CT125・ハンターカブ用シフトインジケーター
ハンターカブって四速なので、走ってるときすでに四速に入ってるのにさらにシフトを踏んだりしがちなんですよ。
なのでシフトインジケーターを付けると、「今何速なのか?」ってのがわかって便利。
純正でシフトインジケーターを装備した車種もあるけど、残念ながらCT125・ハンターカブはJA55、JA65ともにシフトインジケーターは装備なし。
ただ、社外品で専用のシフトインジケーターも販売されてるよ。
シフトインジケーターの種類
そもそも、シフトインジケーターには2種類あるんですよ。
ひとつは電気式。電気式ってのが正式名称かわかんないけど便宜的にね。
回転数や速度なんかの情報からギアを判定して表示するもの。
汎用性が高いし、装着も比較的容易。
もうひとつはシフトドラムの位置から反転する機械的なもの。こちらも正式名称わかんないので便宜的に機械式と称しておくよ。
シフトドラムの位置から検出するので、誤判定が起こりえない。たぶん。
ただ、スイッチパーツを後から作るのは現実的じゃないので、同系統のエンジンにシフトインジケーターがあるようなバイクでないと難しい。あと作業は電気式よりめんどくさい。
で、ハンターカブの場合なんだけど、JA55の場合はチェンジスイッチを5極のものに交換すれば各ギアの位置を検出できるらしいのよ。
右がJA55のチェンジスイッチ。ニュートラルの端子しかないので、チェンジスイッチじゃなくニュートラルスイッチですね。
左が今回用意したチェンジスイッチ。5極で一番小さい端子がN。そこから反時計回りに1速、2速、3速、4速の接点。
このシフトスイッチを使って、ハンターカブJA55にシフトインジケーターを自作してみるよ。
ちなみにJA65の場合は、5極のチェンジスイッチが装着されてるのでそこに配線をつなぐだけらしい。ただ、JA65はもってないので、これ以上はよくわかない。ごめんね。
LEDの数でギアがわかるシフトインジケーターを作りたい
シフトインジケーターの仕組みとしては、チェンジスイッチがマイナスにつながってるので、インジケーター部分のマイナスをシフトスイッチの各接点につなぐだけ。
こういう汎用のインジケーターを繋げば完成なんだけど、せっかく自作するんだからちょっと形を変えたい。
アラビア数字で表示する方式は、わかりやすいしコンパクトで非常に優秀なんだけど、自分が装着したいのはLEDを4つつけて、ギアが増えるごとにLEDの点灯数が増えるという方式。
で散々考えてこんな感じにしてみることに。
整流ダイオードは電気の流れを一方通行にするものね。
動作としてはこんなイメージ。1速に入ると、チェンジスイッチからアースが取れるので一番右のLEDが点灯。残り3つはアースが取れないので光らない。
2速に入ると、右から2番目のLEDが点灯。整流ダイオードを経由して一番右のLEDも一緒に点灯するって感じね。
残り2つのLEDはアースがとれないので光らない、という皮算用。
色々な人に相談して、どうやら動作しそうなので後は実際にやってみるよ。
必要なもの
まずはこれ。コンタクトASSYチェンジスイッチ(35759-KWV-003)。だいたい1200円くらい(2024年8月現在)。
ちなみにこれ、ニュートラルの線しかでてない。5本の線が出てるのもあるんだけど、値段が5倍くらいするのよ。線が出てないだけで、端子は存在するので、こいつを加工して使うことでコストを抑えようという作戦。先駆者も多いので、ググると色々出てくるよ。
そして整流ダイオード。コンパクトなら何でも良さげ。
そしてLED。抵抗を計算するのが良くわかんなかったので、抵抗付にしたよ。発光色も選べるしコンパクトでなかなか良い。
今回はなるべく細くしたかったので、圧着端子で接続。配線はスマートになるけど、これだけだと弱いので、ハンダで補強した方が良いよ。
