2024年9月20日から22日にかけて、イタリアのエミリア・ロマーニャ州にあるミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリでMotoGP第14戦エミリア・ロマーニャGPが開催された。インドGPとカザフスタンGPが中止になったことで、同地での連戦となった第14戦。今回はサンマリノGPではなく、エミリア・ロマーニャGPとして開催される。前戦はドラマもありチャンピオン争いは再び7点差と大激戦となり、6度の世界王者であるマルク・マルケス(Gresini Racing MotoGP)が完全復活を果たした。同じサーキットで再びドラマは起こるのか。

バニャイアがスプリントを制しマルティンとの差はわずか「4」に

土曜日の予選後に行われるスプリントレースの上位グリッドはやはり地元ドゥカティによる独占となった。ポールポジションはコースレコードを更新する走りを見せたフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)。

ライバルであるホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)はアタック中にチームメイトであるフランコ・モルビデリ(Prima Pramac Racing)に引っかかってしまいバニャイアを上回ることができず2番グリッドとなった。

3番グリッドには土壇場でタイムを更新したエネア・バスティアニーニ(Ducati Lenovo Team)が入っている。前戦で優勝し、バスティアニーニと僅差でランキング3位争いをしているマルク・マルケスは予選で転倒もありタイムをあげることができず7番グリッドからのスタートとなった。

土曜日は天候に恵まれレース日和に。気温23度、路面温度36度のドライコンディションの中、13周のスプリントレースがスタートした。

画像: 中央から一気に加速し、トップに躍り出るマルティン。

中央から一気に加速し、トップに躍り出るマルティン。

ポールシッターのバニャイアは少し加速が鈍る中、2番グリッドスタートのマルティンがスタートを決めトップでターン1に侵入。後方ではマルケスやペドロ・アコスタ(Red Bull GASGAS Tech3)もスタートを決めポジションを上げている。

2周目に入るとマルティン、バニャイア、バスティアニーニ、そしてマルケスの4台がトップ集団としてパックとなった。

マルティンは序盤からハイペースで走り、逃げにかかる。しかし、今週末のバニャイアのポテンシャルは非常に高く、前戦のポールラップ並のラップタイムを刻みながらマルティンに迫っていった。

あまりのハイペースに3位のバスティアニーニと4位マルケスがトップ2台に引き離されてしまう中、バニャイアは折り返しとなる7周目にマルティンの背後につけた。

そして、8周目のターン13の高速セクションでマルティンのラインが若干膨れた瞬間を見逃さなかったバニャイアがインに飛び込みオーバーテイク。一瞬の隙をつきトップに躍り出た。

画像: スプリントでは無類の強さを誇るマルティンだが、この日のバニャイアは圧倒的だった。

スプリントでは無類の強さを誇るマルティンだが、この日のバニャイアは圧倒的だった。

そこから両者の差はコンマ5秒のまま推移していく状況に。この時、マルティンにはトラックリミットの警告が出ていたため、再度仕掛けるほどの走りはできなかったのかもしれない。

結局順位の入れ替わりがないままバニャイアがトップチェッカー。スプリントを制し、マルティンとのポイント差を7から4に詰めることに成功した。

マルティンは2位、3位にはバスティアニーニが入り、またしても母国でドゥカティによるポディウム独占となった。

画像: 前戦は勝つことができなかったバニャイアが同じサーキットでリベンジを果たした。

前戦は勝つことができなかったバニャイアが同じサーキットでリベンジを果たした。

バニャイアがまさかの転倒! 僚友バスティアニーニがマルティンを下し優勝

画像: ドゥカティ3台による優勝争い。

ドゥカティ3台による優勝争い。

決勝日も天候は晴れ。気温21度、路面温度28度のドライコンディションの中、27周の決勝レースがスタートした。

スプリント同様好スタートを切ったマルティンがトップでターン1を通過。しかし、ターン2にかけて抜群のライン取りをしたバニャイアがトップを奪い返してみせた。

バニャイア、マルティン、バスティアニーニの順でレースが進んでいく中、4周目にマルティンがバニャイアに仕掛け、ターン8でトップに浮上。

バニャイアはその後、バスティアニーニにも抜かれ3位に後退。ペースが上がらず1秒以上の差をつけられてしまう。

一方、バニャイアのチームメイトであるバスティアニーニのペースが良く、優勝争いはマルティンとバスティアニーニの一騎打ちの様相となる。

しかし、トップ2はバトルを展開することなく周回。そんな中、上位2台に2秒の差をつけられていたバニャイアが一気にペースアップしファステストラップを更新する走りをみせる。

これで3台による優勝争いになるかと思われたが、バニャイアのハイペースは続かず前の2台を捕られずにいた。そんな苦しい展開となったバニャイアに悪夢が襲う。

残り7周のターン8でバニャイアがまさかの転倒。前戦のサンマリノGP、そして前日の優勝でマルティンとの差を4にまで詰めていたバニャイアだが、一転してマルティンを助けてしまう結果に終わってしまった。

画像: マルティンとバスティアニーニによる優勝争い。

マルティンとバスティアニーニによる優勝争い。

終盤になると再びトップ2の車間距離が近くなっていき、バスティアニーニはマルティンの背後に迫る。

そしてファイナルラップに入り、バスティアニーニが勝負に出た。ターン4で僅かな隙間をつき接触しながらマルティンをオーバーテイク。両者コース外に出てしまうやや強引な追い越しとなったが、これで逆転したバスティアニーニがトップでチェッカーを受けた。

今季2勝目となったバスティアニーニは、同時にドゥカティにとって最高峰クラス通算100勝を達成。さらに、今シーズンのコンストラクターズタイトルも確定させている。

マルティンは悔しい2位。それでもランキング首位の座を守り、バニャイアとのポイント差を24にまで拡大させた。3位には前戦優勝者のマルク・マルケスが入っている。

今大会でヨーロッパラウンドは終了し、次戦からアジアラウンドに突入する。アジア初戦は9月27日から29日にかけて行われるインドネシアGP。緊迫するチャンピオン争いはアジアラウンドに入り流れが変わるのか、はたまた……。

そして10月4日から開催される日本GPを含め、シーズン後半戦も見逃せないレースが続く。

2024 MotoGP 第14戦エミリア・ロマーニャGP 決勝結果

画像: バスティアニーニは地元サーキットで初優勝。記念すべき母国GPとなった。

バスティアニーニは地元サーキットで初優勝。記念すべき母国GPとなった。

画像: resources.motogp.com
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レポート:河村大志

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