文:丸山淳大、石神邦比古/写真:関野 温
Q.5 ブレーキローターって丈夫だから曲がらないよね?
A.5 想定外の方向から力がかかると簡単に歪むので注意が必要!
ブレーキディスクは制動時に力がかかる回転方向の剛性はしっかり確保されているが、それ以外の方向からのショックには意外と弱い。転倒などでも簡単に曲がることがあり、0.5mm程度の歪みでもジャダーの原因となる。それだけデリケートなパーツなので慎重に扱いたい。現在スポーツモデルで主流になりつつあるラジアルマウントキャリパーは、ねじれ剛性に優れるため、ディスク自体の剛性は昔ほど問われなくなっている。
Q.6 ブレーキディスクの『摩耗限度』の見方を教えて
A.6 摩耗限度はブレーキディスクに刻印されている
ディスク表面を確認すると摩耗限度の刻印を見つけることができるはずだ。「MIN:ミニマム(最小)」「TH:シックネス(厚み)」という表記ともに記載された数値が摩耗限度の厚みとなり、車両メーカーによって異なるが、新品の状態から0.5mm~1mm程度の摩耗で交換となるように設定されている。ディスクの最も減っている部分をマイクロメーターなどで計測する。摩耗限度に達していなくとも、歪みやクラックが出ていたらもちろん交換だ。
Q.7 ブレーキディスク交換後の慣らしは必要なの?
A.7 慣らしは必要だが普通に走るだけで大丈夫!
ブレーキディスクとブレーキパッドが両方新品の状態の場合は思った以上にブレーキが効かないので、注意が必要だ。ブレーキの“慣らし”とは、平滑なディスクとパッドの表面を擦り合わせて当たりを付ける作業となる。慣らしと言っても特別なことは必要なく、一般道を安全に走るだけでOK。早く当たりを出そうと急制動を繰り返したり、ブレーキを引きずりながら走ったりするのは、危ないだけで効果はほぼない。
Q.8 ブレーキディスクを新品にしたらブレーキパッドも新品交換したほうが良いの?
A.8 ブレーキパッドも新品に交換するのが大前提になる
中古パッドは古いブレーキディスクの減り方に倣った形で摩耗しているため、新品のブレーキディスクを組み合わせると、ブレーキの当たりが出るまでに長い時間を要することになってしまう。また、パッドとディスクの相性は少なからず存在するが、現在市販されている名の通ったブレーキパッドメーカーの製品であれば、公道走行で問題が出ることはほとんど無い。もし、心配ならば純正パッドを選ぶのもおすすめだ。
Q.9 ブレーキディスクのお手入れ方法を教えて
A.9 中性洗剤で洗うのがもっとも簡単で確実な洗浄方法
ごく一部の「パーツクリーナー」や「ブレーキクリーナー」にはディスク表面に焼き付いて効きを悪化させる成分が含まれるものが存在するようだ。だからこそブレーキディスクの汚れを落とすのは中性洗剤で洗うのがもっとも手軽かつ確実な方法。つまり普段の洗車のときにブレーキディスクを一緒に洗えば良いのだ。アウターのホールやスリット部分にブレーキダストがこびりついているときは、爪楊枝などで落としておこう。
Attention!
ブレーキディスクの交換時に要注意‼
ブレーキディスク交換時に注意が必要なのは、ディスクボルトの緩め方だ。ディスクボルトには安全のため緩み止めのネジロック剤が使われており、非常に緩みづらい。ボルトがナメそうなときはヒートガンなどで熱を加えてから緩めると良いだろう。また、ディスクボルトは基本的に再使用せずに新品交換するようにしたい。ディスクボルトは一度仮締めした後に対角順に規定トルクで確実に締め付けるようにしよう。
文:丸山淳大、石神邦比古/写真:関野 温