ロッパンフルカウルスポーツになると、高速道路から街中、ワインディングまでオールマイティにこなせる欲張りな柔軟性を期待してしまうが、果たしてこの2台はどのようなパフォーマンスを発揮するのか……横田が紐解いていく。
以下、文:横田和彦/写真:関野 温

ホンダ「CBR650R」VS トライアンフ「デイトナ660」|深堀りチェック

1.ハンドルまわり

画像2: CBR650R

CBR650R

画像2: DAYTONA 660

DAYTONA 660

スポーツバイクで前傾姿勢を取るためのパーツがセパレートハンドルだ。レーシングマシンはかなり低い位置にセットされているが、今回の2台はガツガツのスーパースポーツではないためややアップライトで前傾姿勢は緩め。

ハンドルの取り付け方法には違いがあり、CBR650Rはトップブリッジの下から少し上に上がる形状。対してデイトナ660はトップブリッジにハンドルバーがダイレクトに差し込まれる方式。取り付け位置が車体前方寄りなので、ライダーからはわずかに遠く感じる。


2.スプロケット

画像: (左)DAYTONA 660 |(右)CBR650R

(左)DAYTONA 660 |(右)CBR650R

画像3: CBR650R

CBR650R

画像3: DAYTONA 660

DAYTONA 660

スプロケットの大きさがぜんぜん違うんだけど、乗り味はそんなに違わない

車両を遠目で見ているときに、ふと気付いたのが2台のリアスプロケットの大きさの違い。

CBR650Rは一般的な42Tなのだが、デイトナ660は51T。ちなみに両車ともエンジン側は15T。これだけ違っていても乗り味に大きな差がないのは1次減速比との関係性があるから。

興味深いのは、同じ並列3気筒エンジンのトライデント660がエンジン側に16Tを採用していること。つまりトライデントよりデイトナの方がより強い加速感を味わえるギア比になっているのだ。


3.メーター&ハンドルまわり

画像4: CBR650R

CBR650R

画像4: DAYTONA 660

DAYTONA 660

現代的なフルカラー液晶を採用したCBR650Rに対し、デイトナ660は2画面構成

スピードや回転数以外に、ギアポジションや燃料/水温計、スマホとの連携など多くの情報を表示する四角い液晶メーターが主流になりつつある現代のバイク。CBR650Rもその中の1台だ。確かに機能的だけど、ちょっと色気がないよな〜と感じるのは古い感性だからか。

その点、デイトナはコンパクトなメーターケース内に上下2画面で表示。メーターまわりを見ると車種を判別しやすいので個人的には好み。ただ現在どのライディングモードになっているのかが分かりにくいのが残念だった。

横田和彦が選ぶ2台の“極品” ポイント

画像5: CBR650R

CBR650R

絶妙のサスペンション・セッティング

感心したのはCBRのサスペンション設定のレベルの高さ。市街地から高速道路、峠道など全ステージで高評価だった。リアサスペンションはリンクレスなのにこの乗り心地。ホントにバランスが取れた良い足まわりだわ。


画像5: DAYTONA 660

DAYTONA 660

並列3気筒ならではのスリムさがイイネ!

エンジン幅が並列4気筒よりも狭い並列3気筒。しかし、シートの幅はそれ以上にスリムに感じる。もちろん足つき性にも関わってくるから、小柄なライダーにはうれしい造りだといえるよね。

ホンダ「CBR650R」VS トライアンフ「デイトナ660」|総合評価

画像: 600スポーツの勝負の分かれ目は感性に訴えるポイント

600スポーツの勝負の分かれ目は感性に訴えるポイント

シルキーな並列4気筒、力強い並列3気筒……感性に響いたのはデイトナだ

「スポーツライディングが大好き」と公言しているけど、公道では無理せずTPOにあわせて走っている。つまりその環境で気持ち良いと感じるスピードで楽しめるバイクが好き。スペックではなく自分の感性との相性を重要視している。

では今回はどちらがより感性に響いたか。最初は市街地から峠道まで、どのステージでもレベルが高い走りを見せる完成度を誇るCBR650Rに惹かれた。

しかし、リアショックを調整したデイトナ660に乗ってビックリ。ボンヤリとした挙動が一気にシャープに変貌。その車体と中回転域から鋭くトルクが湧き上がる並列3気筒エンジンとの組み合わせは、峠道でさほどペースを上げなくてもスポーツライドしている充実感が得られるもの。

CBR650Rとの差を一気に縮めるどころか、場面によっては追い抜いてしまった。安定感が高いCBR650Rより、軽快で瞬発力があるデイトナ660の走りの方がファンに感じられた!

画像: Honda CBR650R

Honda CBR650R

死角が少ない完成度なのだが、唯一気になったのはエンジンの回転が上昇していくときに生じる振動だ。タイミングによってはファンな気持ちをスポイルしてしまうことも。シャープに吹け上がるホンダの並列4気筒・600ccパワーユニットを知っているだけに、ちょっと残念なポイント。


画像: TRIUMPH DAYTONA 660

TRIUMPH DAYTONA 660

乗り始めたときは「何にでも使えそうだけどフツーのバイクだなぁ」と思ったが、足まわりのセットを変えたら急にスポーツ性が高まった。セットアップ次第でキャラクターが変わることを実感した。挙動が変化したら並列3気筒ユニットの魅力も倍増したぞ。

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    ホンダ「CBR650R」
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    トライアンフ「デイトナ660」
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    ホンダ「CBR650R」
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    トライアンフ「デイトナ660」
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ホンダ「CBR650R」VS トライアンフ「デイトナ660」|スペック・価格

CBR650RDAYTONA 660
全長×全幅×全高2120×750×1145mmNA×736×1145.2mm
ホイールベース1450mm1425.6mm
最低地上高130mmNA
シート高810mm810mm
車両重量209kg201kg
エンジン形式水冷4ストロークDOHC4バルブ並列4気筒水冷4ストロークDOHC4バルブ並列3気筒
総排気量648cc660cc
ボア×ストローク67.0×46.0mm74.04×51.1mm
圧縮比11.612.05
最高出力70kW(95PS)/12000rpm70kW(95PS)/11250rpm
最大トルク63N・m(6.4kgf・m)/9500rpm69N・m/8250rpm
燃料タンク容量15L14L
変速機形式6速リターン6速リターン
キャスター角25°30′23.8°
トレール量101mm82.3mm
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスクΦ310mmダブルディスク・Φ220mmシングルディスク
タイヤサイズ(前・後)120/70ZR17(58W)・180/55ZR17(73W)120/70ZR17・180/55ZR17
燃料消費率 WMTCモード値21.5km/L(クラス3-2)1名乗車時NA
製造国日本NA
メーカー希望小売価格110万円(消費税10%込)108万5000円(消費税10%込)

文:横田和彦/写真:関野 温

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