アロンソが今季6勝目! 古里は自己最高位2位も悔しさ滲ませる
気温17度、路面温度26度のドライコンディションの中、23周で行われた決勝はベイヤーが抜け出しトップに浮上。1週間前の母国オランダで最後の最後に優勝を逃しているだけに、序盤から接触的なレースをみせていく。
しかし、2周目のターン11でベイヤーが転倒。コースに復帰するも優勝戦線から離脱してしまった。
これで2番手につけていたアロンソがトップに浮上。アロンソは先行逃げ切りを図るのではなく、タイヤの摩耗を気にしながら走行したため、優勝争いは大集団となる。
その中にはスタートで5位に順位を上げた古里の姿もあった。この日の古里にはペースがあり、特にセクター2で速さをみせていた。
しかし、5周目のターン7で目の前を走るダビド・ムニョス(BOE Motorsports)が体制を崩し、その煽りを喰らった古里はコースオフ。なんとか転倒を避け、コースに復帰するも8位にまでポジションを落としてしまった。
後退を強いられた古里だったが、自身にペースがあることに加え、トップ集団が接近していることもありすぐに追いつき、ポジションを上げていく。
多くのライダーに優勝の可能性があるなか、順位を上げてきた古里が残り6周でトップのアロンソにアタック。バトルを繰り広げていくが、アロンソが首位の座をキープしていった。
激しいバトルが続き古里は4位に落ちるが、2位に上がったホセ・アントニオ・ルエダ(Red Bull KTM Ajo)がターン1で後輪をロックさせクラッシュ。おそらくメカニカルトラブルによる転倒だが、このこともあり古里は残り2周の段階で2位にまで復活してきた。
そしてファイナルラップでアロンソの真後ろについた古里はオーバーテイクを狙うも、マシンを滑らせてしまいギャップが拡大。アロンソに仕掛けることができなくなってしまった。
アロンソは古里の追随を許さずトップチェッカー。9戦中6勝と圧倒的な成績を残し、前半戦を締め括った。古里は2位でフィニッシュ。自己最高成績だが、優勝が目の前にあっただけに悔いの残るレースとなってしまった。しかし、この結果ランキングも11位に浮上し、後半戦に弾みをつける結果と言えるのではないだろうか。
3位には前戦優勝のイヴァン・オルトラ(MT Helmets - MSI)が入った。山中琉聖(MT Helmets - MSI)はジャンプスタートによりダブルロングラップペナルティを科されるも粘りの走りで6位。鈴木竜生(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)も9位でゴールし、日本勢3名がシングルフィニッシュを果たしている。
2024 Moto3 第9戦ドイツGP 決勝結果
アロンソに死角なしか、日本勢の優勝も期待したい後半戦
昨年ルーキーながら最多勝となる4勝を挙げ、鮮烈なデビューを飾ったダビド・アロンソ。2年目を迎えた今シーズンは開幕戦から優勝を果たし、9戦中6勝とここまで圧倒的な成績を残している。
2006年生まれの若者は18歳にして完成度の高いライダーだ。スピードがあり単独でタイムを出すこともできれば、決勝では先行逃げ切りもできる。
しかし、混戦における勝負強さも一級品で、昨年挙げた4勝は全てポールポジション以外から達成したものだ。
今年は予選でも上位につけており、勝率も上昇。全てのセッションをトップで終えるという完璧なレースウィークを3回も過ごしているのは特筆すべき記録だ。
現在179ポイントを稼ぎ出し、ランキング2位のオルトラに58点差と大差をつけている。ポイント差とライダーの充実度を考慮すると、後半戦でアロンソが崩れることは考えにくい。
後半戦ではオルトラ、ダニエル・オルガド(Red Bull GASGAS Tech3)、ベイヤーといったライバル勢の巻き返しがあるのか、はたまたアロンソがMoto3クラス最多勝記録を塗り替える活躍を見せるのかに注目が集まる。
日本勢も3名ともシングルフィニッシュを果たしており、この数年で1番の安定感を誇っている。古里の初優勝や山中の初表彰台獲得、鈴木の復活を期待しながら8月2日の第10戦イギリスGPを待ちたいところだ。
レポート:河村大志