンに接近を許しているだけに嬉しいポールポジション獲得となった。
転倒を喫しながらもマルティンは2番グリッドを確保、そして3番手にはバスティアニーニが入った。ドゥカティワークスの2台がフロントロウを獲得、そして上位6位までがドゥカティ勢と今シーズンを象徴するような予選結果となった。
A.マルケスがスプリント2勝目!マルティンがバニャイアの前でゴールしポイント差は「11」に
気温33度、路面温度55度のドライコンディションの中、10周のスプリントレースが行われた。ポールポジションからスタートしたのバニャイアがトップをキープしてターン1をクリア。2位にはアレックス・マルケス、マルティンは3位でオープニングラップを消化した。
スタートで2位に上がったアレックス・マルケスは一時マルティンに2位を奪われるも、すぐに抜き返しトップのバニャイアを追う。
バニャイアとのギャップを詰めていったアレックス・マルケスは6周目のターン9でバニャイアをオーバーテイクしトップに浮上。この隙をついたマルティンが2位に上がった。
3位に下がったバニャイアはフロントのグリップ不足に悩まされペースが上がらない。さらにフロントウイングにゴミが張り付くなど苦しいレース展開となる。
一方、トップに立ったアレックス・マルケスはマルティンを寄せ付けない走りを披露。そのまま逃げ切りスプリントで2勝目を挙げた。
2位にはマルティン、3位には僚友バスティアニーニを従えたバニャイアが入った。これでマルティンとバニャイアのポイント差は11に縮まる結果となった。
中上は19位、ワイルドカード参戦のバウティスタは22位でスプリントを終えている。
バスティアニーニが今季初優勝! マルティンはペースが上がらずバニャイアの先行を許す
雨季に入っているマレーシア。上空では黒い雲が散見されるも雨が降ることはなく気温33度、路面温度47度のドライコンディションの中、20周の決勝がスタートした。
スタートを決めたのはバニャイアのチームメイトであるバスティアニーニ。スプリント優勝のアレックス・マルケス、そしてタイトルコンテンダーのバニャイアとマルティンが続く。
バスティアニーニとアレックス・マルケスが抜け出す中、4位のマルティンはライバルのバニャイアに襲いかかる。
マルティンの追撃を抑え込んでいくバニャイアは上位2名を逃してしまう結果に。しかし、タイヤのマネジメントの差が出たのか、マルティンのペースが徐々に落ち始めていく。
スプリントに続き決勝レースでの優勝を狙うアレックス・マルケスだったが、トップのバスティアニーニのペースが良く、両者のギャップは1秒以上に広がっていった。
上位勢は1秒差の等間隔で周回を重ねる展開となり、リスクを冒すことなく安定したラップタイムを刻みながらゴールを目指す。そんな中マルティンのペースがさらに落ち、バニャイアに対し大きな差をつけられてしまった。
その後も順位の変動はなくレースはファイナルラップに突入。バスティアニーニはトップを守り切りトップチェッカー。今季初、そしてドゥカティワークスに加入後初の優勝となった。開幕戦のスプリントでいきなり負傷し、長いリハビリを強いられたバスティアニーニ。苦しい時期を乗り越え、悲願のドゥカティワークスライダーとして優勝を果たした。
2位は週末を通して好調だったアレックス・マルケス。3位にはバニャイア、マルティンが4位でレースを終えた。バニャイアはスプリントでマルティンの先行を許すも決勝レースをまとめ上げ、最終的には1ポイントギャップを拡大することに成功している。
レース後、ドゥカティワークスの2台にタイヤ最低内圧の違反が発覚。決勝レースで最低内圧の数値を下回った状態で50%以上走行すると違反となる新しいレギュレーションに抵触したのだ。
ペナルティが科されるのは2回目からであり、今回のレース結果に変動はない。しかし、バニャイアにとってはタイトル争いをしているだけに、残り2戦で同じミスは犯せない。マルティンもタイGPで同様の違反が見つかっているため、両陣営にとって緊張感のある戦いが続く。
日本人ライダーの中上はレース中盤に転倒を喫するも再スタートを切り18位でレースを終えている。
2023 MotoGP 第18戦 決勝結果
レポート:河村大志