文:丸山淳大/写真:関野 温/モデル:mii
振動抑制グッズや意外な用品で振動低減にチャレンジ!
新橋モーター商会 店主 丸山淳大
某二輪用品店ピットスタッフ、某バイクメンテナンス専門誌の編集部を経て限界フリーランスに。バイクは乗るよりイジる派の偏執タイプ。
看板娘 mii
ソロキャンプ動画が大人気のYouTubeチャンネル「miiの休み時間」でバイクでキャンプも発信している。
信じるか信じないかはあなた次第です!?
ライダーを悩ませる「足つき」もロングツーリングの「尻痛」も、そしてハンドルやステップからの「振動」もひと昔前の対策は「我慢」一択だった。そんな時代を生き抜いてきたくせに、なんだか最近愛車の振動が気になりだしちゃったおじさんが、毎度おなじみのハチ黒である。
「俺のバイクのハンドルすげえ震えて長く乗れねんだよな~」って、乗りたくて乗りたくて震えるぅ~じゃないのよ。震えてるのはバイクじゃなくて貴方なのでは? と邪険にもできず、対策を考えてみることにした。
アフターパーツの振動低減アイテムを試してみるのはもちろん、根拠不明の振動低減法もトライ。さらに対策前後でどれだけ振動が減ったかを数値的に確認するため、スマホの振動計測アプリを使ってみたのである。
振動はエンジン回転数、車種、走行シチュエーションなど様々に変わるし、スマホのアプリの信頼性も未知数。軟弱地盤のふわふわ基礎の上に積み上げた実験だったが、対策によって明らかに振動が減るっぽいという一定の結果が得られたのだ。
対策前に車両をテスト
携帯の振動計アプリを使い、30km/h時の振動を計測
本格的な振動計は高額なので、今回はスマホアプリを使用。X、Y、Z軸それぞれの振動を計測できたが、グラフが複雑になって分かりづらいので、Z軸の振幅グラフのみを表示して比較した。スマホはグリップに接触させて計測することにした。
クロスカブ110 振動撃退 編
デイトナの振動抑制用品と意外なバイク用品で振動低減効果を計測
振動といえば、まず思い当たるのはハンドルだ。振動によって手がしびれてくると握力が低下し、それが疲れを招くという負のループから脱することはできるのか!? また、痛尻対策アイテムの防振効果にも注目した。
対策前に車両の振動をテスト
クロスカブ110は小排気量車でも振動が強い!
メーターセンサーは後輪なので、後輪を浮かせた状態でメーター目視30km/hをキープして振動を計測。体感的にもアイドリングより格段に振動が増えている。計測グラフだとノーマル状態では最大2.4~-1.6m/s2の間を振幅しているようだ。※(『m/s2』は加速度の単位)
対策1.ゲル内蔵の振動抑制グリップ
インナーラバー(ハード)とアウターラバー(インナー)の2層構造で振動を抑制する「耐振ゲルシリーズ #842 ビンテージグリップ」。耐震ゲルを素材としていて、振動低減効果が高い。握った感じは柔らかいのだが、力が逃げるという感じではなく、操作感も良好。
耐振ゲルシリーズは、その他にもデザインやラインアップも豊富。非貫通タイプだったので、非常的に後端をカットしてバーエンドと同時装着した。
グリップ装着後のテスト結果
柔らかいゲルの特性が意外な結果を導いた!?
実際に装着して握ってみると体感的に明らかに振動が低減しているのがわかった。しかし、ゲルがプルプルと揺れるためか? スマホを軽くグリップに当てただけだと数値的に振動が増大してしまうという結果に。
そこで、ほんの少~しグリップに押し当てるようにしてみると、だいたい1.7~-0.8m/s2の間に収まるようになり、数値としても装着前に比べて振動が低減した。最大振幅で比べると未対策時と比べて2.5m/s2低下となった。
対策2.振動抑制の定番品! ハンドルウエイト
削出し&アルマイト仕上げで質感抜群。重量は片側が334gで見た目はアルミだが、単品で持つとまるで文鎮のようにずっしりと重い。体感的にはすぐに振動が低下したのがわかるレベルで効果があった。
ハンドルウエイト装着後のテスト結果
取り付けが非常に簡単! おすすめの振動対策
車体の末端であるハンドルは最も振動が出やすい部分であり、純正でもハンドル内にウエイトが入っていたり、バーエンドが重りを兼ねていることが多い。
そこでクロスカブ110純正よりも重いデイトナのヘビーウエイトバーエンドを装着し、振動計測してみたが最大振幅で1.5~-1.0m/s2くらい。
未対策時と比べ、約2.5m/s2低下となり耐震グリップと同じぐらいの結果となった。グラフ的には振動が細かくなっているようだ。
対策3.一台二役!? マウントバーの意外な効果
シャフト、クランプ、アダプターをそれぞれ個別に選ぶことができ、好みに応じてアクセサリーのマウント場所を確保できる。削り出しの美しい造形でドレスアップ効果も高い。愛車に最適なセットを選ぼう。
マウントバー装着後のテスト結果
スマホマウントも振動対策品を選びたい!
スマホマウントやUSB電源などをハンドルまわりに設置するために開発されたアクセサリークロスバー。振動対策のアイテムではないが、実際には振動低減効果が現れた。
ハンドルの形状や機種によって有効性は異なると思われるが、クロスカブ110の場合、最大振幅は1.5~-1.0m/s2くらいとなり、ヘビーウエイトバーエンドと同じくらいの効果があった。マウントバーと振動対策と一石二鳥なアイテムだ。
対策4.お尻快適!ゲル入りシートマット
お尻の振動低減推理で失礼こかせていただきます!
ツーリング時のつらい尻痛は、主に長時間お尻の同じ部分に体重がかかり続けた結果発生するものだ。しかし、その原因として振動も無視できないはず。そこで、クロスカブ110のシートにスマホを置いて、尻痛対策に有効なツーリングサポートゲルの防振効果を計測してみることにした。
今回使用するのは尻痛対策の「ツーリングサポートゲル」と尻蒸れ対策の「エアスルーシート」の2つがセットになったライダーのお尻歓喜の快適アイテム。お尻に伝わる振動を低減したいという用途でも一定の効果が見込めるはず。
ゲルシート装着後のテスト結果
シートに簡単装着でツーリングが快適に
体感的にも数値的にも振動は低減した。ノーマルシートの最大振幅が1.0~-0.7m/s2だったのに対し、GEL使用時は0.7~-0.7m/s2となったのだ。差は0.3m/s2だったがわずかに低減されたのだ。
店主・マルの結びの一言〈クロスカブ110 振動撃退 編〉
対策はやればやるほど効果あり!? ただ実際の体感は未知数かも
実験の最後にバーエンド、耐震グリップ、マウントバーの振動低減トッピング全部盛りで振動計測に挑んだところ、最大振幅は0.8~-0.5m/s2くらい(※グラフの左右に突出した山があるが、これはスマホを動かしてしまった部分)となり、これまでで最も振動が少なくなった。
ノーマル時の振幅幅が4m/s2程度だったのに対し、1.3m/s2まで少なくなったのだ。それぞれ単品装着だと2.5m/s2程度だったので対策パーツを付ければ付けるほど効果は上がったのである。
日頃、愛車の振動に悩まされている方は、まずここで紹介した振動低減三種の神器を試してみる価値はありそうだ。ただ、今回は停止時30km/hのクロスカブ110という限られた条件下での実験だったので、路面から伝わる振動や様々な回転域のエンジン振動などはすべて省略した形である。
したがって、実際に走ってみての効果は異なる可能性がある。