400クラスの人気を牽引する3台のツーリングモデルを裏の裏までほじくり返しながら全力インプレ!
文:ノア セレン/写真:南 孝幸、関野 温

ホンダ「GB350 S」VS ロイヤルエンフィールド「ハンター350」VS カワサキ「エリミネーター SE」|特徴・スペック

画像: Honda GB350 S 総排気量:348cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:800mm 車両重量:178kg 税込価格:60万5000円

Honda GB350 S

総排気量:348cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:800mm
車両重量:178kg

税込価格:60万5000円

乗り手を無駄に刺激しないツーリングの相棒

ホンダの正統派シングルは、穏やかなエンジンと乗り味で気軽にロングツーリングに連れ出せる。整備性も良心的で死角なし。願わくばどこかに意外性が欲しいけど、ツーリングバイクにはそれが思わぬ荷物になるかもしれないので、これで良いのだ!


画像: ROYAL ENFIELD HUNTER350 総排気量:349cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:790mm 車両重量:181kg 税込価格:65万7800円/66万4400円

ROYAL ENFIELD HUNTER350

総排気量:349cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:790mm
車両重量:181kg

税込価格:65万7800円/66万4400円

日本の風景にも馴染むスタイリング

輸入車らしいわかりやすい濃厚個性はないものの、そこかしこにさりげないこだわりが見えるハンター350。走りも操作もパワーの出方もすべてが自然で戸惑いなし。足つき、取りまわしも良好なので、リラックスしたツーリングが楽しめるはず。


画像: Kawasaki ELIMINATOR SE 総排気量:398cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:735mm 車両重量:178kg 税込価格:91万3000円

Kawasaki ELIMINATOR SE

総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:735mm
車両重量:178kg

税込価格:91万3000円

すっかり丸くなったけど昔の名前で出ています

新生エリミネーターは低回転のトルク感と高回転の綺麗な伸びが奇跡の両立を果たしたエンジンが魅力。昔はバイオレンスな香り漂う「排除者」だったけど、今はもうその物騒な名前の面影はない。でも、ちゃんと個性は持ってて、その人気も納得。

画像1: 【比較インプレ】ホンダ「GB350 S」VS ロイヤルエンフィールド「ハンター350」VS カワサキ「エリミネーター SE」〈ノア編〉

17、18、19インチと前輪ホイール径が異なる3台の操安性をチェック!

ツーリングバイクはいわゆる「普通のバイク」でしょう。気軽に乗れて、距離も走れて、飽きさせないけれど同時につまらなくてもいけない。そう考えるとけっこうハードル高い! シングル2台と新生エリミネーターはいかに??

GB350 Sハンター350エリミネーター SE
全長×全幅×全高2175×780×1100mm2100×800×1055mm2250×785×1140mm
ホイールベース1440mm1370mm1520mm
シート高800mm790mm735mm
車両重量178kg181kg178kg
エンジン形式空冷4ストSOHC2バルブ単気筒空冷4ストSOHC2バルブ単気筒水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量348cc349cc398cc
ボア×ストローク70.0×90.5mm72.0×85.8mm70.0x51.8mm
圧縮比9.5NA11.5
最高出力15kW(20PS)/5500rpm14.9kW(20PS)/6100rpm35kW(48PS)/10000rpm
最大トルク29N・m(3.0kgf・m)/3000rpm27Nm(2.75kgf・m)/4000rpm37N・m(3.8kgf・m)/8000rpm
燃料タンク容量15L13L12L
変速機形式5速リターン5速リターン6速リターン
キャスター角27°30′NA30°
トレール120mmNA121mm
タイヤサイズ(前・後)100/90-19・150/70R17110/70-17・140/70-17130/70-18・150/80-16
ブレーキ形式(前・後)ディスク・ディスクディスク・ディスクディスク・ディスク
燃料消費率 WMTCモード値39.4km/L(クラス2-1)1名乗車時NA25.7km/L(クラス3-2)1名乗車時
製造国日本インドタイ
メーカー希望小売価格60万5000円(消費税10%込み)65万7800円/66万4400円(消費税10%込み)91万3000円(消費税10%込み)

ホンダ「GB350 S」VS ロイヤルエンフィールド「ハンター350」VS カワサキ「エリミネーター SE」|比較インプレ(ノア セレン)

ウエアを含めて、自分の「スタイル」を追求したい

結局バイクの楽しみ方の主たるものは「ツーリング」なのだ。老若男女、誰でもバイクに乗るなら普段行かない、どこか遠くに出かけてみたいと思うもの。よってバイクにはどんな機種でもある程度のツーリング能力が与えられているだろう。

そんな中のこの3台。かつてツーリング向けのバイクと言えばパニアがついていたりカウルがついていたりというのがアピールポイントだったけれど、これらはクラシカルテイストを加えることで「オシャレ」要素が高まっている。だからただ長距離が楽しみやすいというだけでなく、乗る時のウエアや自己表現などを含めてツーリングが楽しめるという意味で新しいと感じた。

