文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
タナックス「SRS-001 スマートライドモニターAIO-5Lite」テスト&レポート
スマホ、インカムと接続して安心便利なライディング環境を構築
数年前から普及し始めた『スマートモニター』や『ディスプレイオーディオ』と呼ばれるデバイス。使っているスマホがiPhoneならアップルカープレイ、アンドロイド端末ならアンドロイドオートというアプリを経由してインターネットに接続すれば、ナビ、WEB検索、音楽再生、電話、SNS、ほかのスマホ機能をほぼそのまま使える(端末機種によって制限あり)ことから、従来のナビ/オーディオに代わって純正装備またはオプション設定したクルマが増えている。
これを雨や振動、直射日光といった過酷な条件に対応させたのがオートバイ用スマートモニター。スマホは無線接続範囲内にあればいいのでハンドルまわりにマウントを取り付ける必要はなく、ジャケットのポケットかバッグに放り込んでおけばいい。
すでにWEBショップや電子機器店で多くの製品が販売されているが、国内では技適マーク(技術基準適合証明)が付いていない製品は電波法に抵触するので注意しよう。
タナックスのSRS-001は、日本の電波法に基づいた仕様で、スマートモニター機能とGPS付きドライブレコーダー機能を併せ持つ。オートバイ用だけに、本体、カメラともIP67の防水・防塵で、走行中の振動を吸収するマウント構造や画像のブレ補正機能も搭載している。
単体で使える機能は前後同時録画のドラレコ、GPS受信による走行情報表示と音楽再生、駐車監視録画機能など。そしてスマホと接続すればスマホ側のアプリも同時に使える、という2層になったシステムだ。
多彩な機能をシンプルな構成で実現
市街地と高速道路を昼から夜まで4日間走った結論は、「手軽に買える価格ではないが、一度使えば欲しくなる便利で安心なデバイス」だ。
まず、スマホマウントやUSB電源の取り付け・着脱が要らず、スマホの落下や故障が防げる。オートバイのメインスイッチを入れるだけで起動してスマホ経由でインターネットに繋がり、ドラレコ録画も自動的に開始されるから、後付け電子機器にありがちな接続や設定に時間を取られることもない。
モニターは輝度と解像度が高く、昼夜を問わずにクッキリ見える。モニターは横位置固定になるためスマホの縦画面とは表示が変わるが、すぐに慣れるレベル。画面タッチや本体上部にあるハードスイッチの操作に対する反応も早くてストレスフリー。テスト車にはオプションのリモコンスイッチが装着されていたので、ハンドルから手を離すことなく、ひととおりの操作ができた。
独自の『死角検知システム』は、カメラの画像をAI解析し、後方からの接近車両があるとモニター上に警告が出て接触や追突の危険を知らせるもの。この機能は自動車のブラインドスポットモニターに近い。
注目すべきはタイヤのモニタリング機能。別売のセンサーをエアバルブに装着するだけでタイヤの内圧と内部温度が常時表示され、任意設定の最低/最高空気圧の範囲から外れれば警告が出る。後付けタイヤモニターのように受信器を付ける必要がなく、充電も不要。空気圧管理に加え、車両、タイヤ、乗り方に適した内圧を探るためにも有効だ。
限られたスペースで機能や設定をすべて紹介することは不可能だから、詳細はタナックスのウェブサイトで確認を。オートバイ用デジタルデバイスの新時代到来を感じると思う。
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海