都会の喧騒から離れた路地裏に、ひっそりと佇む「新橋モーター商会」。バイク好きの常連客がトラブルを抱えてやってきては、店主が文句ひとつ言わず整備する心温まらない企画です。さて今回のお題は「グリスアップ」のようです。
文:丸山淳大/写真:関野 温

車体の潤いを取り戻せ! グリスアップ大作戦

画像: (右)「オイ、マル! クラッチレバーがめっちゃ重いぞ!」(常連客 ハチ黒) (左)「ムダな抵抗は潤滑油で根こそぎ撲滅だ!」(新橋モーター商会 店主 丸山淳大)

(右)「オイ、マル! クラッチレバーがめっちゃ重いぞ!」(常連客 ハチ黒)
(左)「ムダな抵抗は潤滑油で根こそぎ撲滅だ!」(新橋モーター商会 店主 丸山淳大)

フリクションの低減と部品の摩耗抑制

エンジンも足まわりもチェーンもペダルもレバーも、バイクの走行中は常に部品同士が〝摺動〟している。その摺動によるフリクションを低減させ、部品摩耗を抑えるのに欠かせないのが「潤滑」だ。

だが、オイル交換時期などは距離や期間によって判断できるものの、各部グリスアップのタイミングには明確な指針が無いことが多い。だから、動きの悪化や、異音の発生など不具合が顕在化して初めてグリス切れに気づく例が少なくないのだ。

そんな、愛車のグリス切れに突然気づいたのがハチ黒氏。いつものように、喉のグリスが切れたようなダミ声で電話してきて「おうおう、オレのバイクのクラッチレバーが重いから見に来いやぁ!」と、無駄なハッスル。ふんどしで和太鼓ドンドンドドンで男祭りじゃないのよ。旧いのはバイクだけにしてくださいよぉ。

画像: 車体の潤いを取り戻せ! グリスアップ大作戦

かくして、今回は潤いゼロ&カッサカサ乗りっぱバイクの各部グリスアップ作業をすることになったのだ。

グリスアップで重要なのは作業前のクリーンナップ(清掃)である。古いグリスの上から新しいグリスを塗り重ねても潤滑性の向上は大きく望めないし、グリスは砂利やホコリを吸着するので、それが研磨剤となって摩耗を促進させることもある。また、適材適所でグリスを使い分けることも必要だ。

画像: 今回グリスアップするのはCRF250RALLY(左)とGSX750S(右)。車検や定期点検をショップに任せていれば、そのタイミングでグリスアップされるはず。でも、この2台はちょっとご無沙汰みたい…。

今回グリスアップするのはCRF250RALLY(左)とGSX750S(右)。車検や定期点検をショップに任せていれば、そのタイミングでグリスアップされるはず。でも、この2台はちょっとご無沙汰みたい…。

グリスの種類・特徴を解説

画像: メンテを趣味すると、際限なくグリスやケミカルが増えていくものだ。しかし、プロの整備現場でも登場機会が多いのは数種類だ。

メンテを趣味すると、際限なくグリスやケミカルが増えていくものだ。しかし、プロの整備現場でも登場機会が多いのは数種類だ。

作業目的に合わせて最適なグリスを揃える

まず持っておきたいのはチェーンオイルと万能(リチウム)グリスだ。それに、長期潤滑性は望めないものの、サビたネジを緩めたりするのに効果的な防錆浸透潤滑剤もあると良い。

次におすすめなのがゴムと金属の摺動部に使用するシリコングリスだ。また、ワイヤーに粘度の高いチェーンオイルの使用はNG。専用オイルを使おう。さらに、油分はゴミを吸い寄せるので、鍵穴には鍵穴専用の潤滑剤を使いたい。

画像1: バイクの「グリスアップ」を徹底解説|グリス・潤滑油のおすすめ製品や整備箇所、注油方法を紹介!

チューブとスプレーの2タイプがある!