あと、サイズが2種類あるのはLEDの線とかが細いから。なので、線も太いのと細いの両方あると便利よ。
あと、ギボシはCA-CB103ね。ホームセンターで売ってる車用のだと太くてうまく装着できないよ。ハンターカブに限らず、ホンダ車いじるならまとめ買いしておくと便利。
あと、配線を繋ぐための4極カプラー。
そして、インジケーターの土台部分を作るためのアルミ板。荷重がかかるわけじゃないので厚みは2mmもあれば大丈夫だと思う。
後は工具。シフトインジケーターの工作に使うのはこんな感じ。ボンドに絶縁性ないとまずいので注意してね。ディスクグラインダー、いわゆるサンダーとかヤスリはインジケーターの土台を加工するのに使うよ。
・電工ペンチ
・電動ドリル
・ハンダ&ハンダゴテ
・ボンド(絶縁性のあるもの)
・テスター
・ハサミ
・ワイヤーストリッパー
・ディスクグラインダー
・やすり
シフトインジケーターを作るよ
シフトインジケーターの自作だけど、大きく分けるとチェンジスイッチの加工とインジケーターハーネスの作成、そしてインジケーター表示部分の作成になるよ。
チェンジスイッチの加工
まずはコンタクトASSYチェンジスイッチの加工。こういう感じで5つの接点がある。
でも、裏から出てるのは一本だけ。ニュートラルね。他の接点は樹脂で埋められてるのよ。なので、この樹脂を掘れば接点が出てくるはず。
樹脂が結構手ごわそうなので、ドリルで掘ることにするよ。
接点の位置を見つつ、位置を想像してドリリング。ゆうて樹脂なんでたやすく掘ることができるよ。
で、こんな感じ。全体的に接点からはズレてるけど、一応接点部分は露出した。
ここに線を繋いでハンダ付けできればあとは単純作業。
ハンダで線を付けるんだけど、奥まってるので実にむずかしそうなのよね。
で、何やかんや頑張って一応つながった。この時点でちゃんとつながってるか、テスターで導通確認しておくと良いよ。
導通モードにしてチェック。
全部の線と接点が問題なく導通したら、ボンドで埋めるよ。手近にあったSUウルトラ多用途を使った。仕上がりはみっともなくなっちゃった。ちょっとボンドが古かったかも。
たくさん線が出てると絡まったりして良くないので、熱収縮チューブとか絶縁テープとかでまとめておこう。その際に、どの線が何速なのか書いておくと便利よ。
ニュートラルから反時計回りに1速、2速、3速、4速ね。
で、こんな感じ。ニュートラルの端子はギボシに置き換える必要があるけど、オスだったかメスだったかわかんないので、車体取り付け時に加工しよう。
インジケーターのハーネス作成
ハーネスはここの丸で囲った部分ね。抵抗はLEDについてるものを選んだので、LEDと整流ダイオードをひたすら線でつないでいくのだ。
実際に繋ぐ前に、整流ダイオードの向きをテスターで確認しておこう。予備を含めて2セット合計10本購入したんだけど、10本とも赤→黒への通電だった。なんかレビューみてると、向きが逆だったり不具合あるものも、なんて書いてあったので念のためね。組んでから整流ダイオードが原因で不具合起きてもめんどくさいし。
で、あとはひたすら繋ぐよ。配線部分はこんな感じ。圧着接続端子を使ったおかげでかなりスマートにできたけど、これ引っ張ると抜けがちなのよね。追いハンダしてから熱収縮チューブで保護しておくと良さそう。
配線が出来たら動作テスト。抵抗付LEDがまだ届いてなかったので、抵抗なしの適当なLEDでテストしてみた。
まずは1速。1個点灯。
2速。2個点灯。あっさりうまくいった。逆に怖いね。
とりあえずハーネスは完成したので、インジケーターの表示部分を作ろう。
インジケーター表示部分の作成
インジケーターの取り付け部分に関しては車両次第なので、あんまり参考にならないかも。
