悲願の初優勝に向けてカネットがポールポジション獲得
予選Q1には日本勢が揃って出走。小椋藍(IDEMITSU Honda Team Asia)はフリー走行のコンバインドでQ2に進むことができなかったが、Q1では序盤からトップでセッションをリードしていく。
ライバル勢のタイム更新もあったが、小椋は僚友であるソムキアット・チャントラ(IDEMITSU Honda Team Asia)とともにタイムを更新。
ラストアタックでフィリップ・サラッチ(QJmotor Gresini Moto2)がトップに立つも、小椋はチャントラに続き3番手でQ1を終え、Q2進出を決めた。
野左根航汰(Correos Prepago Yamaha VR46 Team)と羽田太河(Pertamina Mandalika SAG Team)はともに転倒がありQ1敗退となっている。
ポールポジションが決まるQ2では目下3連勝中のアルデゲルが速さをみせる。しかし、こちらも母国戦となるアロン・カネット(Pons Wegow Los40)やジェイク・ディクソン(GasGas Aspar Team)、バレンシアを得意としているサム・ロウズ(Elf Marc VDS Racing Team)がアルデゲルのタイムを更新。
ライバル勢が奮闘する中、アルデゲルは再びトップに浮上。このままアルデゲルのポールポジション獲得かと思われたが、ラストアタックでカネットが逆転した。
カネットが所属する名門ポンスレーシングのラストレースでもある今大会。自身の初優勝、そしてチームに有終の美を飾るべくカネットが維持のポールポジション獲得となった。
2位にはアルデゲル、3位にはこちらも後半戦好調のマルコス・ラミレス(American Racing)が入っている。
Q1から進出してきた小椋はQ2では振るわず低迷。決勝は17番手から巻き返しを図ることになった。
アルデゲルが完璧な走りで4連勝達成! ランキング3位でシーズンを終える
決勝では2番グリッドスタートのアルデゲルがホールショットを奪いトップに立つ。後方ではセルジオ・ガルシア(Pons Wegow Los40)をはじめとした複数台が絡むアクシデントが発生、最終コーナーでは野座根も転倒するなど、オープニングラップからいきなり波乱の展開となった。
アルデゲルが得意の先行逃げ切りのパターンにもっていこうとするも、初優勝を目指すカネットが暗いつき、序盤から2台が抜け出す展開となる。
しかし、レースが半分を消化する頃にはアルデゲルが抜け出し独走状態に。離されたカネットの後には、ラミレスを攻略したアロンソ・ロペス(GT Trevisan SpeedUp)が上がってきていた。
ロペスの先行を許したラミレスだが、最後の最後までロペスを攻め立て、勝負はファイナルラップにまでもつれ込む。
トップのアルデゲルはカネットを引き離してからは独走、無風状態で走りきりトップチェッカー。今季チャンピオンに輝いたアコスタもなし得なかった4連勝を達成した。同クラスでは2010年のトニ・エリアス以来、13年ぶりの快挙である。
2位はカネットで、今季限りでMoto2クラスから撤退するポンス・レーシングに表彰台をプレゼント。また、自身にとってバレンシアで初の表彰台獲得となった。
3位争いはコントロールラインまでもつれ込むも僅差でロペスに軍配。Speed Upにとっては初めて2台揃っての表彰台獲得という結果に。
小椋は中団グループで新チャンピオンのアコスタとのバトルを勝ち抜き11位でフィニッシュ。羽田は22位でMoto2ラストレースを終えた。
来季は小椋が新天地に移り、佐々木歩夢がMoto2に昇格するなど見どころの多いシーズンとなる。早速シーズンオフのテストから目が離せない。
2023 Moto2 第20戦 決勝結果
レポート:河村大志