愛車にベストなオイルを選びたい
ハンターカブのカスタムが進むと、オイルにもこだわりたくなるのは人の常。なのでカブ専門店のカビィさんにハンターカブにベストナオイルを聞いてみたよ。
オイルですね。
ちょうど昨年からカブレースでも使用しているオイルがあって、オススメしたいです。
ユニルオパールというフランスのオイルなんですが、これ凄く良いですよ。
ほうほう、ユニルオパール。初耳です。公式サイトはこれですね。1958年創業って、意外と歴史古いんですね。
広告費にお金を掛けすぎないことで、価格上昇を抑える、という社風みたいですね。
ヨーロッパ系のクルマではかなり評判の良いオイルなんですが、正直バイクに関しては知名度は低い方だと思います。
ほうほう。高性能だけど価格が抑えめでオススメって感じですかね。
いや、もちろん価格も大事ですが、一番は品質とオイルの情報を開示しているという部分が凄く誠実で好ましいんです。
ユニルオパールの中でもスタンダードなオイルであり、うちがメインでオススメしているチタニウム+のスペックです。
こういう、動粘度や粘度指数なんかが公開されてるオイルって意外と珍しいんですよ。
オイルはただでさえスペックがわかりにくいんですが、数値を公表してるってのは自信の表れなんでしょうね。もちろん数値的にも非常に優秀です。
言われてみればこういう数値ってあんまり見たことないかも。
エンジンオイルの種類には、鉱物油、部分合成油、化学合成油の3種類があるんですが、うちではカスタムしている車両が多いこともあって基本的に100%化学合成油を推奨しています。
チタニウム+はもちろん100%化学合成油で、公式HPにはスタンダードオイルとありますが、他社の最高級オイルが比較対象になるような、高性能オイルです。
チタニウム+は5W-40のみですが、上位のレーシングであれば10W-40や10W-50も選択できます。もちろんレーシングも100%化学合成です。
価格差もそんなにないですし、チタニウム+も十分以上に高性能なので、オイル粘度の好みで選んでいただくのが良いと思います。
なるほど、じゃあこれにします。カブ系は1リットル以下なんで、あんまりオイルの値段にシビアにならなくても良い気がしますが、それにしてもいわゆる高級オイルより安いですね。
オイルの性能的には、もっと高くても不思議はないんですけどね。
オイルのグレードを選んでみる
オイルが決まったら次はグレード選び。5W-40とかそういうやつ。
SAE粘度とかいうらしいけど、よくわかってなかったので調べてみたらこういうことらしい。
ちなみにSAEってのは Society of Automotive Engineers, Inc. っていうアメリカの団体が定める規格。SAEは1905年から続く、自動車の歴史そのものみたいな団体でwikiを見てるだけでめっちゃおもしろい。なんせ初代副会長がヘンリー・フォード氏。やばい。英霊としてスマホアプリに登場してもおかしくないレベルの偉人ですよ。
で、そんなSAE定めるところのSAE J300で規定されるのが5W-40とかの粘度ね。
こういう数字が2個あるのはマルチグレードで、数字いっこだけのシングルグレードもあるらしい。
SAE粘度の見方は、ハイフンより前の数字が低温時の粘度で、ハイフンより後ろの数字が高温時の粘度。
どっちも数字が大きければ粘度が低い、つまり柔らかい。で数字が大きければ粘度が高い、つまり固いってことね。
数字が小さければ良く回る。数字が大きければ油温が上がりにくいというメリットあり。
あと、Wはwinterの略。
というわけで、あらためてカビィさん、自分のハンターカブにはどんなSAE粘度のオイルを入れれば良いんですか?
CT125・ハンターカブの場合は、5W-40がオススメですね。ノーマルエンジンからハイカム装着くらいまでならこれがオススメしやすいです。
ボアアップをしていると10W-50を勧める場合もあります。
おっけー、自分の場合はハイカムとマフラーなので5W-40にします!
