問題:「シフトパッド」のランニングコスト、悪くない?
バイクに乗る時、ツーリングブーツのように左足にシフトパッド(シフトガード)のないスニーカーは、度々シフトチェンジに難儀することがある。毎回ブーツを履けば問題ないが、ちょっとした買い物や、移動先から歩くとなると、やはり個人的には履き慣れたスニーカーがラクだ。
そこで、私(八橋)が活用していたのがシフトパッド。バイク用品店で1000円~2000円程度で購入でき、スニーカーにつけるだけでシフトチェンジがラクにできる。バイクを降りたらスニーカーから簡単に外せるのも魅力だ。
しかし、これにはある問題があった。私がこれまで使ってきたシフトパッドは、靴に固定するバンドが摩耗によって、思ったよりもすぐにダメになるのだ。
バンド部分が摩耗するとパッドがスニーカーからずれやすくなり、また、走行中に脱落する危険性もある。このような問題から私はこれまで幾度もシフトパッドを交換してきた。
※落下物は落とした人の責任になります(道路交通法第75条の10)。走行前は脱落の危険がないかチェックを!
結果、安いとはいえ交換の費用もかさんでしまい、6畳弱の狭いアパートの中で頭を悩ませていた。そんな中、趣味で所持していた3Dプリンターを見て気づいた。
これ、自分で作れるんじゃね……?
確かにシフトパッドのおおまかな構造は、パッド部分とスニーカーに固定するバンドのみ。バンド部分は消耗品なので摩耗したらすぐ取り替えられるよう、Amazonで6mのバンド(税込950円)を購入した。
パッド部分はネットに3Dデータがあったので、印刷してゴムバンドをつければできそうだ。構想は固まったので早速作ってみた。
製作:3Dプリンターを用いて「シフトパッド」を作る
パッド部分はネット上の3Dデータ(フリー)を使用した。言ってみれば穴の空いた板だからなんののこともないのだが。
印刷する3Dプリンターは熱溶解積層方式(熱した樹脂を積層して形にするもの)を使っているので、シフトチェンジの衝撃にはある程度耐えられそうだ。実際に印刷したものが下記になる。
案外簡単にできた。次は実際にスニーカーに装着して使用感をチェックしてみる。
検証:ちゃんと使えるのか!? 靴に装着して試乗
実際に私が愛用しているスニーカー「SALOMON SPEEDCROSS 6」に装着してみた。自作のシフトパッドはやや大きいが、ゴムバンドで靴にしっかりと固定されている。
さぁ発進だとニュートラルから1速に入れた瞬間、早速気になることが。作ったシフトパッドがスニーカーに密着せず浮いてしまうのだ。
既製品のシフトパッドの多くは柔らかいシリコンや合皮を含む革製なので問題ないが、硬い樹脂だと靴にピッタリあわず、シフトチェンジはできるがどうも密着感が弱い。この問題点を解消するため、追加で内側に湾曲したモデル、名付けてマーク2を再設計した。
左足の甲に沿うようにモデルを内側に曲げ、湾曲した分シフトチェンジに耐えられるよう厚みも再設計した。
改良したシフトパッドを再度装着。前回よりスニーカーの曲面にしっかりフィットしているのがわかるだろう。
マーク2をつけて走ってみた感想だが、生地が薄く甲が柔らかいスニーカーの時と違い、硬いパッド部分がシフトペダルをがっちりを押し上げ、かなり走りやすくなった! とはいえ、使う靴によって微妙に形を変える必要はありそう、ここは要改善だ。
結論:3Dプリンターで作った「シフトパッド」は意外と使える……!
今回、3Dプリンターを使って作成したシフトパッドを使ってみた結論を申し上げると、スニーカーでの走行がかなりラクになった!(と私は感じた)
私は日頃から愛車のBMW G310GSで通勤・ツーリングを楽しんでいるのだが、スニーカーでのシフトチェンジには少々やりにくさを感じていた。「フンッ!! フンッ!! 」と気合いを込めてシフトアップしていたのだ。
しかし、シフトパッドをつけたことでスニーカーとペダルの間に硬い“面”が挟まり、ペダルをグイッと簡単な力で押し上げることができたのだ。これは頻繁なシフトチェンジが必要な都心の走行に大活躍しそうだ。
とはいえ素材が樹脂なので、つけたまま歩くとシフトパッドが足に食い込んで痛いのはネック。もう少し薄くしたり、ある程度足の動きにあわせて湾曲できるようにするなどの改善が必要だ。
また、経年劣化による割れのリスクはあるので頻繁に交換する必要があるが、100均のゴムバンドと合わせても材料費は120円程度。市販のシフトパッドと比べるとランニングコストは最高だ。
改良点はあるにせよ、ひとまず今持っている靴に合わせて今回のシフトパッドを量産してみようと思う。
まとめ:八橋秀行