文:キャプテン・クルーザー/写真:森 浩輔
250ccには真似できないエリミネーターの走り
雨上がりのバッドコンディションにも関わらず、エリミネーターのクールなスタイルのおかげで俺(キャプテン・クルーザー)のテンションはレッドゾーンまで回りっぱなしだ。
そして俺のハートは完全防水。ウェット路面程度じゃ走ることをやめる理由にはならない!
だがまぁ……MAX48ホースパワー(←馬力のこと)のグリーンモンスター・カワサキ製のクルーザーだからな。油断は禁物だろう。
※当記事内の「ホースパワー」は英馬力(hp)ではなく仏馬力(ps)です
さぁ来い、エリミネーター! その荒ぶるホースパワーを、オマエの真実を見せてくれ!
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……ホワッツ!?
oh……ちょっと待ってくれないか……
なんだか、とてもスムーズなんだが?
まず印象的なのが軽さだ。あとで調べてみたらエリミネーターは重量重量がたったの178kg……人気バイクのレブル250は250ccだけど重量は171kgあるんだぜ? 150ccも排気量差があって7kgしか重さが違わないなんて!?
だけどパワーはレブル250と比較すると22ホースパワーもの差があるから、テイムするのには苦労しそうだと思っていたんだが……
エンジンのパワーフィールが……半端じゃなくシルキーなんだ。
カワサキのクルーザーってことで、クラッチミートからダイナミックに駆け出すワイルドな野生馬をイメージしていたんだが……違うのか? まさか、調教されて牙を抜かれちまったのか?
しかもエンジンだけじゃない!?
前後サスペンションが驚くほどにしなやかで乗り心地がいい。
濡れた路面の石畳なんて、アイアンホースを駆るには最悪のシチュエーションのひとつのはずなんだが……優しいパワーとしなやかに動くサスペンションのおかげで不安を感じない、だと?
アクセルのコントロールを間違った瞬間にリアタイヤがスリップ……なんてことはないようだ……
そのうえでシート高は735mmだから足つき性は抜群。先の重量の軽さとの合わせ技で小柄なレディも紳士的にエスコートしてくれそうだ。
正直タウンライドはスーパーイージーだとしか言いようがない。バイクのライセンスをゲットしたてのニュービーにだっておすすめできるだろう。
まさかオマエ……本当にカワサキ公式サイトのイメージ写真にあるような『街乗り仕様のバイク』なのか?
そんなはず……!?
高速道路に乗ったら納得した
しかし、街乗りじゃエリミネーターの心臓部が秘めた強大なホースパワーを解放することなどできない。
それに街乗りクルージングだとエンジン回転数はせいぜい5000回転まで。まだコイツが本性をさらけ出していない可能性は大きい……
こんなにドラッガーなスタイルをしているんだ。パワーだってある。
あふれ出すパワーで俺を翻弄するんだろ?
もっと来いよ! 全力で俺にぶつかってこい!
ということで……
ゴー! ハイウェイ!!!
なに……?
輪を掛けてシルキーというか、なんなら街乗り以上にスムーズなんだが……
ハイウェイでもトップギア6速で法定速度に合わせるとエンジン回転数は5000回転前後。MAXホースパワーが10000回転だから余裕がありすぎる。街乗りで感じた前後サスペンションのしなやかさはここでも同じで、高速道路の路面を継ぎ目をほとんど感じさせない……
ハッ!?
わかったぞ。ピンときた!?
これは『クルーザー』だ……それは本当の意味での『クルーザー』っていうことだ。そうだと考えれば、何から何まで腑に落ちる。スタイリングやデザインから「ガンガン走る系」だと思い込んでたけど、これは違う!?
それは例えるなら超ビッグな排気量の大陸横断系クルーザーに近いもの。排気量に支えられた豊かさで長距離を快適に走るタイプ。王道のクルーザー感。確かにこいつは250ccでは絶対に実現できない領域だぜ……
まぁ……トップギア6速からギアを1段か2段くらい下げてアクセルをワイドオープンすると……シルキー&スムーズなままにシュワーンッ!と直線番長になっちまうんだけどな(笑)
そういうことか。エリミネーターは見た目とは裏腹に「大人のツーリングバイク」だってことなんだな。ふむ……そうとわかれば……悪くないアイアンホースだ。
しかし、ちょっとだけ『肩透かし』のような気持ちは否めない。
……かと思ったら!?
高速道路を降りたあとに、クルーザーらしく風景でも楽しみつつ軽いツーリングをしてみようと思ったところ。
……え?(←本日2回目)
ワインディング、とんでもなくいヤバいじゃねえかっ!?
(後編へ続きます)