結果から言うと油温計とボルトメーターの横に装着したんだけど、追加メーターの無い場合はボルトメーターのあたりに装着するとスマートな気がする。
なのでここはざっくりと。
やすりでバリを取ったり修正したらベース完成。
amazonから届いた抵抗付LEDを装着するよ。
なんか思ってたよりガタガタだし汚いし、LEDがズレてる。でも作り直すのはしんどいのでとりあえずこれでいこう。
あとは、インジケーターとハーネスとチェンジスイッチを繋ぐだけ。
長さ調整が必要なので、車体に取り付けつつ合体させてくよ。
車体に取り付け
車体に取り付ける時には以下の工具が必要よ。スプロケガードと左の外装を外して、エアクリーナーボックスの固定を緩めてずらせばOK。
・8mmソケット
・10mmソケット
・六角棒レンチ5mm
・シールピックツール
・プラスドライバー
外装外しもさくさく行くよ。そうそう、各外層はプッシュリベットも使ってるのでお忘れなく。
ドライブスプロケットカバーはボルト2本外せば簡単に外せるよ。そうすると、チェンジスイッチ。弧の場合はニュートラルスイッチにアクセスできるようになる。
ニュートラルスイッチは10mmのソケットで外そう。ボルトは一個だけなんだけどOリングではまってるので、なかなく抜けなかった。
出っ張り部分をペンチでつかんで外そうとしたら、突起が折れた。
この突起が接点につながって、シフトドラムの位置を検出できるってわけね。
ニュートラルの端子を引っこ抜いたらオス端子だったので、用意したチェンジスイッチの端子もCA103にしておくよ。ただ、ここで何も考えずに引っこ抜いたのは失敗だった。
というのも、ニュートラル配線の繋がってた場所が物凄く作業しづらいのよ。手もほとんど入らないからギボシをはめることができない。だいぶ頑張ってみたけど、外装割りそう。
仕方ないからエアクリーナーボックスの固定を緩めて、ずらすよ。
エアクリーナーボックスは、6角棒レンチの5mmでキャップボルトを3カ所外して、バッテリー手前側のプッシュリベットを外そう。さらにインシュレーターの接続部をプラスドライバーで外せば、かなり大きくずらすことができるよ。
で、やっと車体側のギボシにアクセスできるようになった。
作業性をよくするために延長線を作って、これを車体側に装着するよ。これで、なんかあっても簡単に直せるはず。
終わってから気づいたけど、元々ついてたニュートラルスイッチのギボシを外したのが失敗だった気がする。ニュートラルスイッチの線をハサミで切ってギボシ化すればエアクリーナーボックスずらさなくても簡単に作業できた気がする。
さて。自作したチェンジスイッチを車体に取り付けつつ、ニュートラル線を繋いでいくよ。
そしたらこの段階で一度ニュートラルがちゃんと点灯するかチェック。
うん、おっけー。
そしたらシフトインジケーターを繋いで動作テスト。
これも問題なし。
あとは取り付けるだけ。取り回しに合わせて配線の長さを調整していこう。チェンジスイッチとハーネスの接続部は4極カプラーにしておくよ。プラス側は車体のアクセサリー線に繋いでね。
あとは配線を通して繋いで、シフトインジケーター部を締結したら完成。
自作シフトインジケーターの動作
さて、実際に動作させてみるよ。まずはニュートラル時。シフトインジケーターは全消灯。メーターのNランプは点灯。
1速に入れるとLEDが1個点灯。ニュートラルランプ消灯。
2速で2個点灯。
見た目がガタガタしてるけど、動作は良い感じ。ゴースト点灯が出たら整流ダイオードをプラスにも追加しようと思ったけど、大丈夫そう。でも夜にも一度確認しておこう。
動画で動作も見てみてね。
汎用デジタルシフトインジケーターも試してみる
シフトインジケーターを自作してみたけれども、キモになるのはチェンジスイッチからのマイナス線取り出し。逆に言えば、このマイナス線さえあればデジタルで数字を表示する汎用シフトインジケーターも簡単に装着できるんじゃなかろうか。
