レポート:スマートモビリティJP編集部
※この記事はウェブサイト「スマートモビリティJP」で2024年11月1日に公開されたものを一部編集し転載しています。
【交通ルール編】特定小型原付は“自転車なみ”の「お手軽電動モビリティ」
2023年7月1日に新登場した「特定小型原動機付自転車(特定小型原付)」は、ざっくりと説明するなら「普通自転車サイズで、自転車なみの最高速度20km/h以下しか出せない、電動モビリティ規格」ということになる。
法的には、16歳以上(高校生以上)が気軽に利用できる、モーターのみで移動可能な電動モビリティとして設定されており、電動かつAT機構であることが規定されているので、50ccの原付のようにガソリンエンジンやMTを搭載したモデルは存在しないのも特徴と言えるだろう。
【特定小型原付(特定小型原動機付自転車)の要件】
最高速度 :20km/h以下
定格出力 :600W以下(原付一種と同じ)
全長 :1.9m以下(普通自転車と同じ)
全幅 :0.6m以下(普通自転車と同じ)
高さ :規定なし
車輪数 :規定なし
※電動モーター搭載かつAT機構でなくてはならない
上記のように、サイズは「普通自転車」で、モーター出力は「原付」、最高速度はほぼ自転車レベルの「20km/h」に設定されている。また、すべての交差点で二段階右折が義務付けられるなど、基本的な走行ルールは自転車(軽車両)とほぼ同じである(原付一種では片側3車線以上の場合に二段階右折)。
なお、ヘルメットについては自転車同様努力義務とされており、6km/hの歩道走行モードを搭載したモデルは、「特例特定小型原動機付自転車(特例特定小型原付)」に区分され、普通自転車が走行可能な歩道については走行モードを歩道モードに切り替えることで走行できる。
この点では、自転車と同じ “気軽さ” で乗れる移動手段の選択肢が増えたということになる。特定小型原付の新設は注目すべき法改正だったと言える。
ちなみに、あまり知られていないが、自転車も原則として歩道走行は禁止されており、「普通自転車」に分類されるものだけが、
①歩道に「普通自転車歩道通行可」の標識等があるとき
②13歳未満の子ども or 70歳以上の高齢者 or 身体の不自由な人が自転車を運転しているとき
③通行の安全を確保するためにやむを得ないと認められるとき
に限って、例外的に歩道の通行を許されているのである。(※②の例外規定は特定小型原付には適用されないので注意)
歩道走行時も、車道寄りの部分を徐行し、歩行者の通行を妨げるような場合は一時停止しなければならないため、普通自転車でも、特例特定小型原付であっても、歩道を走る際は周りの歩行者に配慮した“ジェントル”な運転を心がけていただきたい。
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【車両登録編】維持費・ナンバープレート・自賠責加入必須など、バイクとしての側面もある!
特定小型原付は、交通ルールについては、自転車(軽車両)と同様である一方、車両登録や維持費などの面では、原付一種以上のいわゆる“バイク”としての側面が強い。
購入後は、原付と同じく自治体へナンバープレートの交付申請を行い、特定小型原付専用サイズのナンバープレート(10cm×10cm)を車体の見やすい場所に取り付ける必要があり、自賠責保険(共済)契約も必須で、ナンバープレートに加入のステッカーを貼り付けなくてはならない。
なお、クルマでは自賠責保険証明書の車載保管が義務付けられているが、電動キックボードなどの小型モビリティでは車両構造上、物理的に車載が困難であることが多いこともあり、特定小型原付の新設を見据えて、車両に携行品の保管設備(210mm×148mm以上で密閉できるもの)がない場合は、自賠責保険証の画像データ等をスマートフォンなどの電子端末に保存して携帯することで備付義務と提示義務を履行可能**になった。
必ず自賠責保険証明書のデータがスマホに保存されているかどうかを確認してから、走行するようにしよう。
特定小型原付 vs 原付一種の自賠責保険料比較表
自賠責保険料比較表 | 12カ月 | 24カ月 | 36カ月 | 48カ月 | 60カ月 |
---|---|---|---|---|---|
特定小型原付 | 6650円 | 8040円 | 9400円 | 1万730円 | 1万2040円 |
原付一種(一般原付) | 6910円(+260円) | 8560円(+520円) | 1万170円(+770円) | 1万1760円(+1030円) | 1万3310円(+1270円) |
ちなみに、自治体によっては特定小型原付のナンバープレートにも自動車でいうところの地方図柄入りナンバープレート(ご当地カラープレート)のようなオリジナルデザイン仕様を用意していることがあるので、気になる人はこちらも合わせてチェックしてみてほしい。
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