2023年4月にデビューして以来、人気を博すカワサキ「エリミネーター」シリーズ。ツーリングを楽しみやすいパッケージながら、ノーマル状態では荷物が積みにくい!? 何とかならないものかと、いろいろな方法で積載チャレンジ!
レポート:西野鉄兵
画像: Kawasaki ELIMINATOR SE 2025年モデル 総排気量:398cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒 シート高:735mm 車両重量:178kg 発売日:2024年3月23日 税込価格:91万3000円

Kawasaki
ELIMINATOR SE
2025年モデル

総排気量:398cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
シート高:735mm
車両重量:178kg

発売日:2024年3月23日
税込価格:91万3000円

カワサキ「エリミネーター SE」積載インプレ

2025年モデルのカワサキ「エリミネーター」シリーズは3機種用意されています。スタンダードの「エリミネーター」、ドラレコと電源ソケットを備えた「エリミネーター プラザエディション」、そして、ヘッドライトカウルやフォークブーツ、専用シートなども装備する上級グレードの「エリミネーターSE」。

今回は「エリミネーターSE」で積載テストを行なっていきますが、リアシートまわりの形状や仕様は3車共通です。

シートまわりとシート下をチェック

画像1: シートまわりとシート下をチェック

さて、まずはシートまわりを見ていきましょう。

ライダー側のシートは、ゆったり座れて快適。シート高は735mmと低いので、普通自動二輪免許を取得したばかりの方でも安心して乗りやすいでしょう。この「SE」のみツートンレザー仕様となっています。

ライダー側のシートはサイドカバーにある鍵穴にキーを挿して、ロックを解除すれば簡単に外せます。後ろ側を支点に前側をロックしているため、外すときは前側を持ち上げる要領で。

シート下にはETC2.0車載器。国内メーカー・400cc以下の現行車では唯一、ETC車載器を標準装備しています。ロングツーリングを楽しみたくて選ぶ人も多いでしょうから、これはありがたいですね。

次に荷物を積むリアシートをチェック。リアシートまわりには荷掛フックのたぐいが何もありません。

画像2: シートまわりとシート下をチェック

もしかしてシートの裏に荷掛用の折りたたみ式ベルトが備わっているのかも……そう思い、外してみましたが残念、空振りでした。

後部にある六角ボルトだけでなく、前側にもウケがあり、外し方を知らないとけっこう大変です。とはいえ、リアシートの下や裏には何もないので、外さなければならない機会はかなり少ないと思います。

画像: ▲ボルトを外したのち、グイグイ左右に動かしながら、斜め上方向に引っ張り上げます。コツはあるのでしょうが、けっこう力が必要だと思いました。

▲ボルトを外したのち、グイグイ左右に動かしながら、斜め上方向に引っ張り上げます。コツはあるのでしょうが、けっこう力が必要だと思いました。

座面は横幅約16cm×縦幅約24cm。座面自体は広いとはいえないものの、フラットかつきれいな長方形のため、小ぶりなシートバッグは載せやすいでしょう。

シートに跨がせるタイプの取り付けベルトを採用しているバッグなら簡単に積めます。

ノーマル状態では大きなバッグを積載するのは難しい

問題はここからです。泊まりがけのツーリングなら大型のバッグを積みたいですよね。

しかし、どこにシートバッグの取り付けベルトやロックストラップをかければいいのか……。まずはロックストラップを使って、バイク用ではないバッグを積んでみたいと思います。

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画像: ▲リアフェンダーの側面に荷掛フックが一切なし!

▲リアフェンダーの側面に荷掛フックが一切なし!

先に積んだ状態をお見せします。ひとまず見た目的にはきれいに容量31Lのダッフルバッグを積載できました。

ベルトは左右・前後4カ所に固定しています。

前側はリアショックの付け根部分を利用しました。隙間が少なめでしたが、まあ問題なし。シートバッグの取り付けベルトも同じように設置できます。

画像1: ノーマル状態では大きなバッグを積載するのは難しい

難儀したのは後ろ側。この方法ははっきりいっておすすめできません。リアフェンダーの裏側からリアフレームに固定しています。

画像2: ノーマル状態では大きなバッグを積載するのは難しい

おすすめできない理由は2つ。1つは、走行中にベルトが緩んだ場合、タイヤに巻きこんでしまう可能性があるということ。もう1つは、樹脂製のリアフェンダーの強度が心配であるということです。

荷物の固定力と見た目のスマートさは完璧なのですが、危険なためダメですね。真似しないでください。

ロープの輪っかを使って簡易的に荷掛箇所をつくる

安全な方法で積めないと意味がないですよね。ということで再チャレンジ。何かアイテムを使わないと無理そうなので、工夫します。

使うのは登山などで使うアウトドア用のロープでつくった輪っか1つ。

画像1: ロープの輪っかを使って簡易的に荷掛箇所をつくる

この輪っかをリアシートの後端に設置。リアシートのボルトを緩めると簡単に通せます。緩めたあとはしっかりと締めるのをお忘れなく。

画像2: ロープの輪っかを使って簡易的に荷掛箇所をつくる

設置した輪っかは簡易的な荷掛箇所となります。ここへ、ロックストラップを装着します。

画像3: ロープの輪っかを使って簡易的に荷掛箇所をつくる

理想は、リアシートの中央ではなく左右端から引きたいのですが、仕方ありません。とりあえず、これでロックストラップを使って容量31Lのダッフルバッグを積むことができました。

