いよいよ全クラス開幕です

この週末、4月13~14日には、栃木県・モビリティリゾートもてぎで全日本ロードレース第2戦が行なわれます。開幕戦は、あの寒かった、3月9~10日の鈴鹿2&4でしたが、この時はJSB1000クラスのみが開幕。そのため、ST1000/ST600/J-GP3/JP250クラスにとっては、今週末のもてぎ大会が開幕となります。
それに先立って4月3~5日には、レース前の公開テストが実施されました。JSB1000クラスにとってはこのもてぎ大会が、23年シーズンから使用されはじめたカーボンニュートラル燃料(=CNF)を使用する、24年の初レースですから、各チームはまずこの燃料セッティングを確認しながらの作業スタート、というケースが多かったかもしれませんね。
4/3からの事前テストでは、まず3~4日が4メーカーテスト、5日が総合走行。初日は4メーカー(JSB/ST混走)の走行枠が3本と、ST600の走行枠が2本行なわれました。

初日は手探り…?!

4メーカー走行枠、1本目では長島哲太(ダンロップレーシングwith YAHAGI)がトップタイム。タイムは1分49秒019と、昨年のもてぎ大会の公式予選に当てはめると、10番手に相当します。
ちなみに昨年も開幕前にもてぎで事前走行が行なわれていますが、この1回目の走り出しに当てはめると、トップタイムは0秒350、昨年のタイムを更新しています。これがロードレース「1年の進化」なのかもしれないですね。ちなみに23年の事前テストの最終的なトップタイムは中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)の持ちタイムで、中須賀は24年の走り出しで0秒262、昨年のタイムを更新しています。長島は2本目のタイムが1本目を更新できずで、これは更新「しなかった」のか、更新「できなかった」のか、興味深いところです。普通なら2本目タイムが更新しますからね。

2本目の走行では中須賀がトップを奪回。タイムは1分48秒314と、グンとアップ。走り始めだから伸びしろが大きいですね。そして3本目はウェットコンディションとなり、TOHOレーシングから清成龍一の代役として参戦する榎戸育寛が、岡本裕生、中須賀を抑えてトップタイムをマークしました。中須賀はこの走行で転倒、翌日の走行1本目はキャンセルしたようです。

画像: 走り出しでトップタイムをマークした長島 下のトップ6の中では唯一のダンロップタイヤユーザーです

走り出しでトップタイムをマークした長島 下のトップ6の中では唯一のダンロップタイヤユーザーです

初日総合順位
①中須賀克行 ヤマハファクトリーレーシング   1分48秒314 
②長島哲太  ダンロップレーシングwith YAHAGI  1分49秒019
③伊藤和樹  ホンダドリームRT桜井ホンダ    1分49秒386
④岡本裕生  ヤマハファクトリーレーシング   1分49秒687
⑤高橋 巧  日本郵便ホンダドリームTP     1分49秒775
⑥津田拓也  オートレース宇部レーシングチーム 1分50秒375

ちなみにST1000クラスでは、國井勇輝(SDGチームハルクプロ)がJSB1000クラスに混じって7番手にランクイン。ST1000クラス2番手は渡辺一馬(Astemo ホンダドリームSIR)が総合9番手に入りました。ちなみに渡辺も、初日の走行で転倒、大きなダメージを受けて、このもてぎ大会を欠場する、と発表されました。
ST600クラスは小山知良(日本郵便ホンダドリームTP)がトップタイム、芳賀涼大(ワークナビNITROレーシング)が2番手、阿部恵斗(SQUADRA TIGERタイラプロモート)が3番手に入りました。レインコンディションとなった2本目は中山耀介(ITOレーシングSHOTA BORG CUSTOM)、伊達悠太(アケノスピードMAVERICK)、小山知良の順。小山、ドライでもウェットでも速いです!

2日目、徐々にタイムアップ!

