文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海
クシタニ「エアーCEプロテクター」テスト&レポート
暑い時期でも快適なバックプロテクター
現在のライディングジャケットはプロテクター類を内蔵した製品がほとんど。安全性を考えれば当然の装備だが、プロテクターの保護性能を高めるほど通気性は低くなる。特に面積の大きいバックプロテクターは影響が大きく、メッシュ生地の夏用ジャケットでもTシャツがバックプロテクターの形に汗で濡れた経験を持つ人も多いだろう。暑いだけではなく不快だし、汗臭さの発生源にもなる。
クシタニのエアーCEプロテクターはTPE(加熱性エストラマー)素材を独自の3D立体成型として通風性を獲得。脊椎を保護する中心部が硬く、周辺部は柔らい構造でEN1321-2レベル1のプロテクション性能と、高い通気性がもたらす快適性を両立している。
手持ちのクシタニ製3シーズンジャケットに内蔵されていたEVA樹脂製のプロテクターと比べてみたが、通気性段違いに高い。前傾姿勢を取ってプロテクターが背中に密着した状態でも3D形状によって通気性が確保され、熱がたまらないため明らかに涼しい。TPE素材の手触りは硬いが、縦横にスリットを入れて柔軟性を持たせてあるので硬質樹脂製プロテクターにありがちなゴツゴツとした着心地の悪さはなく、背中へのフィット性も良好。実測重量は約300gで、標準装備プロテクターの実測60gと持ち比べると確かに重いが、フィット性がいいためか着ると気にならなかった。
「暑い時期も快適に着たいが、プロテクション性能が下がるのは心配」というライダーには最適のアイテム。僕は迷わず標準装備のプロテクターと入れ替えました。
テスター太田安治の欲張りリクエスト
硬質素材にスリットを入れることでプロテクション性能と柔軟性を両立させているが、EVA素材に比べると曲がる量が少なく、ジャケット内側にある脊椎プロテクターポケットへの出し入れに苦労する。もう少しだけ柔軟性を上げて欲しい。
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:平嶋夏海