文:黒田健一/写真:南 孝幸
旧車のプロ「コアガレージ」のスーパードクターズが車両状態を厳しくチェック

恐るべしスーパードクターズ、無理難題を次々に突破!
さて今回のテーマは、キャブのオーバーホール以外に、ニュートラルスイッチの修理という大仕事がある。CBX750Fのニュートラルスイッチは昔ながらのちょっと変わった形状をしている。よって他車の流用もできなければ、当然新品パーツもないので修理するしかないのだ。こればかりはコアガレージのスーパードクターズも修理不可能宣言をするかもしれない……。
しかし! ニュートラルスイッチをしばし見つめながら故障の原因をすぐに特定。いわゆる接点の接触不良が原因なので「接点復活剤を使えば解決する」とのことだが、これを分解するのは不可能に近い。ということでスイッチの横に小さい穴をドリルで開けて、そこから接点復活剤を噴射するというのだ。こんな方法はまったく思いつかなかった……。作業はとんとん拍子に進んでいき、いざニュートラルスイッチを取り付けてメインスイッチをONにすると、あっけなく点灯。いや~スゴイ! これにはマジで感動した。
壊れたニュートラルスイッチ! さてどうする?

現在のモデルとは異なる複雑な形状をしたニュートラルスイッチ。数年前に海外サイトで新品が1万3000円ほどで販売されていた。その時で残り2個だったので、今はもう購入できないだろう。

ニュートラルランプが点灯しない原因は接点の接触不良という診断。分解できない構造なのでスイッチの横にドリルで穴を開けた。

わずか1mmほどの穴を開けることができた。

この穴から接点復活剤をたっぷりと噴射。

5年ぶりに緑のランプが点灯。これが点灯しなくても車検はパスできるのだが、使い勝手を考えると点灯するに越したことはない。
これが解決すれば、あとはキャブレターをオーバーホールするだけ。ガスケットとOリングは新品に交換、それ以外のジェット類はすべて再利用した。心配なのはダイヤフラムラバーだ。これが破けていると新品に交換するしかない。とりあえずダイヤフラムラバーは年数なりのやれ具合でまだ使えるとのことなのでひと安心。
インシュレーターとエアクリーナーダクトをはじめ、エアクリーナー、プラグ、バッテリーも新品に交換。全ての準備が整いメインスイッチをONにするとメーターパネルに火が灯る。そしてセルが元気よく回った数秒後、マフラーから赤茶色の煙が吹き出すと同時にあっけなくエンジン始動! 5年ぶりに聴くサウンドに胸が熱くなる。
絶不調だったキャブレターはオーバーホールで改善するのか?

バラバラに分解されたキャブレター。バラした感じでは特に問題になる箇所はなかった。

バラしたジェット類をキャブクリーナーに浸して洗浄。みるみる洗浄剤が黒く染まっていく。

ダイヤフラムがスライドする部分も滑らかに動くように清掃。なみに新品のダイヤフラムラバーの在庫を調べてもらったら、3個在庫が残っていた。3個? 誰か1個だけ購入したのか? どうせなら4つ交換しろよと言いたいが、価格を聞いて納得。なんと1個約1万円、なので4つだと4万円オーバー。そりゃ必要な数だけ購入するよな。

コンプレッサーで空気を送りながらフロートの動きを確認。3番目のフロートの動きが渋かったので修正した。
カチカチだったエアクリーナーダクト、エアクリーナーは新品に交換

海外サイトで購入した新品のエアクリーナーダクトを取り付け中。新品の純正部品が入手できたのは奇跡だろう。

スチール製のケースごと交換するエアクリーナー。海外製のアフターパーツを使用したが、今でも入手できるだけありがたい。
5年間の眠りからついに目覚めたエンジン!
感動の瞬間! 以前だったらエンジンが暖まるまで3000rpm以上は回らなかったのに、すぐさま7000rpmオーバー。

すぐにでも車検を通して走り出したいのだが、なんと燃料タンク内がサビだらけ。ということで次回はCBX750Fの燃料タンクのサビ取り企画をお届けする。
作業完了!

コアガレージ代表の吉村さん(写真右)、メカニックの横間さん(写真左)。
コアガレージ|東京都墨田区石原1-20-6
文:黒田健一/写真:南 孝幸