【比較インプレ】ホンダ「GB350 C」VS ロイヤルエンフィールド「クラシック350」〈ノア編〉｜日本とインドのアルカイックバイク対決！

ホンダ「GB350 C」VS ロイヤルエンフィールド「クラシック350」｜比較インプレ

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ついついマネしちゃいたくなる最近のロイヤルエンフィールド

2台のコンセプトは似すぎだろう！ ロイヤルエンフィールドはわかる。ずっと昔からこういったバイクを作り続け、今でも同じようなものを作っているというのは、もはやメーカーの姿勢とかコダワリではなく執念にも似たもの。「高性能だけがバイクじゃない。我が社はバイクの魅力の芯をしっかりと捉えている」という自信のようなものが感じられる。

だけどGBはね、スタンダードとSは良きベーシックバイクとしてのバランスや燃費、付き合いやすさ、価格など「うん、そうだよね」と腑に落ちる構成だったのに対し、「C」は、「そこまでロイヤルエンフィールドに寄せる必要あったかしらん？」と思ってしまうほどソックリ。

日本製バイクの黎明期は英車やイタリア車を参考にした部分があって「日本車は本家よりも高性能なコピー品を作る」なんてイヤミを言われた時代もあったけど、なんか、それを思い出しちゃったなぁ……。

跨るとロイヤルエンフィールドの方がコンパクトなことに気付く。堂々とした見た目にもかかわらずタンクが短いような印象で、乗車姿勢は手の内。ステップが前寄りでシートに全体重をドカッと預ける感じだ。

GBは「カブのポジションを参考にした」とされ、ニーグリップせずともステップ入力でヒラヒラと走らせられるのが魅力。しかし、ロイヤルエンフィールドはそれ以上に「尻で乗る」という感覚が面白い。それに比べるとGBは至って普通で、すぐに馴染めるのはさすが国産だ。

ストリートでは足つきの良さ、ハンドル切れ角の大きさ、重心の低さや低回転を得意とするエンジンなど2台に共通する魅力が存分に発揮されてストレスは無い。トコトコ、スイスイと街を流すのは本当に気持ちが良い。

ただストップ＆ゴーではロイヤルエンフィールドがやや有利かもしれない。アクセルへの反応がより明確で、クラッチをつないですぐの領域でトパパッと発進してくれる。対するGBは令和2年の排出ガス規制に対応したためか、あるいは「C」の7kg重量増によるものか、発進では意図的にアクセルを大きめに開けることが求められた。

ところが高速道路に入ると逆転。GBの方がスルスルと速度がのるし、シフトダウンをしない追い越し加速もよりスムーズ。2台ともそこに「力強さ」はないけれど、それでもちゃんと前に出ていくGBはロイヤルエンフィールドよりもハイスピード域もちゃんと作り込んでいると実感したし、ツーリングシーンなどは日本市場向きかもしれないとも感じた。

コーナリングはいずれも同等のイメージ。バンク角が少なく本格的なスポーツには踏み込めないが、ライトなワインディングを流すには十分楽しめる。エンフィールドのCEATタイヤが意外と好印象だったのは良かったが、ブレーキ性能はGBが有利だったし、その気になった時に車体がちゃんと応えてくれる感じはGBの方が一枚上手という印象だ。

結果、一日乗り倒しても2台は本当によく似ていた。GB3機種、ロイヤルエンフィールド4機種の兄弟車はそれぞれ味付けが違うけど、GBとロイヤルエンフィールドの差は、全く違う背景を持っているのに「ほんの少し味付けが違う」というレベルくらい似ていた。よってどちらに乗るかは「直感でビビッとキタほう！」と選ぶか、あるいは販売店の近さや維持管理のしやすさなどで選んでもいいと思う。

それを踏まえた上でロイヤルエンフィールドの味わいが何であるのかを書き足すと、にじみ出る「手作り感」なのかもしれない。GBが工場（こうじょう）でロボットに作られているのに対し、ロイヤルエンフィールドは工場（こうば）の作業員の手によって作り出されているような、そんな温もりがあるような気がするのだ。