文:黒田健一
諦めるな! どんなサビも撃退できる…さ
旧車再生は一難去ってまた一難。サビだらけの燃料タンクを救え
前回紹介した5年間も不動状態で保管していたCBX750Fの再生計画は、キャブレターのオーバーホールによって見事に始動した。こうなれば寒くなる前に車検を取ってツーリングに行っちゃおうかな~なんて考えていたのだが、そう甘くはなかった。
なんと燃料タンク内がサビだらけになっていたのだ。しかも軽いサビなんてもんじゃない! これを再使用するのは無理なんじゃね~? と素人目には見えたのだが、コアガレージのスーパードクターズによると、「これくらいのサビなら時間をかければ落ちるよ!」と嬉しい返事。タンクのサビとりは絶対に焦らず、じっくりと時間をかけないと必ず失敗するそうだ。
ところでサビとりと言えば「サンポール」って聞いたことない? 「酸が効く」のアレだよ。その昔、自分でGPz750Fのタンクの錆び取りをしたときにサンポールを使ったのだが、今回プロによるサンポールを使ってのサビ落としを見たら、自分のやり方はだいぶ大雑把だったことを思い知った。今のところ大丈夫そうだけどね。
今回はプロから学ぶ、サンポールを使ってのサビとり方法を伝授する。
残っていたガソリンは茶色に変色! タンク内はサビだらけ
この企画のためにCCDカメラを購入し、タンク内の状況を確認するとタンク内全体がサビまくっていた。残っていたガソリンは見事なまでのサビ色で、ガソリンには剥がれ落ちた鉄粉が混じっている状態。当然燃料コックは全バラ洗浄が必要とのこと。しかし、このサビが落ちるとは思えないのだが…。
その1 まずは水で異物がなくなるまでタンク内を何度も洗浄!
使用したのはサンポールと水性アルカリクリーナーの2つ。どちらもホームセンターで購入できる。
まずは給油口、燃料コック、燃料センサーを外してジャブジャブと水洗い。
するとカフェラテみたいな液体(下写真)がドバドバ出てきた。それがなくなるまで何度もタンクを振りながら洗い続ける。空の燃料タンクでも重たいのに、水を入れて振るなんて、五十肩の俺にはできね〜。
その2 水性アルカリクリーナーで泡が立つまでさらに洗浄! 泡は油分がなくなった証拠
異物がなくなるまで水洗いしたら、次は水性アルカリクリーナーと水を混ぜて、ひたすらタンクを振りながら洗い続ける。
すると今度はカフェラテじゃなくてミルクティー(下写真)が出てきた。このミルクティーをよく見ると泡立っていないでしょ? これはタンク内に油分が残っている証拠なのだ。
繰り返し洗浄していると次第に白い泡が出てくる。これは油分が抜けたことのサイン。これでOK。
熱が洗浄効果をパワーアップ! 熱帯魚の水槽にあるアレを使うのだ!
さすがプロ! サビとりを促進させる裏技があったのだ。なんと熱帯魚の水槽の水を温めるサーモセンサー(下写真右)をタンクに入れてサンポールを温めると、さらに洗浄効果が増すそうだ。水性アルカリクリーナーで洗浄するときも、これを入れてつけ置き洗いにしてもOK。熱の洗浄効果は偉大なのだ。そして給油口の穴は風呂おけの栓を使い、燃料コックの穴はイスの足にかぶせる傷防止のキャップ(下写真左)が良いそうだ。
その3 酸が効く! サンポールに4日間漬け込んだらサビはほぼ撃退
サンポールと水を半々くらいで混ぜて、4日間漬けこむ。
するとタンク内はご覧のとおりピカピカ!
実は2日目に様子を見に行ったら、まだサビが残っている状態だったので、さらに2日延長した。とにかく焦らないのが綺麗に仕上げるコツ。そうそう、たまにタンクをひっくり返して上部のサビとりも忘れないでね!
新品タンクが手に入らないならFRPでワンオフ製作してもらおう!
旧車オーナーの悩みでもある純正部品の欠品問題。今回紹介したCBX750Fも当然新品タンクは手に入らない。程度の良い中古品もイイけれど、サビないFRPでタンクをワンオフ製作してくれるデーククラフトモーターサイクルにお願いするのもありだろう。ワンオフ製作基本価格は24万2000円、無塗装サフェーサー仕様のタンクは14万4100円と良心的な価格なのは嬉しいね。
デーククラフトモーターサイクルズ
熊本県上益城郡御船町小坂950-1
文:黒田健一