画像: 速いライダーが強いチームからエントリーする、という好循環のヤマハファクトリーレーシング

速いライダーが強いチームからエントリーする、という好循環のヤマハファクトリーレーシング

2日目の走行では、J-GP3クラスの走行も始まり、混走でなくクラス別の走行がスタート。この日は初日総合4番手の岡本裕生がただひとり1分47秒台に入れてのトップタイム。2番手に長島が続き、この日からドゥカティ勢、BMW勢も参加し、開幕戦での主役のひとり、DUCATI Team KAGAYAMAの水野涼が3番手、世界選手権Moto2帰りの野左根航汰(AstemoホンダドリームSIR)が4番手タイムをマークしています。
ちなみに今シーズンからホンダ→ドゥカティにマシンをスイッチした水野の昨年のこのテストでの初日タイムは1分52秒520、もてぎ大会の水野の予選タイムが1分48秒399で3番手。ドゥカティでの走り出しのタイムが、昨年の公式予選タイムとほぼ同じですね。これがパニガーレV4Rのパフォーマンスなのでしょう。

2日目総合順位
①岡本裕生  ヤマハファクトリーレーシング 1分47秒749
②長島哲太  ダンロップレーシングwith YAHAGI 1分48秒205
③水野 涼  DUCATI Team KAGAYAMA 1分48秒455
④野左根航汰 Astemo ホンダドリームSIR 1分48秒492
⑤中須賀克行 ヤマハファクトリーレーシング 1分49秒142 
⑥津田拓也  オートレース宇部レーシング 1分49秒145

画像: 転倒は喫したものの狙うはもちろん連勝! チームメイトもダンロップユーザーも黒船も絶対王者が蹴散らす

転倒は喫したものの狙うはもちろん連勝! チームメイトもダンロップユーザーも黒船も絶対王者が蹴散らす

ST1000クラスは初日トップタイムの國井が2日連続トップ。岩戸亮介(カワサキプラザレーシング)が、荒川晃大(モトバムホンダ)が続き、4番手以降に豊島怜(ドッグファイトレーシングJDS)、村瀬健琉(チームタイタンTKRスズキ)、國峰啄磨(TOHOレーシング)が入りました。
ST600クラスは長尾健吾(チームKENKEN Ytch)が、1回目走行のトップタイムだったチャンピオン阿部を2回目走行で抑えてのトップタイム。3番手に伊達、小山は4番手、鈴木光来(モトバムホンダ)が5番手と、作シーズン同様、上位陣の顔ぶれが固定してきましたね。

この日が初走行となるJ-GP3は、朝の1本目がウェットコンディションだったものの、2本目にはドライ路面での走行となり、昨年のJP250クラスチャンピオン、荻原羚大(WJファクトリー+F2)がトップ! 以下、木内尚汰(チームプラスワン)、岡崎静夏(日本郵便ホンダドリームTP)、ブラパ・ワンムーン(Astemo SIR with タイホンダ)、キジマKISSレーシングからJP250とのダブルエントリーの飯高新悟、徳留真紀(マルマエMTR)が6番手に入りました。
5番手に入った飯高は今シーズン、2年目のJP250とともに、J-GP3へもエントリー。JP250はキジマKISSレーシングから、J-GP3はキジマKISSレーシング「クラブ」からのエントリーとなっています。これはダブルエントリーするならばJP250のチーム装備や体制のままJ-GP3も走ればいいじゃない、とキジマの協力を得てのエントリーなのだそうです。

最終日、黒船キターー!

画像: 3日間通しのトップタイムをマークした水野 2戦目ということもあってマシンにも慣れ、狙うは初優勝!

3日間通しのトップタイムをマークした水野 2戦目ということもあってマシンにも慣れ、狙うは初優勝!

3日目は4メーカーテスト勢が出走せず、タイヤメーカー主体のテスト。ここでは、4メーカーテスト枠外の水野がテスト2日目となり、走っている台数も少ない中でアタック! なんと1分47秒494をマークし、3日目の総合トップタイムをマークしました! 最後の最後、しかもオニ(=ヤマハファクトリー勢を指しましょうか)の居ぬ間に(笑)スパッと7秒4! 帰り支度中の中須賀&岡本がぐぬぬぬぬ、と歯ぎしりしたとかしないとか――。

JSB1000クラスの3日間総合は下のようになります。もちろん、コンディションも違うし、一緒に走ったマシンのスリップに入った/入らなかった、新品タイヤ/ユーズドタイヤ、タイムアタック/ロングランと、走行条件はいろいろ違いますから、一概にこの順位が参考になるわけにはいきませんが、参考順位だととらえてください^^

