セパレートハンドルのバイクを上手に運転するには?
久しぶりに乗るセパレートハンドル&強め前傾姿勢の大型バイク。なんとかなるだろう! と思っていたにも関わらず、実際にワインディングを走りはじめてみたらガッチガチで腕に力が入りまくって全然うまく乗れません。
そこで私(北岡)は自分の運転技術のことを棚に上げ『バイクのせい』にすることにした、というのが前回までのお話です。
その【中編】でもお伝えしたのですが、その日はなんだか不安ばっかりで思うようにバイクを寝かせることができませんでした。
そこでチャレンジしてみたのがサスペンションの簡単な調整なのですが……これ、SV650Xに限らず『セパレートハンドルのバイク全般の運転が苦手』だと感じている人には有効かもしれないので記事にしておきます。
そんなに難しいことはしてないです。でも効果は絶大でした。
最初にやったのはリアサスペンションのプリロード(初期荷重)の調整です。
ガッチガチで上手く乗れない(腕に力が入りすぎ)状態を解消するために、とにかくタイヤの接地感が欲しかった! 言い換えれば安心感が欲しかった……
そこでSV650Xのトリセツ(オーナーズマニュアル)に従ってスプリングの強さを標準の『3』から最弱の『1』に変更!
こういうのは一段ずつ変えていくと変化がわかりにくいので、一気に大きく変えるのがおすすめです。
難しい話は省きますが、これをするとサスペンションが体感的にはしなやかに動くように感じられるようになります。体感的には乗り心地がよくなったり、後輪側の接地感が感じやすくなると思う。
これはSV650Xに限った話(なんならセパレートハンドルのバイクに限った話でもない)ではないので、リアサスペンションにプリロード調整機構がついているバイクのオーナーさんは参考にしてみてください。
ちなみにスプリングの強さを「弱める方向」に調整すると、リア側の車高がすこし下がります。わずかですが足つき性もよくなります。
SV650Xの場合は、尻下がりになりすぎる懸念を持っていたのですが……
いい感じじゃないか……結果的には予想していたようなネガティブは一切なし!
純粋に後輪の接地感が出て、かなりリラックスして走れるようになりました。なんなら後輪1輪に乗るような感覚でヒラヒラ感を楽しめたくらいです。
正直、この状態でもかなり良くなったのですが……
SV650XにはネイキッドのSV650にはない「フロントのプリロード調整機構」もついているんです。
私はこれ、スズキのエンジニアさんのメッセージではないかと思っています……『SV650Xはサスペンションを調整して乗ってやってくれ!』っていう感じのね。
でもフロントは無段階調整式なので、リアサスペンションより難しそう……と敬遠していたんですが、改めてトリセツを見てみたら!?
全然そんなことなかった。ものすごくシンプルにわかりやすい感じです。
マイナスドライバーでクルクルっと回すだけ。目盛りがあるから失敗する心配も無し!
あ、これならやれそうかも!?
ちなみに私はSV650Xのフロントフォークは標準のセッティングのままでもけっこう良いと思います。
ですが今回は実験的な意味も含めて……迷いましたがフロントのさらなるしっかり感を求めて標準の『2』から……
一気に『もっとも強い5』にチャレンジ!
これをするとフロント側の車高がさらに上がっちゃうし、ひょっとしたらフロントが硬すぎて怖いかもしれないと思いつつ。まぁ、ダメならすぐ戻せるレベルで調整は簡単なのでOKです。
さすがに峠道じゃ硬くなりすぎるかなぁ……
ところがどっこい!?
いちばん強くしてもそこまでフロントがガチガチすぎる感じはしません。
本気で『え?そうなの?』って驚きました。ちゃんとフロントフォークが動いてくれている安心感があります。それでいてフロントブレーキをきっちり使えるようになった感じがする。
でも路面が荒れると、さすがにちょっと跳ねるか?
ということで!
最強の『5』からすこし弱めて、最終的にはスプリングの強さ『4』で落ち着きました。
フロント側の車高が上がった弊害もそこまで大きく感じず、ギャップを踏んだ時に不安になるほどの挙動も出ない。ちょっとハンドルが(フロントタイヤが)自然に切れていくのがまったりした感覚はありましたがそれも安心感です。
リア側のセッティングで後輪の接地感を頼りにできる状態なので、ハンドリングの穏やかさはライダー側の操作で『グイッと曲げてあげる』ようにして……
今回は、とにかく安心感とフロントブレーキのダイレクト感を重視です。
その結果!
BEFORE
この『ガチガチの乗れてない人』が……
AFTER
こうなった(笑)
嘘偽りはございません。というかこの記事、自分でやったことながら写真を見比べて本当に笑えました。こんなにも変わるもんなのね……と。
そして実際、走らせていて『楽しい!』を感じられるようになった! それが何よりの収穫です。
ちなみに言うと、この状態だとリア側のプリロードを最弱から1段、強くする方向に戻してもいいかも……と思ったり。
もしくは逆にフロント側の車高を下げるためにプリロードを『1』まで弱めると前下がりの姿勢になっていいかも? なんて色々と欲が出てしまいました。
【note.】
現SV650Xのオーナーさんはフロント側の調整をする際に「最弱」と「最強」の両極端を試してみることをおすすめします。運転が不安な人(ワインディングが苦手な人)は特に「フロント最弱」も試してみてください。
でも、ここから先はオーナーさんの領域ってやつです。
ある意味、愛車と語り合う『幸せな沼』の時間になるはず!
(下に続きます)
今回はあくまで一例でサスペンションのセッティングにはそれぞれ『好み』があるので、今回の例が正解と言う訳ではありません。でも、まずはやってみて『変化』を感じることが大事だと思います。
特にセパレートハンドルのバイクは慣れがないと、どうしても腕に力が入りがちで『バイクが自然に曲がろうとする』のをライダーが邪魔してしまいやすいのも事実。
あまり参考にならないかもしれませんが、気が向いたらリア側だけでもいいので試してみてください。
やってみると、けっこう楽しいものですよ!