文:太田安治/写真:南 孝幸
シックデザイン「ガイラZ900RS用サイドウイング」テスト&レポート
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CHIC DESIGN
GUYRA Z900RS用サイドウイング
税込価格:4万9500円(黒ゲルコート仕上げ)
販売元:シックデザイン
実用装備のレッグシールドがスタイリッシュに復活!
Z900RSは2017年12月の発売から6年が経過した。その人気はいっこうに衰えず、ユーザーの増加に伴ってアフターマーケットのパーツも豊富に出揃っている。
外装を変えてカフェレーサースタイルに変貌させたり、足まわりを強化してスポーツ走行を楽しめる車体にしたりと、自分好みのカスタマイズを楽しんでいるケースが目立つが、一方で扱いやすいエンジンと素直なハンドリング、余裕あるライディングポジションを活かし、通勤からツーリングまで移動の快適さを高める実用的なカスタマイズを施しているユーザーも多い。
さいたま市に製造拠点を置く「シックデザイン」は、FRPとポリカーボネート素材を組み合わせたビキニカウル/ウインドシールドをはじめ、国内外モデルの外装パーツを幅広くラインアップしていて、Z900RS用は2種類のビキニカウル、ナックルシールド、専用設計のウインドシールド、ロングテールカウルが人気を博している。そして新たに加わったのが『サイドウイング』だ。
これはエンジンの左右に装着してライダーの脚に当たる走行風を遮ることが目的で、寒い時期や雨中走行では絶大な効果を発揮する。かつては「レッグシールド」と呼ばれ、2000年代序盤に消滅してしまった実用モデル(ビジネスバイク)には標準装着、またはオプションとして設定されていたし、現在でもスーパーカブ系のアイデンティティになっているパーツだ。
シックデザインのサイドウイングはウインドプロテクション性能だけを追求したのではなく、Z900RSの車体デザインとバランスを取った造形とサイズが特徴。単なる実用装備ではなく、新時代のエアロパーツとして造り込まれている。
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サイドウイングの防風性能は正面から見れば想像がつくはず。走行中に視界に入ることはなく、ライディングへの悪影響も感じられない。
寒さと風圧をブロックしてライダーの疲労を抑止
サイドウイングの効果は30km/hから体感できる。膝からつま先までの走行風圧がカットされ、エンジンの熱がじんわりと伝わってくる感覚。走行テスト時の外気温は15℃程度だったが、10℃以下ではサイドウイングの有無による防寒性能に大きな差が出るはず。太腿の上側には風を受けるが、膝頭がまったくと言っていいほど冷えないので寒さは感じにくかった。
この防風性能は雨中走行でも有利。レインウエアのバタつきが抑えられ、フロントタイヤが巻き上げる雨水がシューズを直撃することもなさそうだ。
100km/h走行時でも風圧によるブレはなく、風切り音も気にならない。オートバイを押して歩く際にライダーの体が車体の前側に寄り過ぎると脛に接触することがあるが、これはスーパーカブ系のレッグシールドでも同じ。普段使いで気になることはないだろう。
シックデザインのビキニカウル/スクリーン、ナックルシールドと合わせれば防寒・防風性は圧倒的に高まるし、走行風圧による疲労も激減する。どのパーツもボルトオン仕様だから、気温やツーリングルートに応じて手軽に着脱できることも特徴。40年の歴史を持つシックデザインの製品だけに、精度の高さと仕上がりの美しさも魅力だ。
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エンジンにピッタリと沿わせて横への張り出しボリュームを抑えている。写真は最終試作品で、僅かな調整が入る可能性はあるが仕上がり感はほぼこのままとのこと。
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このZ900RSはシックデザインの開発車両。サイドウイングのほか、ガイラシールド、ガイラガントレット、ノーマルより70mm長いロングテールカウルも装着されている。
ロングテールカウル
税込価格:2万7500円〜7万2600円(仕上げと専用インナーフェンダーにより各種あり)
走行風による上半身のストレスを大幅改善
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ガイラシールド
税込価格:3万3000円(クリア)、3万5200円(スモーク)
ガイラガントレット
税込価格:1万7600円(クリア)、1万8700円(スモーク)
防風機能を高めるだけならスクリーンやナックルシールドを大型化すればいいが、大型化するほどに重量と空気抵抗が増し、操縦性への影響が大きくなる。特にハンドルまわりにマウントするタイプは防風効果とハンドリングのバランスを取ることが重要。シックデザインでは形状を変えながら実走テストを繰り返し、最適なデザインを決めている。
写真の「ガイラシールド」と「ガイラガントレット」は整流性能を考慮した三次曲面成型。それぞれ胸に受ける走行風を肩越しに逃がす機能、指先に当たる風をブロックする機能が与えられている。共に適度な柔軟性を持つポリカーボネート製で、割れる心配はほぼなく、透明性の確保によって視界も妨げない。
文:太田安治/写真:南 孝幸