ロッパンフルカウルスポーツになると、高速道路から街中、ワインディングまでオールマイティにこなせる欲張りな柔軟性を期待してしまうが、果たしてこの2台はどのようなパフォーマンスを発揮するのか……横田が紐解いていく。
以下、文:横田和彦/写真:関野 温

ホンダ「CBR650R」VS トライアンフ「デイトナ660」|比較のポイント

本気と楽しさが混在! 選択自由な600クラス

今、600cc前後のスポーツモデルは個性に満ちあふれているクラス。CBR600RRは高剛性のアルミフレームや中〜高回転でパンチがある並列4気筒エンジンなど、レースを見据えたポテンシャルの高さが魅力。

それに近いのがZX-6Rだが、排気量を636ccとして中間トルクを増やし街乗りに適応させている。両車とも装備のレベルも高く、アジャスタブルサスペンションの的確な動きやブレーキのコントロール性なども絶品だが、設定されたスピードレンジは高めだ。

対して低〜中回転域でトルクフルな特性を発揮する並列2気筒エンジン組は、ストリートやワインディングで切れの良い走りを見せる。市街地走行からツーリング、峠道でのスポーツ走行などのトータルバランスは高い。

中でもNinja 650のフィーリングはボク好み。街中では肩の力を抜いて走れるゆとりがありながら、タイトコーナーが続く峠道では想像以上のペースで走れるからだ。以前、600ccのスーパースポーツを所有していたけれど、いまなら断然ストリートで楽しめるモデルを選ぶな!

画像: 600クラスのフルカウルスポーツはスペックだけ見て舐めると怖いゾっ!!

600クラスのフルカウルスポーツはスペックだけ見て舐めると怖いゾっ!!

ホンダ「CBR650R」VS トライアンフ「デイトナ660」|比較インプレ

画像: (左)CBR650R|(右)DAYTONA 660

(左)CBR650R|(右)DAYTONA 660

並列3気筒 VS 並列4気筒、この対決は超オモシロイっ!

過去に600ccスーパースポーツのオーナーだったことがあるので、このクラスのスポーツモデルは個人的にも気になる存在。以前所有していたのがホンダだったので、期待を抱きつつCBR650Rに試乗開始。並列4気筒の軽快な排気音とスムーズなレスポンスがイイよね〜。クラッチをつなぐとなめらかに走り出す。

この排気量だとそれなりに低速トルクもあるので、市街地でのストップ・アンド・ゴーなどは特に何かを意識することなく自然にこなせる。キツすぎない前傾姿勢も気持ちを急かされることがないし、疲れにくい。ライダーとの親和性が高いなぁと感心した。

高速道路に入ると並列4気筒エンジンの別の姿が見えてきた。中回転から高回転域に向かっていくとき、パワーの盛り上がりと同時にグワワッっと細かい振動が伝わってきたのだ。市街地ではジェントルだったのに、急にワイルドになったぞ!

しかし、荒々しくなったのはエンジンのフィーリングだけで、車体は安定志向でビシーッと直進し続ける。腹の下にある並列4気筒エンジンの塊感が大きく影響していると想像できる。重みは安定感にもつながるからね。高速での車線変更も思い通りだ。

画像1: CBR650R

CBR650R

そしてハンドリングの安定性はワインディングでも体感できる。ドシッとした感覚ながら、ねらったラインを確実にトレースしてくれる素直さは、スポーツライディングを楽しいモノにしてくれる。ブレーキのコントロール性やサスペンションの動きも良く、挙動は終始安定。さすが世界のホンダ。完成度がバツグンに高いぞ!

そしてスリムなデイトナ660にスイッチ。前のデイトナ675に比べるとポジションやパワーフィーリングはよりストリート向けにチューニングされている。といっても並列3気筒エンジンならではの個性がバッチリ残っているのがウレシイところ。アクセルを開けると、やや低めのトルクに満ちたサウンドを響かせる。押し出しが強く、発進加速はなかなか鋭いのだが、幅広い回転域でコントロールしやすいエンジン特性なので、交通量が多い幹線道路でもストレスなく走ることができる。

デイトナが乗りやすく感じた理由は、しなやかでよく動くサスペンションにもあった。路面の凹凸を無理なく吸収するため快適そのもの。接地感も伝わってきて安心感がある。ただ高速道路に上がり、速度域が高くなったときにリアがやや柔らかい(動きすぎる)印象を受けた。大きなウネリがある所でリアサスが予想以上に大きく動くのだ。それを峠道でも感じたので、ノアのアドバイスもあってリアサスのプリロードを3ノッチ掛けてみた。

画像1: DAYTONA 660

DAYTONA 660

すると一気にスポーティな挙動になるではないか! 車体姿勢が少し前傾になり、フロントに荷重をかけやすくなったので旋回性も向上。中回転域から豊かなトルクを生み出す並列3気筒エンジンの持ち味を活かすと、タイトコーナーをヒラリと回ってガオッ! とシャープに立ち上がっていくことができる。ラインの自由度も増し、格段にスポーティで楽しくなったのだ。なんだコレ、ガラッと変わったぞ! このフィーリングには、スポーツライディング好きの気持ちがかなり揺さぶられるよ!

ならばとCBR650Rのリアサスもプリロードを掛けてみた……のだが、こちらはノーマルセッティングの方が良い挙動であることが判明。サスペンションのセッティングはベースの状況に加え、ライダーの体重や走行ペースにもよっても変わってくるので、なんでもプリロードを掛ければいいってもんじゃないことを実感した。

しかし、デイトナ660はリアサスを調整したことで予想を超えるほど、メチャメチャ好みの挙動になったぞ。安定感バツグンでオンザレール感覚のCBR650Rか、ヒラヒラと自在に操れるデイトナ660か。その答えを出すために、ボクは何度もワインディングを走ってみた。

画像: CBR650R:気持ちいいペースで軽〜く流してもGOOD!

CBR650R:気持ちいいペースで軽〜く流してもGOOD!

画像: DAYTONA 660:幅広いトルクバンドでタイトコーナーを泳ぐように駆け抜ける!

DAYTONA 660:幅広いトルクバンドでタイトコーナーを泳ぐように駆け抜ける!

取り回しのしやすさはほぼ互角か!?

画像: (左)CBR650R |(右)DAYTONA 660

(左)CBR650R |(右)DAYTONA 660

フルカウルスポーツは取り回しに苦労するモデルも少なくない。その大きな理由のひとつは低い位置にセットされたセパレートハンドルなのだが、CBR650Rとデイトナ660はどちらもトップブリッジより上にセットされている。そのため意外と取り回しやすい。ハンドル切れ角も標準的。駐車場からの出し入れでも問題ないだろう。

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