2023年10月末日に鈴鹿ツインサーキットで開催された「ENJOY 4MINI2023」。そこで見つけた4ミニカスタムを紹介しよう。

今で言えばアドベンチャーモデルと表現されるであろうホンダ「モトラ」が発売されたのは42年前の1982年6月。 「徹底した実用性(積載機能)を重視した野性的な感覚をもつ50ccレジャーバイク」としてデビューしたマシンは、当時のミニバイクシーンでも異彩を放っていた。以前、モトラの開発に携わったという方に話を聞いた時に、当時のホンダ内でも「なんだあれは? 絶対売れないだろう」という酷評を受けていたそう。結果的に人気車種とはならなかったが、このアドベンチャーブームの今見るとどうだろうか。

洗礼されたスタイリッシュな見た目のバイクが多い中で、まるで骨組み、丸見えのパイプのフレームに前後に大型キャリアを装備し、タイヤはバルーン仕様で、どんな悪路でも走ってくれそうとワクワクさせてくれる無骨な見た目がたまらない。125ccエンジンを搭載して大人気となっているモンキーやDAXのように現代に復活してほしいモデルとしてもあげられる存在となっている。

かなり前置きが長くなってしまったが、今では貴重となったそのモトラをベースにフルカスタムしたのが今回紹介しているマシン。モトラのポイントでもある見た目、外装には手をつけずエンジンや足まわりだけに手を加えることで、現代版モトラと言える車体を作り上げた。

純正が6Vということで何をするにも役不足。専用のボアアップキットも少ないことから、SP武川から発売されるコンプリートエンジンに換装。乾式クラッチのモトラなんてそうそういないだろう。フレーム外を通るようにパイピングされたオイルラインもメカニカルさを倍増されせてくれる。ワイドな足まわりに合わせスプロケットはオフセットされ、チェーンラインもしっかりと出されている。

純正が10インチ×バルーンタイヤの組み合わせに対し、コチラは12インチ化され、タイヤにダンロップ製TT93GPを合わせた。ハイグリップタイヤをムッチムッチにひっぱり気味に装着するのはミニバイクならでは。ワイドな車体と同じ太さの足まわりがファニーさをアップさせる。

フロントフォークはキタコ製Φ30フロントフォークSETタイプXに換装され、モトラの車体に合わせ延長済み。ブレーキは前後にブレンボ製キャリパー、ブレーキング製ディスクローターを投入し、コンプリートエンジンの大パワーでも安心の制動力を確保。リアはオーリンズとモトラとは思えぬ豪華な足まわりとなっている。

貴重な車体だけに大事にとっておきたい、とっておけばいいのにと思ってしまうかもしれないが、やっぱりバイクは走ってナンボ!! カスタムも走りも楽しむ最高の1/1のホビー、それが4ミニバイクなのだ。

文・写真:山ノ井敦司

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