オートバイ誌2023年7月号で紹介したオンボロCBX750F。あれから5カ月が経過してしまったが、ついに毎度おなじみの旧車のスーパードクター「コアガレージ」に入庫。5年ぶりにエンジンは目覚めるのか⁉
文:黒田健一

諦めるな! どんなサビも撃退できる…さ

画像: 今回の修理もコアガレージのスーパードクターズにお願いしました。

今回の修理もコアガレージのスーパードクターズにお願いしました。

旧車再生は一難去ってまた一難。サビだらけの燃料タンクを救え

前回紹介した5年間も不動状態で保管していたCBX750Fの再生計画は、キャブレターのオーバーホールによって見事に始動した。こうなれば寒くなる前に車検を取ってツーリングに行っちゃおうかな~なんて考えていたのだが、そう甘くはなかった。

なんと燃料タンク内がサビだらけになっていたのだ。しかも軽いサビなんてもんじゃない! これを再使用するのは無理なんじゃね~? と素人目には見えたのだが、コアガレージのスーパードクターズによると、「これくらいのサビなら時間をかければ落ちるよ!」と嬉しい返事。タンクのサビとりは絶対に焦らず、じっくりと時間をかけないと必ず失敗するそうだ。

ところでサビとりと言えば「サンポール」って聞いたことない? 「酸が効く」のアレだよ。その昔、自分でGPz750Fのタンクの錆び取りをしたときにサンポールを使ったのだが、今回プロによるサンポールを使ってのサビ落としを見たら、自分のやり方はだいぶ大雑把だったことを思い知った。今のところ大丈夫そうだけどね。

今回はプロから学ぶ、サンポールを使ってのサビとり方法を伝授する。

残っていたガソリンは茶色に変色! タンク内はサビだらけ

この企画のためにCCDカメラを購入し、タンク内の状況を確認するとタンク内全体がサビまくっていた。残っていたガソリンは見事なまでのサビ色で、ガソリンには剥がれ落ちた鉄粉が混じっている状態。当然燃料コックは全バラ洗浄が必要とのこと。しかし、このサビが落ちるとは思えないのだが…。

画像: CCDカメラでタンク内を覗いてみたら、上のとおり。タンク内のガソリンは右写真のような状態…。

CCDカメラでタンク内を覗いてみたら、上のとおり。タンク内のガソリンは右写真のような状態…。

画像1: 燃料タンク内のサビを取る方法|ホンダ「CBX750F」レストア日記〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉

その1 まずは水で異物がなくなるまでタンク内を何度も洗浄!

使用したのはサンポールと水性アルカリクリーナーの2つ。どちらもホームセンターで購入できる。

画像1: その1 まずは水で異物がなくなるまでタンク内を何度も洗浄!

まずは給油口、燃料コック、燃料センサーを外してジャブジャブと水洗い。

するとカフェラテみたいな液体(下写真)がドバドバ出てきた。それがなくなるまで何度もタンクを振りながら洗い続ける。空の燃料タンクでも重たいのに、水を入れて振るなんて、五十肩の俺にはできね〜。

画像2: その1 まずは水で異物がなくなるまでタンク内を何度も洗浄!

その2 水性アルカリクリーナーで泡が立つまでさらに洗浄! 泡は油分がなくなった証拠

異物がなくなるまで水洗いしたら、次は水性アルカリクリーナーと水を混ぜて、ひたすらタンクを振りながら洗い続ける。

画像1: その2 水性アルカリクリーナーで泡が立つまでさらに洗浄! 泡は油分がなくなった証拠

すると今度はカフェラテじゃなくてミルクティー(下写真)が出てきた。このミルクティーをよく見ると泡立っていないでしょ? これはタンク内に油分が残っている証拠なのだ。

画像2: その2 水性アルカリクリーナーで泡が立つまでさらに洗浄! 泡は油分がなくなった証拠

繰り返し洗浄していると次第に白い泡が出てくる。これは油分が抜けたことのサイン。これでOK。

熱が洗浄効果をパワーアップ! 熱帯魚の水槽にあるアレを使うのだ!

さすがプロ! サビとりを促進させる裏技があったのだ。なんと熱帯魚の水槽の水を温めるサーモセンサー(下写真右)をタンクに入れてサンポールを温めると、さらに洗浄効果が増すそうだ。水性アルカリクリーナーで洗浄するときも、これを入れてつけ置き洗いにしてもOK。熱の洗浄効果は偉大なのだ。そして給油口の穴は風呂おけの栓を使い、燃料コックの穴はイスの足にかぶせる傷防止のキャップ(下写真左)が良いそうだ。

画像4: 燃料タンク内のサビを取る方法|ホンダ「CBX750F」レストア日記〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉
画像5: 燃料タンク内のサビを取る方法|ホンダ「CBX750F」レストア日記〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉

その3 酸が効く! サンポールに4日間漬け込んだらサビはほぼ撃退

サンポールと水を半々くらいで混ぜて、4日間漬けこむ。

画像1: その3 酸が効く! サンポールに4日間漬け込んだらサビはほぼ撃退

するとタンク内はご覧のとおりピカピカ!

画像2: その3 酸が効く! サンポールに4日間漬け込んだらサビはほぼ撃退

実は2日目に様子を見に行ったら、まだサビが残っている状態だったので、さらに2日延長した。とにかく焦らないのが綺麗に仕上げるコツ。そうそう、たまにタンクをひっくり返して上部のサビとりも忘れないでね!

画像3: その3 酸が効く! サンポールに4日間漬け込んだらサビはほぼ撃退

新品タンクが手に入らないならFRPでワンオフ製作してもらおう!

旧車オーナーの悩みでもある純正部品の欠品問題。今回紹介したCBX750Fも当然新品タンクは手に入らない。程度の良い中古品もイイけれど、サビないFRPでタンクをワンオフ製作してくれるデーククラフトモーターサイクルにお願いするのもありだろう。ワンオフ製作基本価格は24万2000円、無塗装サフェーサー仕様のタンクは14万4100円と良心的な価格なのは嬉しいね。

画像6: 燃料タンク内のサビを取る方法|ホンダ「CBX750F」レストア日記〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉
画像7: 燃料タンク内のサビを取る方法|ホンダ「CBX750F」レストア日記〈ハチ黒の愉快爽快キャブ車三昧〉

デーククラフトモーターサイクルズ 
熊本県上益城郡御船町小坂950-1

文:黒田健一

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