画像: 【今回使用するデイトナの商品一覧】 ① 万能グリス(税込880円)  ② モリブデングリス(税込1100円)  ③ シリコングリス(税込1430円)  ④ グリスさん シリコングリス、万能グリス、モリブデングリスの3種類セット(税込1430円)  ⑤ ワイヤーインジェクター2POT(ワイドタイプ)(税込1320円)  ⑥ 鍵穴潤滑パウダースプレー(税込1210円)  ⑦ ワイヤーオイル(税込1540円)

【今回使用するデイトナの商品一覧】
万能グリス(税込880円)
モリブデングリス(税込1100円)
シリコングリス(税込1430円)
グリスさん シリコングリス、万能グリス、モリブデングリスの3種類セット(税込1430円)
ワイヤーインジェクター2POT(ワイドタイプ)(税込1320円)
鍵穴潤滑パウダースプレー(税込1210円)
ワイヤーオイル(税込1540円)

万能グリス(写真①、④の中段)
レバーやベアリングなど金属と金属の摺動部に使う万能グリス。バイク用として販売されているリチウムやウレアグリスを選べば間違いない。


モリブデングリス(写真②、④の下段)
リアサスリンクのブッシュやミッションの軸受けなど、高温、高荷重部の潤滑に適している。メンテ初心者はあまり使わないかも。


シリコングリス(写真③、④の上段)
金属とゴムの摺動部に使用。サスペンションやブレーキキャリパーのピストンに塗布すれば、フリクションを低減し、サビ防止になる。


キタコ ブレーキパッドグリス(税込484円)
パッドのバックプレートに塗布することで鳴きを抑えることができる。耐熱性に優れるので、マフラーフランジなど高温部のネジの焼付き防止にも有効。

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キタコ カーボングリス(税込462円)
導電性に優れるので、配線カプラー端子やギボシ端子に塗布することで、電気の流れを安定化させられる。特に旧車には有効だ。

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そのほかスプレータイプのルブ
チェーンオイルや浸透潤滑剤の多くはスプレー式。写真右のCCIメタルラバーはサスやキャリパーピストンの作動性を大きく向上させる隠れた逸品だ。

画像: 【左から】  ヤマルーブ 防錆潤滑浸透剤(税込990円)   ヤマルーブ スーパーチェーンオイル(税込1980円)   ストレート CCIメタルラバー(税込2090円)

【左から】
ヤマルーブ 防錆潤滑浸透剤(税込990円)
ヤマルーブ スーパーチェーンオイル(税込1980円)
ストレート CCIメタルラバー(税込2090円)

車体の各部グリスアップ! 方法・ポイントを紹介

1.クラッチレバー・ブレーキーレバー

【使用するもの】

グリス切れで操作性が悪化!

レバー操作はライディングの要となるのでグリスアップは欠かせない。グリスが切れると作動が重くなるし、レバー各部の摩耗が進めば、ガタが増えて操作性が悪化する。

作業手順としては、レバーを外して清掃&グリスアップが基本だ。ここでは万能グリス(リチウムもしくはウレア)を使用する。また、浸透潤滑剤を汚れ落としクリーナーとして使うと頑固な古いグリス汚れも簡単にきれいになる。


作業工程1.レバーを外して清掃

画像: レバーのピボットボルトを外す。ほとんどの機種で下側がナット、上側がボルトになっている。10mmのソケットとメガネレンチを使用。

レバーのピボットボルトを外す。ほとんどの機種で下側がナット、上側がボルトになっている。10mmのソケットとメガネレンチを使用。

画像: クラッチアジャストナットとレバーホルダーの切り欠き位置を合わせてワイヤーを取り外す。プライヤーを使用した。

クラッチアジャストナットとレバーホルダーの切り欠き位置を合わせてワイヤーを取り外す。プライヤーを使用した。

画像: レバーホルダーに残った古いグリス汚れを歯ブラシなどで清掃する。浸透潤滑剤を使用した後は、パーツクリーナーで洗浄しておく。

レバーホルダーに残った古いグリス汚れを歯ブラシなどで清掃する。浸透潤滑剤を使用した後は、パーツクリーナーで洗浄しておく。

画像: レバーやピボットボルトも清掃する。ボルトの軸部にサビが発生していたら、ワイヤーブラシなどを使って確実に落としておく。

レバーやピボットボルトも清掃する。ボルトの軸部にサビが発生していたら、ワイヤーブラシなどを使って確実に落としておく。


作業工程2.各部をグリスアップ

画像: ピボットボルト軸部にグリスを塗布する。レバーは、ホルダーとの摺動部やクラッチワイヤーと接触する溝部もグリスアップする。

ピボットボルト軸部にグリスを塗布する。レバーは、ホルダーとの摺動部やクラッチワイヤーと接触する溝部もグリスアップする。

画像: ブレーキレバーは、ピボット部だけでなく、ブレーキマスターシリンダーのピストン端面とレバーの接触部分に必ずグリスを塗布。

ブレーキレバーは、ピボット部だけでなく、ブレーキマスターシリンダーのピストン端面とレバーの接触部分に必ずグリスを塗布。

画像: ワイヤーはタイコの近くの部分が最も破断しやすいので、この部分にもグリスを塗布する。ワイヤーに摩耗やほつれがあれば要交換だ。

ワイヤーはタイコの近くの部分が最も破断しやすいので、この部分にもグリスを塗布する。ワイヤーに摩耗やほつれがあれば要交換だ。

【裏技】 ブレーキレバーのタッチが劇的に変わる!?