エンジンの仕様や走り方、季節や住んでいる地域によってもベストは変わるので、一概には言えませんけどね。
なんですかそれ、じゃあどうすればよいんですか
油温計を装着すれば一発ですよ。油温管理をすることで、自分の使用環境にあったベストなオイル選びができるようになりますよ。
個人的な思いとしては、カスタムしている車両には、すべて油温計を装着してほしいくらいです。
じゃあ、せっかくハイカム組んだし、油温計さがしてつけますよっと。
それが良いです。なんならカブ90はもっとカスタムしてるので、あれこそ油温計付けた方が良いですよ。
ですよね。まずはハンター用のを買ってから考えます。
ちなみに、ボアアップなどエンジンをいじったカブ90の場合は10W-50か5W-50あたりがオススメです。どちらにするかは油温次第という感じですね。
油温計を選んでみる
さてオイルを入れる前に油温計をポチろう。さんざん悩んで最終的に候補に残ったのがこの2つ。
電圧計が欲しいので、できればHGシリーズが理想なんだけど、ちょっとでかそうなのよね。で、コンパクトタイプのは超シンプルだし超小さい。でもHGシリーズなら時計も付くし。
とりあえずamazonにサイズ表記があったので、ダンボールでダミー作ってあてがってみよう。
装着位置としては、タコメーターステーの部分を想定。タコメーターステーはこれに、さらに自作ステーがのっかった状態。
こういう状態ね。
さて、ダンボールを切り出してお絵描きしたダミーHGシリーズをあてがうとこんな感じ。
ちょっとぎりぎりかな。ダンボールだと厳しいけど、実物は見た目がカッコ良いからなんとかなる気もしなくもなく。
コンパクトタイプのダミーだと、こう。上下逆だった。
おさまりはばっちりね。これだったら隙間に同じくコンパクトタイプの電圧計も装着できそう。計器類は置ければ多いほど好ましいから、コンパクトにしよう。値段も安いし。
で、油温計だけじゃダメなのよ。ドレンボルトに装着するフィッティングも買わないと。
ハンターカブに適合するのは、これ。同じデイトナだから安心。
ちなみにセンサーフィッティングには車種に合わせて色んなサイズがあるんだけど、このM12P1.5だけは材質が鉄。ほかは真鍮。
見た目的には真鍮が良かったけど、締結時の強度のためにあえて鉄らしい。レビューみてると強度があって安心ということで評価が高い。なるほど、考えられてるのね。
油温計を装着しつつオイル交換
さっそく油温計を装着するよ。
油温計の液晶部分を装着
液晶部分は簡単。外装外して配線通してプラスとマイナスつなぐだけ。自分の場合はD-UNITに装着するので、ギボシ加工しておくよ。そのついでに配線にゆとりがあるので、ギリギリまで短くしておいた。
D-UNITに繋ぐ場合、ギボシはCA/CB103ね。
D-UNITを使わない場合は、ヘッドライトもしくはバッテリーのあたりから電源取り出しハーネスを使えばOK。これらを使う場合もギボシはCA/CB03でオッケーよ。
液晶部分の取付は簡単。5mmの六角棒レンチと10mmのソケットで、バッテリーリッド、左サイドカバー、左メインパイプカバーを外して、配線通してD-UNITとかに繋ぐだけ。くれぐれもプラスはアクセサリーね。バッ直はダメよ。
装着位置は人によって違うと思うけど、作業自体はそんな変わんないんじゃないかな。
オイルを抜くよ
フィッティングを取り付ける前に古いオイルを抜いておこう。廃油処理ボックスを用意しておこう。
ハンターカブのドレンボルトはこのちょっと大きいボルト。二面幅17mmね。
ドレンボルトを外して、オイルを抜くよ。カブ90と違って、かたむけてもドバっと追加で出ることは無かった。進化を感じる。
油温計のセンサー部分を装着
油温計の液晶部分は簡単、つまり残るセンサー部分の装着は結構頑張った。
色々センサーフィッティングについて調べてたら真ん中に穴が開いてるだけにトルク管理が重要っぽいのよね。でも、センサーを装着するとトルクレンチのソケットがかからない。センサーを装着する前にフィッテングだけ車体に付けると、センサー装着時にオーバートルクになるといかん気がする。