JSB1000クラス参考総合順位
①水野 涼 DUCATI Team KAGAYAMA 1'47.494
②岡本 裕生 ヤマハファクトリーレーシング 1'47.749
③長島 哲太 ダンロップレーシングwithYAHAGI  1'48.205
④中須賀 克行 ヤマハファクトリーレーシング 1'48.314
⑤野左根 航汰 AstemoホンダドリームSIR 1'48.492
⑥津田 拓也 オートレース宇部レーシング 1'49.145

この6人は、総合8位につけた高橋巧(日本郵便ホンダドリームTP)を加えると、開幕戦のTOP7。つまり、いま日本のオートバイレースでのTOP7ということになりそうですね。このあとに、総合7番手につけた伊藤和樹(ホンダドリームRT桜井ホンダ)、岩田悟(チームATJ)、名越哲平(SDGホンダレーシング)、秋吉耕佑(村山運送チームアキヨシ)らが続くあたりがポイントスコアするライダーたちと言えそうです。

もてぎ大会のみどころは

画像: 第2戦の主役もやはり、中須賀×岡本×長島×水野 ここに誰かが絡んでくると、さらに面白い!

第2戦の主役もやはり、中須賀×岡本×長島×水野 ここに誰かが絡んでくると、さらに面白い!

そして、週末のもてぎ大会です。これはもう、テストでトップタイムをマークした水野がひっかきまわしそうですね。開幕戦では中須賀、岡本のヤマハファクトリー勢、鈴鹿8耐2連覇中の長島と水野が4人でレースウィークをリードした感じでしたが、そこはもてぎ大会も引き続きそうです。

そして、これが日本登場2レース目となる水野+パニガーレV4Rが、開幕戦よりもさらにポテンシャルを発揮して中須賀を苦しめそうな展開になりそうです。水野は開幕戦まで、あのドゥカティのファクトリーマシンに数時間しか乗っていなくてあの速さ! 唯一の心配事は、CNFでの初レースというポイントですが、チームカガヤマではCNF用のエンジンマップも、年明けにドゥカティ・コルセで組み上げてきたのだと言いますから、そこは心配ないのかもしれません。

長島に関しては、路面温度の低いこの季節こそチャンス!のダンロップタイヤを履いているため、開幕戦はその条件は合ったものの、赤旗中断のあとユーズドタイヤで出走して4位に終わってしまいましたが、今回もさほど路面温度が上がらないもてぎで、ポールポジション狙い、そしてスタートから飛び出してブッチギリ、を狙っているはずです。

そこに水野と中須賀が食らいつき、その後方に少しずつ岡本と野左根が差を詰めてくる――そんな展開になるんじゃないかなぁ、と思うのです。周回数が短い土曜のレース1が、長島初優勝の可能性が高いかもですね。

野左根はヤマハからスイッチしたホンダに慣れ始めて、ヤマハ時代に複数回も中須賀を破ったほどもてぎを得意としていますから、ちょっと注意していたい存在ですね。JSBクラスは今シーズン初の2レース制で、土曜日にも決勝レースありますよ^^

週間予報では、天気はなんとか雨ナシでイケるかも。ぜひぜひ、モビリティリゾートもてぎにおいでください! ホンダコレクションホールもリニューアルしましたから、それも楽しみにしているのです。

全日本ロードレース 第2戦
タイムスケジュール@モビリティリゾートもてぎ
4/13(土曜日)
08:15~ ゲートオープン
09:00~ 公式予選 JP250
09:35~ 〃    J-GP3
10:20~ 〃    JSB1000
11:15~ 〃    ST600
12:05~ ピットウォーク
13:10~ 公式予選 ST1000
14:00~ 決勝レース JSB1000 レース1(15周)
15:30~ 〃    JP250(10周)
16:45~ サーキットクルージング

4/14(日曜日)
08:00~ ウォームアップ走行 J-GP3
08:25~ 〃     ST600
08:55~ 〃     JSB1000
09:25~ 〃     ST1000
10:00~ 決勝レース J-GP3(18周)
11:15~ ピットウォーク/サーキットクルージング
12:20~ 決勝レース ST600(16周)
13:40~ 〃     JSB1000 レース2(20周)
15:20~ 〃     ST1000(15周)

写真・文責/中村浩史 写真はすべて開幕戦・鈴鹿大会のものです

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