ブレーキがゴリゴリする?

ブレーキレバーのタッチがゴリゴリして、繊細なブレーキングができない! なんて時は、マスターシリンダーのピストン端面を確認してみよう。レバーとの接触面が摩耗で凹んでしまうと、タッチが著しく悪化する。

もし、凹んでいればオーバーホールが必要だが、応急処置的にマスターピストンを回転させ、レバーの当たり位置を変えることで、新車のタッチが復活することも!?

画像: 摩耗によりマスターピストン端面に縦の凹みができていた。こうした摩耗を防ぐためにも小まめなグリスアップが必要なのだ。

摩耗によりマスターピストン端面に縦の凹みができていた。こうした摩耗を防ぐためにも小まめなグリスアップが必要なのだ。

画像: ゴムブーツを破かないように注意し、ラジオペンチでマスターピストンを回転させる。当たり位置が変わってスムーズなレバータッチが蘇った!

ゴムブーツを破かないように注意し、ラジオペンチでマスターピストンを回転させる。当たり位置が変わってスムーズなレバータッチが蘇った!


2.ワイヤーケーブル

【使用するもの】

ワイヤー破断を防いで操作も軽減

ワイヤーの注油に使用するオイルは、粘度が低い専用品を使用したい。チェーンオイルなど粘度の高いグリスではワイヤー内部に浸透していかないし、粘りで動きが重くなってしまうこともあるのだ。

注油には、専用工具の「ワイヤーインジェクター」を使う、先細ノズルで直接隙間からスプレーする、小袋をワイヤー端にセットして袋内とオイルで満たし、重力で徐々に行きわたらせる、という様々な方法がある。


画像: ワイヤーの端に固定し、本体の注油口にスプレーすることで、ワイヤーの注油ができるワイヤーインジェクター。デイトナ製を使用。

ワイヤーの端に固定し、本体の注油口にスプレーすることで、ワイヤーの注油ができるワイヤーインジェクター。デイトナ製を使用。

画像: デイトナの「ワイヤーオイル」はΦ1mmのステンレス製の極細ノズルが付属しているので、ワイヤーの隙間に直接ノズルを挿して注油できる。

デイトナの「ワイヤーオイル」はΦ1mmのステンレス製の極細ノズルが付属しているので、ワイヤーの隙間に直接ノズルを挿して注油できる。

画像: ビニール小袋の下角を切ってワイヤーに通し、テープでアウターワイヤーに固定。ビニール内をオイルで満たせばオイルが徐々に落下していく。

ビニール小袋の下角を切ってワイヤーに通し、テープでアウターワイヤーに固定。ビニール内をオイルで満たせばオイルが徐々に落下していく。

画像: ワイヤー上側から注油したオイルが下側から出てきたら、ワイヤー内にオイルが行き渡ったと判断できる。余分なオイルは拭き取っておく。

ワイヤー上側から注油したオイルが下側から出てきたら、ワイヤー内にオイルが行き渡ったと判断できる。余分なオイルは拭き取っておく。

整備後に検証!
吊りはかりでレバーを引く重さを計測

画像: 【CRF250RALLY】3.00㎏→2.21kgに! 0.7kg軽減

【CRF250RALLY】3.00㎏→2.21kgに! 0.7kg軽減

画像: 【GSX750S KATANA】4.5kg→3.54kgに! 0.96kg軽減

【GSX750S KATANA】4.5kg→3.54kgに! 0.96kg軽減

レバー操作が軽くなった!

