アルボリーノとのバトルを制したディクソンが今季2勝目
今年路面改修が行われたモーターランド・アラゴン。決勝日の朝方に雨が降るなどし、決勝は難しいレースになると予想されたが、Moto2クラス開始時にはウェットパッチもなくなり、完全なドライコンディションでのレースとなった。
ポールポジションは母国イギリスで優勝し勢いにのる最年長のジェイク・ディクソン(CFMOTO Aspar Team)が獲得。地元のアロン・カネット(Fantic Racing)が2番グリッド、ディオゴ・モレイラ(Italtrans Racing Team)が3番グリッドにつけた。
ランキング首位のガルシアは予選での転倒が響き28番グリッドからのスタート。前戦オーストリアGPで転倒を喫し、右手を骨折してしまった小椋は16番グリッドから巻き返しを図る。
佐々木歩夢(Yamaha VR46 Master Camp Team)はMoto2にステップアップして自己最高位となる19番グリッドからスタートとなった。
気温25度、路面温度39度のドライコンディションの中、19周の決勝レースがスタート。
ポールシッターのディクソンがレコードラインの優位性を活かしトップのままターン1を通過する中、2番グリッドスタートのカネットがスタートに失敗し10位に後退。出遅れたカネットは挽回を図るも、オープニングラップのターン9でハイサイドを喫し転倒リタイアとなってしまった。
ランキング首位と2位のガルシアと小椋はポジションを上げれずにいる中、トニー・アルボリーノ(ELF Marc VDS Racing Team)のペースが良く、4周目のターン4でトップのディクソンを捕らえトップに浮上。
昨年3勝を挙げるも今季苦戦を強いられているアルボリーノが今季初優勝を目指し先頭に躍り出た。しかし、アルボリーノはディクソン以下、トップ集団から抜け出すことができず、6周目にはディクソンが再びトップを奪い返す。
トップ集団には来季Gresini RacingからMotoGPクラスを戦うことが決まったフェルミン・アルデゲル(SpeedUp Racing)もつけており、序盤から積極的な走りを披露。しかし、7周目のターン13でデニス・オンジュ(Red Bull KTM Ajo)のインに飛び込むもハイサイドを喫し激しく転倒しリタイアとなってしまった。
このアクシデントもあり、トップ集団はディクソンとアルボリーノの2台が抜け出す格好に。ディクソンが快調に飛ばすもアルボリーノはしっかりと喰らいついていく。
その後方では小椋が魅せる。一時17位まで後退するも、周回を重ねるごとにポジションを上げていき、終盤には9位にまで浮上した。
一方、ガルシアも少しずつではあるがポジションを上げていく。しかし、トラックリミット違反のペナルティを取られ、ロングラップペナルティが科されてしまった。
これでポイントの望みが断たれてしまったガルシアはリスク回避のため、ピットに戻りリタイア。地元ながら厳しいレースになってしまった。
トップ争いは終盤にディクソンがさらにペースをあげ逃げにかかる。アルボリーノも反応するが両者の差は徐々に開いていき、1秒以上のマージンを築いたディクソンがトップチェッカー。イギリスGPに続き、今季2勝目を挙げた。
優勝まであと一歩届かなかったものの、アルボリーノは2位で今季初の表彰台を獲得。そして3位にはオンジュが入り、こちらはMoto2昇格後初となる表彰台獲得となった。
今季はボスコスクロ勢の躍進もあり苦しんでいたカレックス勢だが、ここにきて表彰台を独占する活躍を見せた。
後方ではジョー・ロバーツ(OnlyFans American Racing Team)がファイナルラップで転倒リタイアを喫したことで、小椋は最終的に8位でフィニッシュ。ガルシア、ロバーツなどタイトル争いのライバルたちがノーポイントに終わる中、小椋は8ポイントを獲得し、ガルシアとの差を12ポイントにまで詰めることに成功している。
予選で自己最高位を獲得した佐々木は決勝でも順位を上げていき12位でフィニッシュ。Moto2昇格後最上位でのフィニッシュで初入賞を達成、4ポイントを獲得してみせた。
チャンピオンシップ争いではガルシアが今季初のノーポイント、小椋が8位入賞で20ポイント差から12ポイント差に接近。ランキング4位のアロンソ・ロペス(MB Conveyors SpeedUp)が4位入賞、ランキング3位のロバーツがリタイアしたことで、ロペスがトップのガルシアから29ポイント差の3位に浮上している。
今季のMoto2クラスのタイトル争いは複数台による激しい戦いが最終戦まで続くはず。そんな中、小椋の8位入賞はとても大きな意味を持つことになるだろう。
2024 Moto2 第12戦アラゴンGP 決勝結果
レポート:河村大志