とりあえず安そうなのを購入してみた。
カプラーにまとめられてるのが、各ギアに対応したマイナス線。一本だけ出てるのがプラス線。
プラス線をアクセサリー電源に接続して、マイナス線をチェンジスイッチに繋げば動作するはず。
自分が購入したのは0、1、2、3、4、5の数字を表示できるもの。
ニュートラルについては自作した時と同様にメーター内のインジケーターで表示させるので、0と5の線は絶縁しておくよ。
で、1、2、3、4の線は導通テストしたうえで、わかるようにラベルを張っておく。さらにギボシ化しておくよ。
そしたらプラス線をACCに接続。マイナスは延長してチェンジスイッチの対応したギア線に接続して完成。
設置位置については、ホースをまとめる枠みたいな部分に、両面テープでひっつけておいた。
はじっこ部分を両面テープで使ってひっつけてるので、もしホースやワイヤーが干渉したとしても難なく外れてくれるはず。
とはいえ、ハンドルを左右に切ったりして干渉は入念にチェックしてね。
動作チェックも問題なし。
実際の表示具合はこんな感じ。
個人的な好みでいうと自作の「LEDが点灯数を増やしていく」表示のが好みだけど、汎用インジケーターも非常にコンパクトで良いね。
汎用シフトインジケーターには、抵抗も必要かもしれない(2024.11.6追記)
汎用シフトインジケーターを取り付けて一ヶ月ほど走ったところで、あっさり壊れた。
買い直したらまた動作したけど、そもそもやたらと明るいのが気になってたのよね。もしかしてこれは抵抗が入っていないのかも。
バイク用の汎用だからてっきり抵抗入ってるかと思ってたんだけど、もしかすると。ね。
なので抵抗を追加してみよう。
問題は抵抗の値なんだけど、インジケーターの電圧(ボルト)と電流(アンペア)の値が必要らしい。でも商品詳細に数値が載ってなかった。
同じ商品ではないけど、似たような7セグLEDの数値を参考にすることにしてみよう。
座ざっと調べたら電圧は3.3V。電流は20mAだったので、これを基に計算するよ。
まず12VからLEDの電圧を引くらしい。大きい方の2.5Vを12Vから引くと8.7V。20mAの単位をAにすると0.02A。
なんで引くかっていうと、3.5Vで動くLEDに12V来てると、電圧高すぎて壊れるから、余分を抵抗で減らして適性な電圧をLEDに送るってことみたい。間違ってたら御免。
オームの法則によるとR=V/Iなので、抵抗値は8.7V/0.02A=435Ω。
なので435Ωもしくはそれよりちょっと大きい抵抗をかませば良いはず。
435Ωより大きければ大きい抵抗値になるほど、表示は暗くなるはず。
で、ギボシ化された抵抗があれば楽なんだけど、見つからなかったから抵抗セットを購入。
435Ω以上なので、470Ωを使うことにするよ。
こんな感じで適当な線にハンダ付けして、収縮チューブでカバーするのだ。
はじっこはギボシね。
完成ー。あとはこれをシフトインジケーターのプラス線に割り込ませるだけ。
抵抗の装着前と装着後を同一露出で撮影してみた。
小さい画像だとわかりにくいけど、抵抗付けた後のが微妙に暗い。
まだ眩しいので510Ωにしても良いかも。
いずれにせよ、これでインジケーターの寿命も延びるはず、たぶん。
まとめ
自作については、インジケーターの土台部分を、もう少し丁寧に切り出してコンパクトにしたい。
あと、ちょっと輝度が強い気がするので、各LEDに抵抗を追加した方が良いかも。もう少しこぶりなLEDでまた作り直そうかな。
汎用は非常にコンパクトで作業が凄く楽。
シフトインジケーターは、そんなに敷居も高くしない、うまくやればかなりリーズナブルに作れるので、工作としても楽しいのですごくオススメよ。
レポート:若林浩志