グリスアップによる効果は、実際に体感できることが多いが、それをより分かりやすく数値化できないかということで、今回はデジタル吊りはかりを使用し、クラッチレバーを引く力を重さとして計測してみた。

はかりの精度やレバーを引く力加減などを鑑みるに、完全に正確な数値とは言い難いが、グリスアップ前後で比較すると、確実に操作が軽くなったのがわかった。しかし、カタナのクラッチレバー重すぎぃ…。


3.サイドスタンド

【使用するもの】

チェーンオイルの使用がおすすめ

グリスアップのポイントで見逃しがちなのがサイドスタンドだ。足で少し払えばあとはスプリングの力で自動で跳ね上がるのが本来の動きだが、グリスが切れると、とたんに動きが悪くなる。

グリス切れのまま使い続けると、ピボットの穴やフレームのスタンドの受けが摩耗し、ガタが増えてスタンドの傾きが大きくなってしまう。修理は大掛かりだ。そうならないためにも小まめなグリスアップが欠かせないのである。


画像: 足で一生懸命上げないとならない動きの悪いサイドスタンド。赤いサビが出ていて、グリス切れは明らか。摩耗も徐々に進行している。

足で一生懸命上げないとならない動きの悪いサイドスタンド。赤いサビが出ていて、グリス切れは明らか。摩耗も徐々に進行している。

画像: サイドスタンドの取り外しは手間がかかるので、チェーンオイルを使用する。その前に防錆浸透潤滑剤を吹いて汚れを落としておく。

サイドスタンドの取り外しは手間がかかるので、チェーンオイルを使用する。その前に防錆浸透潤滑剤を吹いて汚れを落としておく。

画像: 汚れを拭き取ったら、ピボット部にチェーンオイルを吹き付け、サイドスタンドを上げ下げして良く行き渡らせる。これを繰り返す。

汚れを拭き取ったら、ピボット部にチェーンオイルを吹き付け、サイドスタンドを上げ下げして良く行き渡らせる。これを繰り返す。

画像: サイドスタンドスプリング上下のフックの部分にもチェーンオイルを少量吹いておく。最後に余分なオイルを拭き取って作業は終了。

サイドスタンドスプリング上下のフックの部分にもチェーンオイルを少量吹いておく。最後に余分なオイルを拭き取って作業は終了。

画像2: バイクの「グリスアップ」を徹底解説|グリス・潤滑油のおすすめ製品や整備箇所、注油方法を紹介!

【注意】
グリスアップと同時に増し締め必須

サイドスタンドのピボットボルト、ナットはかなりの確率で緩んでいるので、確認&増し締めしよう。緩んだままだとガタが増えていく。

整備後に検証!
動きのスムーズさを定点で観察

画像3: バイクの「グリスアップ」を徹底解説|グリス・潤滑油のおすすめ製品や整備箇所、注油方法を紹介!

サイドスタンドの動きがグリスアップによってどれだけ改善したか、可視化するために定点撮影してみた。グリスアップ前はBEFOREの位置まで足で払う必要があったが、グリスアップ後はAFTERのところまで行けば、スプリングの力で自動で跳ね上がるようになったのだ。明確な効果が表れた!


4.サスペンション

【使用するもの】

ゴムと金属の摺動部はシリコングリスを使用

フロントフォークの「インナーチューブ」やリアショックの「ダンパーロッド」は、ゴム製のシールと常に摺動している。この摺動部にシリコングリスを塗布して潤滑すれば、フリクションを低減し、サスの作動性向上を図れるのだ。さらにサビの発生も防ぐことができる。


画像: あらかじめインナーチューブの汚れを落としてから、シリコングリスを薄く塗り伸ばす。洗車後などに行うのがおすすめ。

あらかじめインナーチューブの汚れを落としてから、シリコングリスを薄く塗り伸ばす。洗車後などに行うのがおすすめ。

画像: 油分は砂利やホコリを呼ぶので、しっかり拭き取っておく。紙ウエスを細く切って巻き付けるようにしっかり拭き上げた。

油分は砂利やホコリを呼ぶので、しっかり拭き取っておく。紙ウエスを細く切って巻き付けるようにしっかり拭き上げた。

画像: CCIメタルラバーも、清掃後に使用する。スプレー式なので、ショックのスプリングの隙間からダンパーロッドを狙える。

CCIメタルラバーも、清掃後に使用する。スプレー式なので、ショックのスプリングの隙間からダンパーロッドを狙える。


5.ドライブチェーン

【使用するもの】

チェーンオイル

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シールチェーンでも注油は必要

現在主流となっているシールチェーンは、チェーンのピンとブッシュを潤滑するためのグリスをOリングで封入している。そのため、メンテナンスサイクルが長く、ロングライフが特徴だ。