完璧とはいえませんが、安全面はクリア。ツーリングネットを使ってあいまいなテンションで荷物を積むよりはよっぽど安心できます。

4点留めではあるものの、3点留めに近いため、なるべく強めに引っ張ってテンションをしっかりとかけるのがおすすめ。ロックストラップにプラスして補助的にツーリングネットを使うのは有効です。

画像4: ロープの輪っかを使って簡易的に荷掛箇所をつくる

ちなみにこの輪っかを使う積載方法は、ホンダのレブル250やレブル500でも同じように活用できます。

シートバッグの取り付けベルトもこのロープの輪っかを使って積載できました。積載したバッグは容量37L~44Lのヘンリービギンズ「HB DH-758 キャンプシートバッグPROII/M」。

画像5: ロープの輪っかを使って簡易的に荷掛箇所をつくる

キャンプシートバッグという名称ですが、キャンプ道具一式を入れるのは難しいサイズです。

もっと大きなバッグを安心して積みたいという人は、リアキャリアの装着をおすすめします。

画像: ▲ナンバープレートと共締めすることで荷掛箇所を増設する製品は、エリミネーターには不向きでした。ナンバープレートとリアシートを結ぶ線上にウインカーがあるためです。また、このエリミネーターSEはドラレコが備わっており、ベルトがカメラの視界をもろにさえぎってしまいそうです。

▲ナンバープレートと共締めすることで荷掛箇所を増設する製品は、エリミネーターには不向きでした。ナンバープレートとリアシートを結ぶ線上にウインカーがあるためです。また、このエリミネーターSEはドラレコが備わっており、ベルトがカメラの視界をもろにさえぎってしまいそうです。

純正アクセサリーで優秀なリアキャリアが用意されている

エリミネーターに乗って、ロングツーリングやキャンプツーリングに出かけたいという人は、今回の積載テストのように無理はせず、アフターパーツに頼ってほしいと思います。写真の純正リアキャリアは間違いない選択です。

画像1: 純正アクセサリーで優秀なリアキャリアが用意されている

純正アクセサリーのリアキャリアは税込1万1330円。ボルトオンパーツのため、取り付けは簡単で、取り外しも面倒ではありません。

純正なだけあってリアシートとの高さもぴったり。テールランプの被視認性を損ねない絶妙なサイズ感です。荷掛フックもしっかり備わっているため、シートバッグの取り付けベルトやロックストラップ、さらにはストレッチコードも問題なく使えるでしょう。

画像2: 純正アクセサリーで優秀なリアキャリアが用意されている

またキャリアではなくグラブバーを装着するという手段もあり。積載スペースの拡大は図れませんが、シート後部にベルトを引っかけられるようになるので、役立ちます。

純正グラブバーの価格は税込1万5180円。街乗り・タンデム・ツーリングを楽しみたいという人にはおすすめ。純正リアキャリアとの併用はできません。

画像: ▲リアフェンダー側面のこのボルトを荷掛フック化するパーツも。アフターパーツメーカーから販売されています。スタイリングを大きく変えたくないという人にはおすすめです。

▲リアフェンダー側面のこのボルトを荷掛フック化するパーツも。アフターパーツメーカーから販売されています。スタイリングを大きく変えたくないという人にはおすすめです。

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まとめ

素直に後付けパーツに頼るのがもっとも安全

アドベンチャーモデルを除き、最近は荷物を積みにくい車種が増えてきました。20年ほど前なら、だいたいどんなモデルでもストレッチコードがあれば、車体に備わった荷掛フックを使って、荷物が積めたものです。

その中でもカワサキは、つい最近までもっとも荷物を積むことを考えてくれているメーカーでした。ロングセラーモデルのZ900RSやW800には、いまも抜群に使いやすいフックが備わっています。

潮目が変わったのは、2022年にデビューしたZ650RSからでしょうか。荷掛フックがアフターパーツとなってしまいました。そして今回テストしたエリミネーター。ETC車載器まで備わっているのに、荷物が積みにくいなんて……ツーリング好きの私は寂しく感じました。

画像: まとめ

ただ、荷物をまったく積まないユーザーからしてみれば、荷掛フックは無用の長物です。デザイン性を損ねる謎の突起、くらいに見ている人もいるでしょう。エリミネーターは、ノーマル状態でバイクライフのあり方を決めつけず、カスタムを含め自由に楽しめるモデルだともいえます。

とはいえ、もし私がオーナーになったら、納車のタイミングに合わせてリアキャリアを注文するでしょう。また、エリミネーターはサドルバッグも似合うバイクです。バッグサポートをつけて、サドルバッグ+シートバッグを積めば、それだけで旅の準備はOK。

400cc2気筒エンジンのパワーは日本の公道を走る上で不足のないもの。ライディングポジションは快適で、足つき性も抜群。荷物の問題さえクリアできれば、キャンプも長旅も楽しみやすい一台です。

レポート:西野鉄兵

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