ワイバン クラシック「チタンフルエキゾースト ツインマフラー」テスト&レポート
メイドインジャパン唯一のBMW用マフラー
元ワークスライダーの樋渡社長自らが開発とテストを担当し、熟練職人によるパイプの曲げ加工と溶接、最新5軸マシニングセンタによるアルミパーツの精巧な削り出しまでを自社工場で完結させているのがアールズギア。工芸品と呼べる美しい仕上がりで、国内外の違いの分かるライダーから信頼を得ている。
主力商品であるマフラーは公道での乗りやすさ、心地よい音質に拘った設計が特徴だが、2022年の世界耐久選手権チャンピオンであるF.C.C.TSRチームにレース用エキゾーストシステムを供給していることも、性能と耐久性を両立させる同社技術の証明だ。
国内4メーカーの主要モデル用マフラーを幅広くラインアップしているアールズギアだが、注目すべきはBMW用製品の充実。プライベートツーリングでBMWを駆る樋渡社長が、日本人ライダーの体格、BMW各モデルの現実的な使われ方を前提に企画し、満足するまでブラッシュアップしたアイテムをラインアップに加えている。
デモ車のR nineTで眼を惹くのはフルチタン製のマフラー。あえて後加工による焼き色は付けず、ユーザーの走り方次第でエキパイ色の変化を楽しめる。スラリと伸びるテーパー形状のサイレンサー+グルーブを入れたアルミ製テールピースという組み合わせも高級感溢れるものだ。
構造的には2→1→2タイプ。政府認証マフラーだからスロットルを大きく開けても不快な破裂音は出ず、パーシャル状態(加速も減速しないスロットル開度)では180度クランク等間隔爆発によるサウンドが心地よく響く。樋渡氏によるとピークパワーの向上ではなく、市街地や峠道での扱いやすさ、楽しさを主眼に開発したとのことで、体感では4000〜6000回転のパワーの厚みが明らかに増し、純正マフラーの約半分という重量もあって、走りがグッと軽快になっている。
ハンドルバーをライダーに近付ける『セットバックライザー』とステップペグを8mm下げる『アクティブコンフォートステップ』も装備されていたので、グポジションに余裕が出て長時間走行も快適。ここにも実際にじっくりと走り込んで寸法を決めるという樋渡氏の姿勢が現れている。R nineTだけではく、R1200/1250GSやR1200/1250のR、RS、RT用もラインアップされているので、BMWユーザーはアールズギアのWEBサイトをチェックするといいだろう。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
サイレンサーに焼き色が着いていないので写真だと素っ気なく見えるが、落ち着いた雰囲気はフラットツインのエンジンに合っている。ちなみに車検対応のBMW用フルエキゾーストを作っているのは世界でもアールズギアだけ。注文を付ける部分は見当たりません。
BMW RnineT 向けのマフラー以外のパーツ
文:太田安治/写真:南 孝幸