全日本トライアル選手権IASライダーであり、ハードエンデューロ、ラリーと幅広く活躍を続ける藤原慎也が、今年からトイファクトリーの協力を得てトランスポーターとして使用するのはフィアット「デュカト」をベースとしたキャンピングカーWEINSBERG「OUTLAW」。連載記事第一弾は、メーカーと車両、社長が語るその魅力について紹介します

TEXT/増谷茂樹

トライアルに留まらずジャンルを超えて挑戦するマルチライダー、藤原慎也選手

藤原慎也選手は、現役の全日本トライアル選手権IASライダー。その戦歴を遡ると、16歳で全日本選手権国際B級シリーズランキング4位を獲得し国際A級へ昇格。17歳から参戦を始めると、24歳(2014年)で全日本トライアル選手権国際A級シリーズチャンピオンを獲得します。その後、最高峰クラスとなる国際A級スーパークラスに参戦する傍ら、イベントオーガナイザーとして「City Trial Japan 2018 in Osaka」を開催。アジア初となる街中での公道トライアルレースを実行委員長として立ち上げ、これまでコロナ禍にあった2021年を除き毎年開催しています。

画像: トライアルに留まらずジャンルを超えて挑戦するマルチライダー、藤原慎也選手

また、藤原選手はトライアルの他に、エンデューロライダーとしても活躍。全日本エンデューロ選手権や全日本ハードエンデューロ選手権など国内のレースをはじめ、2022年からは世界一過酷と言われるハードエンデューロレース「エルズベルグロデオ」に挑戦し続けています。さらに、2024年4月にはダカール・ラリーへの参戦を表明。種目の垣根を超えて活躍の幅を広げ続けています。

トランポ、キャンピングカーのカスタム・販売・サポートの心強い味方、トイファクトリー

藤原選手を今回サポートするのが、岐阜県可児市に本社を置く、キャンピングカーメーカーの株式会社トイファクトリー。1台のハイエースをキャンピングカーに改造することから始まったこの会社は、これまでハイエースをベースとしたバーデン・アルコーバ・トイズボックス・ジーティーなど数多くの種類のキャンピングカーの開発を行い、今やハイエースベースのキャンピングカーでは国内No.1シェアを誇るメーカーです。

現在は新車販売をはじめ、中古車の買取・認定中古車の販売、欧州のモーターホーム・キャンピングトレーラーメーカーの正規輸入・販売、キャンピングカーのレンタルなど、キャンピングカーに関する様々なサービスを提供しています。

画像: トランポ、キャンピングカーのカスタム・販売・サポートの心強い味方、トイファクトリー

また、2022年にはフィアットプロフェッショナル正規販売ディーラーとなり、フィアット デュカトを日本で正規輸入販売しています。なお、輸入車販売は同社のインポートキャンピングカーディーラーであるEURO TOYにて行われており、FIAT・WEINSBERG・HYMERなど17つの欧州キャンピングカーブランドを取り扱っています。今回、藤原選手へ貸与することになったのはWEINSBERG(ウエンズバーグ)の「OUTLAW(アウトロー)」とのこと。

ベース車、FIAT Ducato(フィアット デュカト)ってどんな車?

フィアットの「デュカト」はヨーロッパでは絶大なシェアを誇るLCV(Light Commercial Vehicle)で、商用車としてはもちろん、トランポやキャンピングカーのベースとしても人気を集めている車です。2022年9月15日より日本の正規FIATディーラーが取り扱いを始めたのは標準サイズのL2H2とロングボディのL3H2。全長はそれぞれ5,410mmと5,995mm、全幅は2,100mmあるのでハイエースよりもひと回りちょっと大きい感覚でしょうか。

画像1: ベース車、FIAT Ducato(フィアット デュカト)ってどんな車?
画像2: ベース車、FIAT Ducato(フィアット デュカト)ってどんな車?