で、散々調べたところこんなアイテムを見つけた。クローフットレンチ。
これをトルクレンチにつければ、配線あってもうまいこと掛かるってワケ。
クローフットレンチをトルクレンチに装着すると、全長が伸びるじゃん。それってトルク値どうなるかと思ったらKTCのサイトに説明のってた。
トルクレンチ本来の有効長をクローフットレンチを装着した有効長で割って、締めたいトルク規定値を掛ければ、設定すべきトルク値が出るらしい。
ちなみにktcのクローフットレンチは全てのサイズで口径部からドライブ中心までの距離が30mmになってて計算が楽。でも高くて手が出なかったのでシグネットにしちゃった。
実測すると自分の場合はミスが心配だったので、トルクレンチにクローフットレンチを装着して、等倍でスキャンしてPC上で計算してみたところ、こんなかんじ。
よく見たら、グリップの中心に目安の線が刻んであるのね。有効長の計算用かな。初めて気づいた。
この計算作業してて気づいたけど、クローフットレンチがトルクレンチにまっすぐ装着された状態でないと数値が多少変わってしまう気がする。なので、最後はしっかりとまっすぐにして締めないといけないのね。
フィッティングにセンサーを装着して、いざ取り付け。ワッシャーをお忘れなく。
こんな感じでガッチリはまる。
で、締結作業の写真は撮り損ねちゃった。というか、アンダーガードが邪魔で結構めんどくさくて写真撮り忘れた。アンダーガードは先に外しておいた方が良いよ。
あと、センサーの配線とエキパイが干渉しないよう、くれぐれも注意してね。
ドレンボルト(センサー+フィッティング)を規定トルクで締結したらあとはオイルを入れるだけ。
ハンターカブのオイル交換時オイル量は700mlなんだけど、ジョッキの目盛りってどこまで信用していいかわかんないから、700gの水を入れてその水量でマークしておいた。水の密度は1g/mlだからね。
チタニウム+を入れてみた。割と普通な色してる。300Vとかえぐい色してて結構好きだったんだけど。
ハンターカブでもJA55は、それっぽいキャップが二個あるけど、大きい方から入れるよ。
で、小さい方でオイル量チェック。
これで油温計装着&オイル交換完了。
タケガワのセンサーソケット17mmならもっと手軽だった(2024/5/30追記)
クロフーットレンチだとドレン周辺の干渉に気を遣うのよね。ドレンの手前に飛び石とかによる損傷防止のためだと思うけど、出っ張りあるし。
もっと楽な方法はないかと模索してたらこんなの見つけた。
フレアナットソケットってやつね。O2センサー(エキパイについてるプラグみたいなやつ)を外すための工具。
フレアナットソケット自体はコーケンとかからも出てるんだけど、17mmソケット一本で約4000円と、ちょっとお高いんですよ。
ところがタケガワのセンサーソケットなら17mmで税込み定価1620円。シグネットのクローフットレンチに比べると高いとはいえ、すごく良さそうなのでポチってもうた。
ついこないだオイル交換したとこだからセンサー配線外さずに、とりあえず干渉チェックだけしておくよ。
うん、バッチリ。
向かって右側の、ドレンボルト保護壁にもぎりぎり干渉しなかった。
クローフットレンチと違ってトルク値の計算も不要だし、干渉も気にしないでいいしこれは楽ですよ。
油温の目安&実走
さて、これで試運転。ところで油温計付けたはいいけど、何度なら良くて何度ならダメなんだろう。
教えてカビィさん。
オイルが性能を発揮しやすいのはだいたい85℃あたりですね。数度のズレはありますが、大抵のオイルは、これくらいの温度で理想的な状態になるよう設定されているようです。
油温管理で特に注意すべきなのは高温ですね。もちろん油温があがらないオーバークールも良くないんですが、圧倒的にオーバーヒートの方が起こりやすいので。
高温ですね。具体的に何度くらいだとアレなんですか?
