文:黒田健一/写真:南 孝幸
購入時の2018年には元気に走っていたCBX750F
スクエアフェチを虜にする四角い2眼ヘッドライト
この企画で何度も登場している私の宝物「1980年代ナナハントリオ」の中で、最初に購入した車両がCBX750F。このバイクとの出会いはCBXが現役バリバリだった時代、ちなみにその頃の私は汚れを知らない17歳。そんな好青年の心を奪ったCBXは、タイのパタヤビーチにあるレンタルバイク屋にひっそりと並んでいた。
パタヤ? そう今から30年以上も前、父の仕事の関係でタイのバンコクで過ごした。1年が経つ頃にはすっかりタイの生活に慣れてしまい、正直30年前のバンコクなんて電車もコンビニもない時代、することがないのだ。
そんな時、アフロヘアの悪男先輩に「パタヤでレンタルバイクに乗ろうぜ」という悪魔のささやきに触発され、それからというもの毎週末、彼女と一緒に早朝バスに乗ってパタヤにバイクを乗りに行った。そんな思い出がいっぱい詰まったCBX750Fが、クソジジイになってからも忘れられず、2018年に激安の中古車を購入した。
CBX750Fの特徴でもある四角形の2眼ライトは好き嫌いがハッキリと分かれる一風変わった風貌。それが功を奏してか、旧車価格爆上がりの現在でも影の薄い存在だ。でもなぜかあの四角いヘッドライトに魅せられる。ちなみにテールランプも大好きだ、なぜなら四角形だから。そういえば以前乗っていたZZ-R1100のCタイプを購入した理由も「四角形のテールランプが好きだから……」。つまりバリバリのスクエアフェチなのだ。
そろそろ話をCBXに戻そう。購入時は普通に走っていたのだが、ひとつだけ厄介な症状があった。それはエンジンが冷えているときにアクセルを開けても3000rpm以上は回らないのだ。無理に開けるとエンジンが停止してしまう。でもエンジンが暖まるとレッドゾーンまで軽快に回る不思議な現象だった。それを改善しようと2018年末にキャブを外して某旧車屋に持ち込んだのだが、いつになっても連絡がこないので電話すると「メカニックが長期入院中で対応できない」とのこと。それから今日までの5年間、キャブを外した状態で放置していた。
前回紹介したナナハンカタナが一段落したので、今回からはCBX750F企画をお届けする。今回のお題は、壊れたニュートラルスイッチの修理とキャブのオーバーホールの2本立て! お世話になるのは東京都墨田区にある「コアガレージ」。果たしてCBXは息を吹き返すのか⁉
5年間の放置から再始動へ!