また、キャビンスペースの全高も1,970mmあるため、大人が立ったまま入れる余裕があります。直列4気筒インタークーラー付きターボディーゼルエンジンと9速ATの組み合わせは、このクラスのLCVとして最高出力となる180psを叩き出し、高速道路での移動に強さを発揮。サイズ、動力性能、快適性、どれをとっても欧州クラスのバンが日本に上陸したとあって、すでに国内のキャンピングカーショーなどでも話題をさらっている車両です。

安全装備も充実していて、アダプティブクルーズコントロールやレーンセンタリングアシスト、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付)を搭載。デジタルリアビュールームミラーやリアパーキングカメラ、コーナリング機能付きのフロントフォグランプも装備しているため、車体の大きさから走行や駐車に不安を感じる方でも安心して運転できます。

さらに運転中の利便性の高さも魅力の一つで、ハンドル周りを見ると、オーディオナビゲーションシステム(Uconnect®︎)を搭載し、置くだけで携帯を充電できるワイヤレスチャージングパッドやUSBポート / 12V電源ソケットなど、快適にドライブを楽しめるための機能が詰まっています。

価格は5,800,000円~。より詳しい内容については公式ホームページにて確認できます。

バイク乗りにとって夢のモデル、WEINSBERG「OUTLAW」

WEINSBERGはドイツのモーターホームブランド。ドイツで多種多様なバンやトラックを手がけ販売しているブランドで、機能性とファッション性が両立された、明るい印象の内装インテリアが特徴的です。「OUTLAW(アウトロー)」はFIAT DUCATO L4H3をベースとしており、全長6360mm・全高2820mmという大きめのサイズです。

画像: バイク乗りにとって夢のモデル、WEINSBERG「OUTLAW」

キャンピングカーとしての居住空間をはじめ、フロントシートを回転させてテーブルを囲むことで作れる打ち合わせスペースやトイレとシャワーを備えたマルチルームも完備しています。

また、普通のキャンピングカーとひと味違うのは、荷台部分にバイクが積めるスペースが設けられていることです。背の高いオフロードバイクでも2台積むことができるどころか、車内で整備することもできるくらいのスペースがあり、車内の居住スペースから扉を開いてアクセスすることもできる、バイク乗りにとっては夢のようなトランポでしょう。

ハイエースよりも広く、運転しやすい、藤井社長に聞くフィアット「デュカト」の魅力

先述したように、キャンピングカー・トラベルトレーラー専門店の株式会社トイファクトリーは、元々ハイエースをベースとしたキャンピングカーを手掛けており、その後欧州のモーターホーム・キャンピングトレーラーメーカーの正規輸入・販売へと事業を広げてきました。さまざまなブランドや車種がある中で、なぜ「OUTLAW」に惹かれたのでしょうか? 代表取締役の藤井昭文さんがその魅力について語ってくれました。

PHOTO/NOFPLEX TEXT/増谷茂樹

「10年以上前から正規輸入したかった」、欧州No.1のシェアを持つクルマ

画像: 「10年以上前から正規輸入したかった」、欧州No.1のシェアを持つクルマ

「国内でキャンピングカーを手がけてきた私たちにとって、ハイエースこそがベース車両の王道だと思っていました。ただ、サプライヤーとのミーティングでヨーロッパに数ヶ月滞在した際に気づいたのですが、ハイエースは欧州で必ずしも知られた存在ではなく、かわりに現地でよく見かけたのはフィアットの「デュカト」でした。私も見るたびに良い車だなと思っていたところ、ある時、現地メーカーさんの繋がりでデュカトをテストコースで乗らせてもらえることになりました。