目安として110℃は危険信号です。できれば停止して様子を見てください。
さらにいえば115℃は赤信号で、それ以上の走行は辞めた方が良いかもしれません。
なお、一度120℃を越えたオイルはもうダメになったと思ってください。油温が上がる原因の解消と同時に、オイル交換をすべきです。
おお、結構怖いんですね。じゃあさっそく試運転。
12月の夜、気温は10℃。寒い。なんかエンジンって熱いイメージあるから、すぐ温度上がるかと思ったら意外とゆっくりと温度上昇するのね。
で、幹線道路を中心に40分くらい走り回ったけど、実に寒い。なんなら雨降ってきた。
信号待ちで走行時で64℃くらい、信号待ちでアイドリングしてると風で冷えないせいか少しずつ温度上昇してピークで70℃くらい。
もっと走り続けたらもう少し油温がるかもだけど、寒い無理。
なんか思ったより油温低いけど、こんなもんですか?
おおまかなイメージですが、自分の場合は50℃以下だとオーバークールという印象ですね。
シンプルに寒いからそんなもんじゃないですかね。もちろん、冬の夜とか低温時しか走らないなら0W-30とかもアリかもしれませんが、昼間も走るならこれで問題ないと思いますよ。
そうですよね、寒いときは正直あんまり走りまわりたくないです。
むしろ、去年も猛暑だったので春から夏に向けての油温に注意してください。くれぐれも100℃は越えないように。
試運転なら戻って10W-50とかに入れ替えればよいですが、出先だったら抑えて走ったり、休憩を多くとったりというのも大事ですよ。
あ、ちなみに寒かったんですが、エンジンの調子は絶好調でした。ひゅんひゅん回って走りもめっちゃスムーズだし、エンジン音も静かですごく良かったです。寒かったけど。
それは良かったです。でも真価を発揮するのはもう少し暖かい状況かもしれません。昼間も走ってくださいね。
はーい。
まとめ
ユニルオパールのチタニウム+、お求めやすい価格のくせに予想以上にすごく良い。あと、レアなオイルってのもたまらない。
あと、油温計を装着したことで、メーター周りがよりメカメカしくなって気分は最高。今どきはマルチメーターが主流で、それも凄く魅力的だけど単機能のメーターがたくさんあるのは浪漫ね。なんなら全部アナログメーターにしたい。
追記(2024.5.21)
センサーのカプラーを壊したけど補修部品があってびっくりした話
油温計はすごく便利なんだけど、オイル交換の時にドレンを外すのがめんどくさいんですよね。
エンジンが冷えた状態で油温センサーのカプラーを外してからオイル交換しないといけない。
こないだ、オイル交換する際にうっかりと先に暖気しちゃってですね。で、熱くてカプラーに近づけないからラジオペンチを駆使してカプラーを外そうとしたんですよ。
そしたらカプラー割れちゃって。
幸い、センサー側じゃなくて油温計本体につながる側だったので、適合するカプラーで修理すればいいやと思ったんですよ。
で、探してたらこんなのありまして。
いや、もう最悪センサー側のカプラーも外して作り直しかと思ったら、まさかの補修部品があるじゃん。気が利きすぎてて怖い。
壊しちゃったのは、下の写真でいうところの、左上にあるケーブルね。
最初は配線切ってカプラー付けなおそうと思ってたけど、置き換えるだけで修理完了しちゃった。
この補修ケーブル、保護被膜もしっかりしてて凄く良い感じ。
レポート:若林浩志