意外にも乗って楽しかったのがハンター350だ。スペック的にはGBと酷似しているため同じようなものかな、と思っていたが、乗ってみるとフロント17インチによる軽快さやコンパクトさがとても親しみやすい。エンジンも同じ20PSなのに、高回転域がナチュラルにフケ切るからスポーティな気持ちでも走らせることができて終始ニヤニヤしてしまった。

画像: ハンター350。クラシカルなテイストはGBと共通ながら、意外や高回転域へと誘ってくれるエンジンが魅力的。トコトコにもスポーティにも応えてくれる柔軟性が魅力だ。

ハンター350。クラシカルなテイストはGBと共通ながら、意外や高回転域へと誘ってくれるエンジンが魅力的。トコトコにもスポーティにも応えてくれる柔軟性が魅力だ。

とはいえ車体やサスは適度にボヨンボヨンしていて、スポーツバイク的なビシッと感よりは大船に乗ったような包容力が魅力だ。良きスタンダードバイクという感じで、街乗りからツーリングまで飽きずに付き合えそうだ。

対するGB350Sはかなり旧車感が強い。19インチのフロントホイールがもたらす大らかな操作性が特に印象的で、オフセットの大きなステムにより曲がり始めた時にグワンと舵角がついていく感覚など、まさに絶版旧車といった趣。エンジンも常用域でのクリアの鼓動感が最重要視されていて、いつまでもトコトコ走り続けられる。ツーリングにおいては燃費もとても良いだろう。

ただ、エンジンを回していくと苦しくなり、しかもレブリミットが唐突なためスポーティな気持ちには応えてくれない部分もある。トコトコ走りやツーリングに割り切った作りなのだが、スタンダードのGBならいいものの、このSタイプではもう少しスポーツもさせて欲しかったというのが正直なところ。荷物も載せやすいしツーリングには最高だが、僕は行った先のワインディングも楽しみたい欲張りなので…。

画像: クリアな鼓動感を持つエンジンと、旧車テイストの19インチホイールがGB350Sの魅力。ただこの「S」ではもう少しスポーツも許容してほしかったかなぁ。

クリアな鼓動感を持つエンジンと、旧車テイストの19インチホイールがGB350Sの魅力。ただこの「S」ではもう少しスポーツも許容してほしかったかなぁ。

そして真打ちエリミネーターSEだ。他2機種に比べると水冷パラツインエンジンの元気さが段違い。見た目はクルーザーテイストながら、とてもパワフルで速いのだ。この余裕が高速道路や荷物の積載、もしくはタンデムなどで活きて、400ccならではのツーリングでの優位性となるだろう。低回転域ではトコトコと扱いやすく、高回転域ではスポーツバイク顔負けの加速を持っているという二面性も面白い。

画像: エリミブランドは本来クルーザーではなくドラッグ。元気なエンジンを駆使すればかなり元気に走ることも可能。ただバンク角は極小のため峠では注意が必要。

エリミブランドは本来クルーザーではなくドラッグ。元気なエンジンを駆使すればかなり元気に走ることも可能。ただバンク角は極小のため峠では注意が必要。

ポジションはステップもハンドルも前寄りというちょっと独特なもので、長身/腰痛持ちとしては長距離は苦しそう。リアサスからの突き上げもけっこうあったため、ツーリングに使うならアクセサリーのハイシートも検討したいし、積載性も限られているためキャリアやバックレストも必要になりそうだ。

どんなバイクでもツーリングはできるが、それをより濃密に、いかに自分のスタイルで楽しむか、が大切だろう。この3台はそれぞれのスタンスでツーリングライフを楽しませてくれるはずだ。

ノアセレンが選ぶ 3モデルの “極品” ポイント

画像: Royal Enfield HUNTER350

Royal Enfield HUNTER350

細かな所に「らしさ」が詰まってる!

クランクケースのデザインなどエンフィールドらしいクラシックさがあるが、それはメーターやスイッチ類にまで及ぶ。こういう細かいところの作り込みがグッとくるぜ!


画像: Kawasaki ELIMINATOR

Kawasaki ELIMINATOR

水冷ツインだもの、コリャ別次元よ!

ニンジャ400やZ400に搭載される180°パラツインは空冷シングル2台に比べたら隔世の感。エリミネーターはレブル250に対抗して400で出したのは英断だったと思う。


画像: Honda GB350 S

Honda GB350 S

ハンドル切れ角が大きくUターン最高

19インチのハンドリングは旧車的で個性的だが、ハンドル切れ角が大きいのもツーリングシーンでありがたい。Uターンが楽勝だから細かい道にも入っていく気になる!

文:ノア セレン/写真:南 孝幸、関野 温

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