文:丸山淳大/モデル:mii/写真:関野 温
シートの破れは放置禁物! ダメージのレベルにあわせて対処法を紹介

乗り心地も操作性も見た目もシートで変わる
バイクのシートはライディング時に体をホールドする非常に重要なパーツだ。それと同時に車体のスタイリングに与える影響も大きい。しかし、シートには無頓着で、とりあえず座れて、表皮が破れてなければOKという人は少なくない。
ハチ黒もマフラーとかホイールとかステップとかには異様な執着を見せるものの、シートには超無関心。表皮の破れも目に入らない様子。
しかし、シート表皮が破れたまま放置するといずれ雨水が染み込み、座るたびにお尻が濡れて非常に不快な思いをするものだ。さらに雨水はカビの原因にもなるし、中のアンコ(スポンジ)が露出したままだと太陽光の紫外線で劣化し、ボロボロに崩壊することになる。
だからこそ、シートの表皮が破れたら、対処が必要。今回は超お手軽な応急処置から上級者向けのシート表皮の張り替えまで、その手順をご紹介したい。
新橋モーター商会 看板娘 miiちゃん

ソロキャンプ動画が大人気の YouTubeチャンネル「mii camp【女子ひとり徒歩キャンプ】」で活躍中のmiiちゃん。最近、バイクの免許を取ったばかりの超初心者だけど、持ち前の負けん気でレンタルバイクを借りて日夜、猛特訓中!
ダメージレベル1. シート表面の汚れ落とし

シート表皮に入り込んだ汚れは専用クリーナーで撃退
ほとんどのバイクのシートは黒だから汚れが目立たないのだが、実はかなり汚れているのはオフ車のカラフルなシート表皮を見れば明らかだ。汚れはシート表面の細かい“シボ”と呼ばれるシワに入り込んでいて、洗剤で軽く洗った程度では落ちないことが多い。
かといって、ワックス入りのクリーナーを使うと表皮が滑るので、危ないのだ。そこでおすすめしたいのがバイクシート専用のクリーナーである。汚れも落ちは抜群だし、ツヤも蘇るぞ。

定期的に洗車はしており、シートも洗っていたそうだが、全体的に黒ずみが目立つ赤いシート。クリーニングでどう変化するのだろうか!?

使用するアイテム
ヤマルーブのシートクリーナー180ml(1430円)は、バイク用シート専用のクリーナー。1本で洗浄とツヤ出しができる。滑らない仕上がりになるのがポイント!
作業のながれ

缶をよく振って使用する。シートに直接スプレー場合はカウル部などに飛散しないように注意。ウエスにスプレーしてからシートを拭き上げても良い。

泡状になってシート表面に留まり、汚れを浮かせる。そのまま3~5分放置したのちに拭き上げてみると白いウエスに黒い汚れがガッツリと付着。

泡状になってシート表面に留まり、汚れを浮かせる。そのまま3~5分放置したのちに拭き上げてみると白いウエスに黒い汚れがガッツリと付着。

比較のため半分をマスキングしてみたが、違いがくっきりと表れた。汚れが落ちた上に、ツヤも出ている。表皮も滑らないので、洗浄後すぐに走れる。
\ 教えて マル!/
ひどい汚れは漬けおき洗浄が効果的! そのワケは?

跨ぐ時に付いた靴の擦れた跡などの頑固な汚れは、シートクリーナーのパッケージにも記載されている漬けおき洗浄法を試していただきたい。
ティッシュやウエスにシートクリーナーをたっぷり含ませ汚れの酷い部分にかぶせて放置すると、洗浄成分が汚れにダイレクトに届くので頑固な汚れも落ちやすいのだ。
ダメージレベル2. 表皮の破れ・穴あき補修
パターン1.シートが破れている場合

シート専用補修シールの正しい使い方
ガムテープよりワンランク上の補修方法が、専用の「シート補修シール」を使う方法だ。デイトナでは、シート表皮の色やツヤ、シワの大きさなどに合わせ、豊富な種類をラインアップしている。
表皮の張り替えまではいかなくても、それなりに目立たないように手軽に補修したいという場合に最適だ。価格は110×170mmのレギュラーサイズが税込770円。210×300mmのビッグサイズが税込1650円。今回は、粗目/ツヤ有り黒色を使用した。

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「シート補修シール レギュラーサイズ(110×170mm) 粗目/ツヤ有り黒色」(税込770円
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シート補修シール ビッグサイズ(210×300mm) 粗目/ツヤ有り黒色」(税込1650円)
作業のながれ

シートをいきなりカットすると失敗しそうなので、まずは透明なビニールなどで傷のサイズを写し取っておく。

写し取ったビニールを目安にシート補修シールを切り抜く。やや大きめに切っておいて、シートに当てつつ微調整すると良い。

貼り付け面の汚れや油を確実に落としておく。糊が付いているのでシールのように貼るだけでOK。押し付けるようにしっかり圧着させる。

真四角だと角が剥がれやすいくなるので、角を丸くしておくと良い。アンコに粘着面に触れそうな場合はビニールで保護しておく。

真四角だと角が剥がれやすいくなるので、角を丸くしておくと良い。アンコに粘着面に触れそうな場合はビニールで保護しておく。
\ 注意しよう /
応急処置でガムテープ直貼りは禁物

いたずらでシートを切られたり、表皮が硬化して割れたりして、シートスポンジが露出してしまった場合、雨水の侵入や紫外線劣化を防ぐためにも早急に対処したい。
ただ、そのままダイレクトにガムテープを貼って、粘着面がアンコに付くと、剥がす時にアンコも一緒に剥がれてしまうので注意が必要。
【対処法】ビニールで覆ってからガムテープを張る

傷にダイレクトにガムテを貼るのではなく、傷のサイズに合わせたビニールを用意して、保護した上からガムテを貼ることで、アンコのダメージを防げる。

ビニールの上からなら防水性もある程度期待できる。ただ、ガムテープは耐久性がないので、あくまで応急処置。早めに表皮の張り替えをおすすめしたい。
パターン2.穴が開いてしまった場合

市販の接着剤でもシート補修はできるのだ
タバコの灰が落ちて、シート表皮に穴が開いてしまうこともある。小さな穴でもそこから水が侵入してしまうので、早めの対処が必要だ。シート表皮の小さな傷は接着剤による補修がおすすめ。市販の接着剤に進化は目覚ましいようで、今回は2種類の製品を試したが、どちらもほぼ完璧に補修ができてしまった。穴は完全に塞がるし、爪先で引っ掻いても全く剥がれる気配がないほど接着力も申し分なかった。
作業のながれ

傷付近をパーツクリーナーで脱脂しておく。接着剤の成分や使用用途がやや異なるが、使い方はどちらも一緒だ。

接着剤を患部に塗布する。スーパーXの方が粘度は高いようで、垂れにくかった。どちらも黒色だがシートの色とは微妙に異なる。

乾く前にヘラで形を整えておく。硬化すると剥がすのに苦労するので、はみ出した接着剤はこの時点で拭き取っておく。

どちらも硬化するとしっかりシート表皮に密着して簡単には剥がれないほどの接着力を発揮。写真はスーパーXの仕上がり。