乗った時にまず魅力に思ったのは、最高出力180PSを誇る2.2Lディーゼルターボエンジンのパワーを活かした走りです。足回りもいいので、高速巡航での安定性やハンドリングも素晴らしい。実は燃費も良くて10〜15km/Lくらい走りますし、安全装備も全てついていて……、そういう細かい部分を一つ一つ見ていくと、これは良いなと確信しました。ハイエースに比べると荷室が広く、天井も高いので大人でもかがむことなく立つことができます。さらに上に向かって壁面が絞られていることもないので、架装もしやすく、トランスポーターとしても最適な車種だと感じました」(藤井氏)

デュカトはヨーロッパでは約70%のシェアを誇っており、この種のLCV(Light Commercial Vehicle)としては欧州No.1となります。日本でも並行輸入で入ってきてはいましたが、藤井氏は正規輸入したいという思いを強く持っていたと話します。

「10年以上前から、正規輸入してほしいというリクエストはしていました。というのも、正規輸入をする前は、故障しても正規のテスターを持っているお店がなくて、汎用のOBD(故障診断装置)を使っていましたし、パーツを取り寄せるのに数ヶ月待ちというのも珍しくありませんでした。なので、2022年にフィアットの輸入元であるステランティスジャパンが正規輸入を決めてくれたときは嬉しかったですね。フィアットプロフェッショナル正規販売店になった現在は、正規のテスターで故障箇所を突き止められますし、国内のパーツセンターも完備されているので必要なパーツもすぐに入手できます。国産車と同レベルの保証やサービスが受けられるようになったのは大きいですし、お客様にとって安心材料になっていると思います。ディーラーになったことでデュカトの魅力をよりリアルにお客様にお伝えすることができるようになりました」(藤井氏)

これまでなかった、バンとバスの中間的カテゴリー

キャンピングカーの世界では、ハイエースなどのバンをベースに架装した「バンコン(Van Conversion)」と呼ばれるカテゴリーが人気です。もっと大きなサイズとなると、トラックにキャビンを架装した「キャブコン(Cabin Conversion)」、バスをベースとした「バスコン(Bus Conversion)」というカテゴリーもありますが、乗り心地や高速安定性に不満を持つ人も少なくないと聞きます。デュカトはどこに当てはまるのでしょうか。

画像1: これまでなかった、バンとバスの中間的カテゴリー

「これまでバンとバスの中間となるキャンピングカーはありませんでしたが、デュカトベースのキャンピングカーは、まさにその中間的な位置付けです。バンよりも広く、でもバスほど大きくない。そして高速道路での安定性も高いので移動が快適というメリットもあり、中間層を求めている方にピッタリの車種だと思います」(藤井氏)

また、その乗り心地の良さから女性にも人気が高いと言います。

「ハイエースベースのキャンピングカーはオーナーの97%が男性なのですが、デュカトベースのものは女性人気が高いのも特徴です。先日デュカトを見にきていたご夫婦がいて、旦那さんが購入を悩んでいたのですが、奥さんの『これが良い』という一声で購入に進んでいただきました。特に座り心地や空間の広さ、居心地の良さに魅力を感じている方が多い印象です」(藤井氏)

なお、トイファクトリーでは、デュカトをベースに自社で架装したオリジナルのキャンピングカーも手掛けています。こうした車両は海外からの評価も高いとのこと。

画像2: これまでなかった、バンとバスの中間的カテゴリー

「キャンピングカーショーに出展したところ、海外メーカーのトップの方たちから『このままヨーロッパに持って行っても売れる』と言ってもらえたことがあり、嬉しかったですね。ヨーロッパだとそのまま箱を乗せるという作り方・考え方が主流なのですが、日本人の几帳面さなのか、箱を乗せるというよりはきっちり収めたいという意識で作っていて、そこを評価いただきました。2024年から納車も本格的に始まっていますが、ハイエースから乗り替えるユーザーも多いです」(藤井氏)

トイファクトリー製キャンピングカーのユーザーは約1万人いるとのことなので、そのうちの1%でもデュカトに乗り替えれば小さくない数となります。デュカトの日本上陸は、トランスポーターやキャンピングカーの世界に革新をもたらすことになりそうです。

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