だが、定期的なメンテナンスは欠かせない。チェーンのブッシュとローラーの潤滑が必要となるし、チェーンオイルによって、ゴム製のOリング表面を保護する目的もある。


画像: 注油はご無沙汰のようで、チェーン表面に薄くサビが浮いている状態。たが、まだ寿命の症状は出ていないので、メンテナンスを行ってみる。

注油はご無沙汰のようで、チェーン表面に薄くサビが浮いている状態。たが、まだ寿命の症状は出ていないので、メンテナンスを行ってみる。

画像: チェーンの汚れを落とすクリーナーと潤滑のためのオイル(ルブ)は、必ずシールチェーン対応のものを選ぼう。ヤマルーブ製を使用。

チェーンの汚れを落とすクリーナーと潤滑のためのオイル(ルブ)は、必ずシールチェーン対応のものを選ぼう。ヤマルーブ製を使用。

画像: チェーンクリーナーを直接吹くとローラーの裏に入り込んで残留し、チェーンオイルを薄めてしまうので、ウエスにクリーナーを吹く。

チェーンクリーナーを直接吹くとローラーの裏に入り込んで残留し、チェーンオイルを薄めてしまうので、ウエスにクリーナーを吹く。

画像: クリーナーを染み込ませたウエスでチェーンを握り、リアタイヤを回転させて拭く。手を巻き込まれるのでエンジン始動は絶対NG。

クリーナーを染み込ませたウエスでチェーンを握り、リアタイヤを回転させて拭く。手を巻き込まれるのでエンジン始動は絶対NG。

画像: 細部の汚れはブラッシングで落とす。汚れがひどい場合は直接チェーンにクリーナーを吹き、揮発するまで待ってから注油する。

細部の汚れはブラッシングで落とす。汚れがひどい場合は直接チェーンにクリーナーを吹き、揮発するまで待ってから注油する。

画像: チェーンオイルは缶をしっかり振って、チェーンの内周の注油ポイントに吹く。外周に吹くと走行時の遠心力で飛散してしまう。

チェーンオイルは缶をしっかり振って、チェーンの内周の注油ポイントに吹く。外周に吹くと走行時の遠心力で飛散してしまう。

画像: リアホイールを回転させて、チェーンオイルを良く行き渡らせ、余分を拭き取る。両サイドはしっかり、上下は少し油分を残す。

リアホイールを回転させて、チェーンオイルを良く行き渡らせ、余分を拭き取る。両サイドはしっかり、上下は少し油分を残す。

裏技! ちょっとした工夫でグリスアップが効率的に!

技1.スプレーノズル先端曲げ

画像: スプレー缶は直立状態が最も圧が安定する。ノズル先端を少し曲げると、缶を傾けることなくスプレーできる。樹脂ノズルでも曲げられる。

スプレー缶は直立状態が最も圧が安定する。ノズル先端を少し曲げると、缶を傾けることなくスプレーできる。樹脂ノズルでも曲げられる。


技2.段ボールでオイルの飛散をガード

画像: チェーンオイルがタイヤに付着すると滑るので、段ボールなどでカバーしておくと良い。さらに、下にトレイを敷けば地面も汚さない。

チェーンオイルがタイヤに付着すると滑るので、段ボールなどでカバーしておくと良い。さらに、下にトレイを敷けば地面も汚さない。


技3."隙間"を狙って注油! サビを防止

画像: 丸印で示したチェーン左右のOリング部と、ローラーの隙間を狙ってチェーンオイルをスプレーする。注油により、チェーンのサビも防げる。

丸印で示したチェーン左右のOリング部と、ローラーの隙間を狙ってチェーンオイルをスプレーする。注油により、チェーンのサビも防げる。

整備後に検証!
ホイール回転の軽さを計測

画像4: バイクの「グリスアップ」を徹底解説|グリス・潤滑油のおすすめ製品や整備箇所、注油方法を紹介!
画像5: バイクの「グリスアップ」を徹底解説|グリス・潤滑油のおすすめ製品や整備箇所、注油方法を紹介!

チェーンのフリクションが減ってスムーズに

吊り下げはかりをスポークにセットし、チェーン注油前後でホイール回転がどれだけ軽くなるか計測してみた。結果は注油前1.18kgに対し注油後0.46kgとなり、0.72kgも軽くなった。

各部のグリスアップによってそれぞれの部分でフリクションが確実に低減する。それが積み重なれば、操作が軽くなって疲れづらくなったり、燃費が向上したりとバイク全体で大きな変化が現れるはずだ。

文:丸山淳大/写真:関野 温

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